2023.08.19

【ワールドカップ注目選手】 デニス・シュルーダー(ドイツ代表)「狙うは王座、不動の司令塔がドイツをけん引」

不動の司令塔としてドイツをけん引するシュルーダー[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。

文=秋山裕之

■広い視野でチームを生かす司令塔

 ドイツのブラウンシュバイクで1993年9月15日に生誕した男は、2011、2012年にドイツ代表のジュニアチームで「ユーロチャンピオンシップA」へ出場。その後ホームを本拠地に置くクラブで2シーズンをプレーし、2013年のNBAドラフト1巡目17位でアトランタ・ホークスから指名されてNBA入り。

 キャリア4年目の2016-17にはホークスで先発ポイントガード(PG)の座を手にし、翌2017-18シーズンにはキャリアハイの平均19.4得点に3.1リバウンド6.2アシスト1.1スティールをマーク。

 その後オクラホマシティ・サンダー、ロサンゼルス・レイカーズ、ボストン・セルティックス、ヒューストン・ロケッツでプレーし、昨シーズンはレイカーズへ復帰して66試合の出場で平均12.6得点2.5リバウンド4.5アシストを記録。キャリア2年目以降は、いずれも平均2ケタ得点を残している。

 2014年にドイツ代表のシニアチームデビューを飾った男は185センチ78キロと、決して上背があるわけではない。だが“デニス・ザ・メナス”(デニスという名の脅威)という異名のとおり、シュルーダーはドイツ代表の最重要人物であり、リーダー兼トップスコアラーとなってチームを引っ張る。

 なかでも昨秋の「FIBAユーロバスケット2022」ではいずれも大会5位となる平均22.1得点7.1アシストを残してオールトーナメントチーム(ベスト5)入りを果たし、ドイツ代表を2005年(銀メダル)以来初となる銅メダルへと導く殊勲者となった。

■ ワールドカップでは虎視眈々と王座を狙う

シュルーダーはドイツにトロフィーをもたらすことができるのか[写真]=Getty Images


 昨シーズンの終了会見で、シュルーダーは「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」に向けて「もちろんプレーしたい。この夏に新たな歴史を書き換えることが待ち切れないね。それが実現すれば、ドイツや僕自身、それに連盟も大騒ぎするだろうね。だから僕は準備できている」と胸を躍らせていた。

 ドイツ代表は8月上旬の練習試合でスウェーデン、カナダに勝利。ドイツのハンブルクで開催されたバスケットボール・スーパーカップでは、13日(現地時間12日、日付は以下同)に中国を107-58で一蹴。14日のカナダ戦こそ延長の末に112-113で惜敗したものの、シュルーダーにフランツ・バグナー(オーランド・マジック)、ダニエル・タイス(インディアナ・ペイサーズ)をはじめとする選手たちは着々と準備をしている。

 今後はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで20日にギリシャ、21日にアメリカとのエキシビジョンゲームをこなし、日本の沖縄アリーナでワールドカップ本戦を迎える。

 ドイツが誇る29歳の司令塔は、持ち前のスピードを駆使した積極果敢なドライブでディフェンダーを2、3人引き連れていようとお構いなしにフィニッシュまで持ち込むことができるほか、味方のイージーショットを難なく生み出すことが可能。

 そのドライブでも、自らスローダウンして相手が油断した隙に急加速して抜き去ったり、相手をあざ笑うかのように一瞬でトップスピ―ドに切り替えて圧倒するなど狡猾さも備わっている。ミッドレンジジャンパーや3ポイントシュートが決まり出すと、抑えることはきわめて困難となる。

また、粘り強いディフェンスも光っており、相手のパスコースを読み切って甘いパスをスティール、あるいはボールハンドラーにへばりついて自由を奪うなど、攻防両面で容赦ない強気なプレーが際立っている。

 闘争心旺盛なシュルーダーは、ドイツ代表に新たなメダルをもたらすべく、意気揚々と今大会へ臨む。頼れるチームメートたちとともに、25日に開催される日本との初戦でも、序盤からエナジー全開で襲い掛かってくるに違いない。

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