2023.09.14
オールスターを終えたNBAはプレイオフに向けてレギュラーシーズンも佳境を迎える。冬のトレードマーケットではロサンゼルス・レイカーズやブルックリン・ネッツのように派手なロスター変更に着手した球団もあれば、ボストン・セルティクスのように静観し、既存戦力への信頼を覗かせた球団もあり、今後はそれらの動きが吉と出るか凶と出るか、ファンたちは固唾を飲んで見守っている。
しかし、補強期間が完全に終了したかと言われると、未だ断定はできない。なぜなら、一部球団は選手のウェイブも含めロスター枠に空きがあり、コート外には確かな実力を備えた未所属の選手たちが戦いを求めて待機しているからだ。
『ESPN』のエイドリアン・ウォジュナロウスキー記者によると、現在NBAの球団のうち3分の1はロスターにスポットを残している模様。そこで、本稿では即戦力になることが期待される注目のFA選手をリストアップしてみる。
NBAインサイダーのマーク・ステイン記者によれば、ヒューストン・ロケッツはトレードで再び球団に戻ってきたケンタッキー大学出身のエリートガードをバイアウト市場に送り出している。すなわち、他球団から正式なオファーがあれば、ロケッツはウォールの背中を押す準備をしている。
ウォールは今季の開幕、ロサンゼルス・クリッパーズから再起を誓った。その俊敏性は未だ錆びることはなく、指揮官のティロン・ルーも「このレベルまで戻ってくるとは驚き。洗練されたバスケットボーラーだ」と才能を賞賛していた。
スタッツも1試合平均22.2分の出場で11.4得点、2.7リバウンド、5.2アシストと上々。しかし、48分換算の勝利への貢献度はチームワースト3位、ボックスプラス/マイナスはマイナス1.2が記録されており、リーグ制覇を目指すクリッパーズは早い段階でウォールに見限りをつけた。
それでもコンディションが万全の域まで回復すれば、これらの数字も大幅に更新が見込める。バスケットボールへ対する姿勢やリーダーシップなど、若手もウォールから学べることは決して少なくない。行くべき先は将来的なプレーオフ進出を目指し、復活までに時間を費やす覚悟のある球団だろう。
オールディフェンシブファーストチームに3度選出、ブロック王に2度輝いた守備の名手もまた、直近の数シーズンは本領を発揮できずに燻っている。トロント・ラプターズでは球団の悲願だった優勝に大きく貢献したものの、直近の所属先であるミルウォーキー・バックスはビッグマンの層が厚く、序列の低さから環境を変えざるをえなかった。
36分換算のキャリア平均スタッツは15.8得点、9.3リバウンド。数字を見る限りでは過去2シーズンもその成績に大きな下落はなく、本人も内心「プレータイムさえあれば」という想いだろう。さらに、現代バスケットボールに求められる3ポイント成功率もキャリア平均で35パーセントを上回っており、スペーシングにも一役買うことは間違いない。
今年1月下旬にはブルックリン・ネッツやアトランタ・ホークからの関心が噂されたイバカ。玄人好みのベテランの力が必要な球団は決して少なくないはずだ。
バートンは高校時代、全米ナンバーワンのシューティングガードとして名を馳せた逸材。NBA入りはポートランド・トレイルブレイザーズだったものの、2014-15シーズンにデンバー・ナゲッツへトレードされると、コロラドの地でシックスマンとしての才能が開花。同球団で過ごした8シーズンは14.0得点、5.0リバウンド、3.3アシストをマークし、ロスターに不可欠な存在として、マイケル・マローンHCも信頼を寄せていた。
今シーズンからワシントン・ウィザーズに移籍し、ジャパンゲームにも帯同していたバートン。しかし、ウェス・アンセルドJr.のシステムへの適応に苦戦したからか、ウィザーズは2月22日(現地時間21日)付けで同選手のウェイブを発表している。
早速、ケビン・デュラントとのトレードで生え抜きの有望株を失ったフェニックス・サンズが関心を寄せているそうだが、ベンチからの得点に悩む球団は少なくなく、今後数日で複数球団からの接触が予想される。
また、ファンたちは最後の勇姿を見ずして別れを告げることはできないと、カーメロ・アンソニーの復帰を心待ちにしている。キャリア晩年のため全盛期とは比較できないが、美しいシュートフォームとステップワークから生まれる得点は未だ健在。こちらもサンズのクリス・ポールがラブコールを送っていると報じられており、続報が待望されている。
彼ら以外にもリムプロテクターのハッサン・ホワイトサイド、伸び悩むが守備に定評のあるスタンリー・ジョンソン、ジャーニーマンのウェイン・エリントン、3月の復帰を宣言しているマイルズ・ブリッジスらが現在もFAの身。
果たして、シーズン終盤に向けて最後の補強に動く球団は現れるのだろうか。
文=Meiji
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