2024.10.18

河村勇輝の2Way契約の行方はどうなる…“最後の1枠”を争うグリズリーズのライバルを比較

メンフィス・グリズリーズとエグジビット10契約を結んでいる河村勇輝[写真]=Getty Images

■“最後の1枠”は河村勇輝が有力

 NBAはプレシーズンも佳境となり、10月23日(現地時間22日)に待望の2024-25シーズン開幕を迎える。

 渡邊雄太が帰還した今、注目の的はロサンゼルス・レイカーズのキーマンとされる八村塁、そして今シーズンより世界最高峰に挑むメンフィス・グリズリーズ河村勇輝である。

 メンフィスの街は河村に夢中だ。地元メディアは何かトピックスを見つけては172センチのポイントガードにスポットライトを当て、グリズリーズの広報アカウントがデイビッド・ジョンソンと契約を結んだ際にはエグジビット10契約への言及がなかったため、コメント欄には河村との契約を熱望する声が相次いだ。

 球団にも決断の日が迫っている。NBAチームは10月20日(現地時間19日)まで、非保証契約の選手をキャップヒット(サラリーキャップに計上されるサラリー額)を消化せずに解雇することができる。現在、グリズリーズはスコッティ・ピッペンJr.を本契約に昇格させたことにより、2023年にGリーグで最優秀守備選手賞とブロック賞のダブル受賞を果たしたビッグマンのジェイ・ハフ、そしてコネチカット大学のNCAA制覇に貢献したルーキーのキャム・スペンサーが2Way契約下にある。チームは3選手と2Way契約を結ぶ権利を所有しており、河村はこの残された最後の1席を獲得するべく、猛アピールを続けているのだ。 

NBAロスター入りへ向けて好アピールを続けている河村勇輝[写真]=Getty Images


『The Commercial Appeal』によれば、グリズリーズのコーチ陣は2Way契約の空席を内部昇格で埋めると予想。そして、河村を含むエグジビット10契約の4選手にその可能性があると分析している。

 河村勇輝は、非保証契約のプレーヤーで最長のプレータイムを与えられており、『The Commercial Appeal』はこの日本人ガードが「最も生産的だったと断言できる」と、活躍ぶりを絶賛。事実、接戦を見事ものにしたシカゴ・ブルズ戦とインディアナ・ペイサーズ戦では両試合でチームトップのアシスト数をマークし、ブルズ戦ではチーム2位のプラスマイナス「+17」を記録。身長を補う質の高いディフェンスも一定の評価を得ており、活躍ぶりとロスターのガード層の厚みを考慮すると、河村が最後のスポットを獲得する可能性が高いとしている。

■ 河村が競う“対抗馬”は?

河村はプレシーズンゲーム3戦目となったブルズ戦で渡米後最多となる8アシストを記録した[写真]=Getty Images


 その河村のライバルの筆頭候補が、ブラジル人フォワードのマオジーニャ・ペレイラだ。身長203センチの24歳は、河村より1年早くアメリカに挑戦し、昨シーズンはGリーグのメキシコシティー・カピタネスで平均20.1分出場、8.8得点、7.2リバウンドの安定したスタッツを記録。ディフェンスとリバウンドに定評のあるプレーヤーはグリズリーズが求める人材であり、プレシーズンでも3ポイント成功率60.0パーセント、2試合以上で7本以上のリバウンドを記録するなど、契約に値する活躍を披露している。

 プレータイムやスタッツこそ目立たないものの、ルーキーのアーマンド・ベイコットも手放すには惜しいプレーヤーである。IMGアカデミーに所属していた高校時代には、マクドナルド・オール・アメリカンやナイキ・フープサミットに選出され、ノースカロライナ大学ではティム・ダンカンが所持していたACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)のシーズン最多リバウンド記録を更新。「FIBA U18 アメリカ選手権」ではアメリカ代表の金メダル獲得にも貢献するなど、世代屈指の実力者であることはこれまでの経歴が証明している。リバウンダー不足のグリズリーズにとって、ザック・イディーのバックアッパーは検討事項にあり、将来的にリーグで活躍するポテンシャルは十分とみる。

 一方で、ナイジェリア代表としてオリンピックにも参加しているミエ・オニは、2019-20シーズンから3シーズンをユタ・ジャズで過ごしたというキャリアが差別材料となる。ブルズ戦では3本の3ポイントを含む11得点をマークしたが、27歳という年齢やプレシーズンのプレータイムを加味すると、既出の3選手よりは遅れをとっている印象だ。

 結論として『The Commercial Appeal』は、河村を2Way契約の最有力、ペレイラを対抗馬と位置付けている。グリズリーズ首脳陣は頭を悩ませているはずだが、日本人としては純国産の小さな巨人に最後のチケットが手渡されることを祈るばかりだ。

文=Meiji

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