2023.05.16
NBAは5月11日(現地時間10日)、2022-23シーズンのオールNBAを発表。イースタン・カンファレンスを2位で締めくくったボストン・セルティックスからは、ジェイソン・テイタムがファーストチームに、ジェイレン・ブラウンがセカンドチームにそれぞれ選出された。
球団やファンは、チームの看板を背負うデュオがともにオールチーム入りを果たし、誇らしさと賞賛の気持ちで満ち溢れていることだろう。しかし、皮肉にもこの栄光が2人のボストンでの未来に終止符を打つかもしれない。
テイタムとブラウンはオールNBA選出により、リーグ最大の名誉の1つとされるスーパーマックス契約を締結する資格を獲得した。『ESPN』のフロントオフィスに在籍するボビー・マークス氏によると、テイタムは5年推定3億1800万ドル(約427億3700万円)、一方のブラウンは5年推定2億9500万ドル(約396億4600万円)の権利があるという。
だが、マークス氏は両選手の契約延長を「ボストンが直面する危機」と評した。ご存知のとおり、NBAはリーグとしての流動性を維持するために年俸総額の上限(サラリーキャップ)を設定しており、メディアはセルティックスが2選手とスーパーマックス契約を結ぶことは困難、または難色を示すと予想した。
テイタム、ブラウン両選手の状況を順に見ていきたい。
背番号0は今シーズン、いずれもキャリアハイの1試合平均30.1得点8.8リバウンド4.6アシストを記録した。2020年に5年最大1億9500万ドル(約262億700万円)の契約延長に合意しており、スーパーマックス契約の締結は早くても2024年7月。堅実にオフェンスを遂行する次世代のスコアリングモンスターは、25歳の若さにして自他ともに認めるセルティックス不動のエースとして確固たる地位を築いており、フロントもテイタム中心のチーム作りに取り組んできた。
一方、2016年のドラフトで3位指名のブラウンもまた、同26.6得点6.9リバウンド3.5アシストをマーク。得点とリバウンドでキャリアハイを更新し、抜群の安定感でチームの勝利に多大な貢献を及ぼしてきた。しかし、ブラウンはテイタムと異なり、近頃は絶えずトレードの噂がついて回っている。フロントにとっては“優勝”と“ビジネス”が運営のキーワード。ブラウンは、先日の『The Ringer』のインタビューにおいて自身と球団の未来について問われると、「必要とされる限り、ここにいたい」としながらも「組織は異なる行動原理に基づいて動くもの。『愛している』と言った翌週にトレードしたりする」と語り、トレードの可能性を示唆していた。
2022年のNBAファイナルで戴冠に一歩及ばなかったセルティックスは、フィラデルフィア・セブンティシクサーズとの「NBAプレーオフ2023」のイースタン・カンファレンス・セミファイナルで3勝3敗。仮にカンファレンス・セミファイナルで敗退すれば、今夏は来シーズンに向けてテコ入れがされることになるだろう。その場合、実力的に申し分なく、スーパーマックス契約の資格を有し、2023-24シーズン終了時にFAとなるブラウンがトレード候補になる可能性は高い。
しかし、仮にビジネスとは言えど、フランチャイズでともに成長してきた生え抜きを手放すのは、苦渋の選択であることに疑いの余地はない。はたして、セルティックスはトレード市場でどのような判断を下すのか。難題を突きつけられたフロントの采配に注目が集まる。
文=Meiji
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