2024.08.26

圧倒的ドラ1候補の“新怪物”…五輪代表相手にも躍動した17歳を現地メディアが特集

米バスケ界の“有望株”クーパー・フラッグ[写真]=Getty Images

 クーパー・フラッグ――我々はこの先10年以上、彼の名前を毎日見ながらNBAに釘付けになることだろう。

 フラッグはザイオン・ウィリアムソンビクター・ウェンバンヤマと並び、新世代の怪物として将来が確実視されている。昨年はベン・シモンズケイド・カニングハムの母校としても知られる名門モントバードアカデミーで33戦無敗という圧巻のシーズンを築き、チャンピオンシップを獲得。個人としてもゲータレード・ナショナル・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、ネイスミス・ナショナル・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、無論、高校生オールスターのマクドナルド・オールアメリカンにも選出され、欲しい称号を全て手中に収めた。

 メイン州ニューポート出身の17歳は、2024-25シーズンからデューク大学への進学が決定しており、“ワン・アンド・ダン”(1年限りで大学キャリアを終えること)を前にどれだけの偉業を成し遂げるかに注目が集まっている。『Sports Illustrated』は、NBAドラフト2025の1位指名最有力候補でもあるフラッグのカレッジデビューに先駆けて、スカウティングレポートを投稿。以下では概要、オフェンス、ディフェンスの3つのカテゴリーに分類し、ブルーデビルズの次期エースを紐解いていきたい。

■ 五輪アメリカ代表を相手に存在感

アデバヨからファウルを受けながらダンクを叩き込んだフラッグ[写真]=Getty Images


 身長206センチ、体重93キロ、推定ウイングスパンは213センチ以上という恵体のフラッグは、『ESPN 100』、『247Sports』、『Rivals』の格付け三大サイトの全てで学年1位にランクインする。

 ポジションはスモールフォワードを主戦場とし、高校最終学年は1試合平均16.5得点、7.5リバウンド、3.8アシスト、1.6スティール、2.7ブロックを記録。スペインで開催された「FIBA U17ワールドカップ」ではアメリカ代表として金メダルを獲得し、大会のオールスターにも選出され、直近のパリオリンピックアメリカ代表の練習相手にあたるセレクトチームに唯一、非プロ選手として選出されている。

 同代表との練習試合ではアンソニー・デイビスと対峙して3ポイントを成功させ、バム・アデバヨにはアンド・ワン付きのプットバックダンクを見舞うなど、NBAの最高峰とされる先輩選手を前に堂々のプレーを披露し、関係者を騒然とさせた。

■ 最高傑作のポテンシャル

レブロン・ジェームズと抱擁を交わすフラッグ[写真]=Getty Images


 フラッグの多彩で精度の高いオフェンスオプションは、高校生の域を優に超えている。『Sports Illustrated』は、同選手に対して迫力のあるスラッシャーとして可能性を感じながらも、フィニッシャーやシューターとしての一面も見出している。

 強靭なフィジカルと洗練されたハンドリング、そしてエースとしての絶対的な自覚から果敢にゴール下への侵入を試みるフラッグは、ハーフコートゲームにおいて相手のリムに常にプレッシャーを与える存在となってきた。また、トランジションでも前への推進力を発揮して、最前線からダンクを叩き込むシーンも少なくなく、チームに勢いをもたらすプレーヤーとして精神的支柱を担う未来も想像に難くない。

 一方で、オフボールからフィニッシャーとして顔を出すスキルにも優れ、ワンドリブルからのミッドレンジも使い分ける引き出しの多さも魅力。さらに、モントバードでは過去2シーズンで144本の3ポイントを試投し、38パーセントの成功率を誇るほか、フリースロー成功率も80パーセントに達しており、タッチの良さは証明済み。

 本命予想としては、フィジカルを生かしたスラッシャーとしてチームトップの得点源となる見込みで、カーメロ・アンソニーケビン・デュラントなど歴代最高スコアラーたちと並ぶポテンシャルを秘めている。

■ タンクをしてでも指名したい存在

206センチの長身を操る能力も魅力[写真]=Getty Images


 スイッチ能力、リムプロテクションの双方の観点から、フラッグはエリートディフェンダーとしてもリーグに名を轟かせることになるだろう。

 充実したサイズとスピードを兼ね備えたフラッグは何よりも横の動きに優れ、相手のパワフルなドライブに対しても遅れを取ることはなく、味方のヘルプを減らし、マークマンを固定することで、ディフェンスに綻びを生むことが少ない。また、長いリーチを生かしたプレッシャーの意識も高く、ボールマンは攻略に手を焼いている。

 しかし、『Sports Illustrated』は、それ以上にオフボールディフェンスの強みを高く評価。パスコースの理解度、カバーエリアの広さ、リム周りでの威圧感など、フラッグのディフェンス面におけるIQの高さとダイナミズムは、相手のイージーバスケットの機会削減に大きく貢献している。

 スター選手でありながら攻守で高いスキルとバスケットボール理解度を有し、それでいながらハッスルも辞さないフラッグは、タンクをしてでも指名したい圧倒的な1位指名候補と言えるだろう。

文=Meiji

代表の関連記事