4時間前

グリズリーズ・河村勇輝の英語学習…富永啓生のアドバイスやチームメートから“スラング”を教わる

着実に評価を高めている河村[写真]=Getty Images

 メンフィスの街で、Yuki Kawamuraはひとつのトレンドワードとなりつつある。今夏より夢のNBA挑戦に臨む河村勇輝は、グリズリーズでセンセーショナルな活躍を続けている。

 地元メディアは事あるごとに彼の一挙一動を切り取り、『ESPN』のハイライト”Top of the Top』ではゴール下でジェイ・ハフに通した先読みのバウンスパスが1位に選出。さらに、グリズリーズで永久欠番を持つ球団のレジェンド、トニー・アレンも河村がお気に入りで、天才ポイントガードと称されるジェイソン・ウィリアムズのニックネームにちなみ、河村にジャパニーズ・チョコレートというあだ名を与えている。

 コート上の活躍のみならず、メディアはコート外における河村の勤勉さにもスポットライトを当てている。『The Daily Memphian』は、河村がアメリカでの生活でバスケットボールと同等に比重を置く同選手の“英語学習”を特集している。

 河村はアメリカ入り直後から日本語でのコミュニケーションを控え、英語メインでの会話を宣言。そのコメントどおり、河村はチームメートやコーチングスタッフはもちろんのこと、取材対応にも英語で応じるよう尽力している。また、『The Daily Memphian』は日本の国内メディアならびに日本人ファンからの並々ならぬ注目度の高さにも言及しており、グリズリーズのメディア対応のタイミングにおいて、背番号17はすべての機会でコメントを残す唯一の選手であると紹介している。

『The Daily Memphian』は、河村がどのようにして英語を習得したのか、本人を直撃。やはり数々のビッグマンと対峙してきた若武者でさえも、言語の壁には7フッター級の高さを感じている様子だ。

「学校では英語を習っていましたが、(本格的に)英語の勉強を開始したのは1年前からになります。もちろん、まだ十分ではありません。僕が話せるのは日本語のみなので、英語での会話には本当に苦労しています」

 しかし、英語習得の秘訣については、アメリカ生活の先輩にして盟友の富永啓生からアドバイスを受けたという。また、1人で出来る学習方法として、ストリーミングサービスも活用しているようだ。

「彼(富永)はとにかく『話して、話して、話しまくれ』とアドバイスをくれました。とにかく、皆と話せと。Netflixも見ています。『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』を英語音声、英語字幕で見て、英語だけに触れるようにしています」

通訳なしでコーチやチームメートとコミュニケーションをとる河村[写真]=Getty Images


 もちろん、チームメートたちからのサポートも手厚い。ルーク・ケナード、ジョン・コンチャー、サンティ・アルダマたちが河村の英語学習を手助けしているようで、ある種の言語の壁が笑いを生み出しており、そうしたユーモアを日常茶飯事で楽しんでいるという。それについて、アルダマはこう語る。

「ユウキは素晴らしいですよ。英語を勉強しようと本当に努力していることが伝わってきます。英語字幕で英語番組を観たりしているようですし、随分と上達していますね。僕らは彼にスラングも教えています。良いものも、悪いものも。彼は『Type Sxxx(〜みたいな)』という表現が気に入っているみたいですね。正しい使い道を聞かれたので、誰の前で言うかは気をつけるべきだと伝えてました。僕もスペインからアメリカに移住しましたが、当時はユウキのレベルになく、今ではどんな感じだったかは想像もつきません」

 既出の選手のみならず、河村は闘将マーカス・スマートにさえも感銘を与えているようだ。BリーグMVPと共に過ごす時間について「すべてが最高」とし、パーソナリティーと選手としてのクオリティーの双方を高く評価した。

「彼はいつも僕たちを笑わせてくれます。ユウキはいいやつですね。英語が彼の苦労するところであることはわかりますが、僕らは彼が快適に過ごせるように、そして彼を助けられるようにできる限りのことをしたいと思っています」

「ユウキは教えることのできないユニークさをゲームにもたらしていますね。彼は自分のスキルセットのすべてを有利に使いこなします。小柄なので、時には見えなくなることもあり、どこからともなく現れるんです。シュートも打てて、ボールハンドリングにも優れ、パスも本当に上手い。周囲は彼を過小評価しているでしょうが、彼はそれさえも利用していますね」

 動画や記事に問わず、現地メディアの動向を追いかけていると、河村は選手としても人としても日に日に評価と信頼を高めていることがわかる。スコッティ・ピッペンJr.の本契約昇格もあり、河村の2Way契約もいよいよ現実味を帯びてきたかもしれない。

文=Meiji

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