2023.09.25

トレードの渦中にいるリラード…ラプターズからの関心は“本物”と現地報道

去就が注目されるリラードの胸中はいかに…[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 国際大会が閉幕し、NBAの開幕が近づくにつれて、再び市場が騒がしくなってきた。中でも最も議論が加熱しているのは、デイミアン・リラードの動向である。

 かつてはポートランド・トレイルブレイザーズに忠誠を誓ったリラード。しかし、即戦力を望む同選手と、若手の成長に期待するフロントとの間で意見が食い違い、7度のオールスターはタイトルコンテンダーであるマイアミ・ヒートへの移籍を希望している。だが、ブレイザーズとヒートの交渉は、両者が納得するアセットが提示されず、交渉は難航。2023-24シーズンのリラードの状況は、先行きが見えなくなっていた。

 交渉が行き詰まるなか、リラードには他球団からの関心も噂され始めた。NBAに深く精通するマーク・スタイン記者によると、トロント・ラプターズはリラード獲得について特別な興味を抱いており、彼らは“本気”でトレードに乗り出す準備ができているようだ。

 では、ラプターズとブレイザーズのトレードが成立すると仮定した場合、どのようなプランが想定できるのだろうか。

一筋縄ではいかないリラードの移籍騒動[写真]=Getty Images


 最も容易にイメージできるのは、パスカル・シアカムを交えた交渉だろう。ガード陣が充実するブレイザーズは、フロントコートで存在感を発揮する選手を求めている。パワーフォワードを主戦場とするシアカムは昨シーズン、24.2得点、7.8リバウンド、5.8アシスト、3ポイント成功率32.4パーセントをマーク。年齢も29歳とキャリアのピークにあり、しばらくはトップコンディションを維持できるはずだ。

 また、ブレイザーズがリラード放出により再建の道を選ぶのであれば、若手やドラフト指名権を要求するだろう。その場合、ラプターズはスコッティ・バーンズという切り札を用意するかもしれない。バーンズは昨シーズンこそ2年目の壁に阻まれ、大きなステップアップができなかったものの、サイズ、爆発力、俊敏性の三拍子を兼ね備えた未来あるポイントフォワードだ。サラリーバランスにより、リラードとの1対1でのトレードは現実的ではなく、ブレイザーズで開花したゲイリー・トレントJr.のほか、OG・アヌノビー、プレシャス・アチウワ、オット・ポーターJr.らがアセットに組み込まれるかもしれない。

 しかし、当のリラードはヒート一択の姿勢を貫いており、ラプターズ行きを望んでいない様子。トロントは言わずもがな、カナダに本拠地を置く球団であり、背番号0は国境を越えることに抵抗があると思われる。

 ブレイザーズの要望を考察すると、ヒートよりもラプターズのロスターが魅力的に映るのは明らかだ。一方のラプターズも初優勝を成し遂げたニック・ナース政権が終焉を迎え、カイル・ラウリーやフレッド・バンブリードらもチームを去ったことから、本格的な再編を目指す見込みであり、両者の利害は一致する。

 もちろん、リラードの希望先であるヒートを交えた複数球団間のトレードも議論されているだろう。

 一筋縄ではいかないリラードの移籍騒動。果たして、デイムは新シーズン、どの球団のジャージに袖を通しているのだろうか。

文=Meiji

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