2023.08.27

バスケW杯で“ヨルダンのコービー”として活躍するロンデイ・ホリス・ジェファーソン

今年7月下旬にヨルダン市民権を取得したホリス・ジェファーソン[写真]=fiba.com
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■「きっとコービーは笑顔でこれを見ているはず」と大会公式が投稿

 8月25日に幕を開けた「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」は、26日に大会2日目を迎え、フィリピンのマニラにあるモール・オブ・アジア・アリーナではグループCの2試合が行われた。

 1試合目はギリシャ代表が92-71でヨルダン代表、2試合目はアメリカ代表が99-72でニュージーランド代表をそれぞれ下したのだが、ヨルダンで背番号24を着用してプレーする男が注目を浴びた。

「きっとコービーは笑顔でこれを見ているはず」と大会公式のX(旧Twitter)アカウントが投稿した映像には、ヨルダン代表ロンデイ・ホリス・ジェファーソンがギリシャのディフェンスを切り裂いてドライブ、プルアップジャンパー、さらには3ポイントシュートも沈めていた。

 コービーとはもちろん、ロサンゼルス・レイカーズで20シーズンを戦い抜いたバスケットボール界のスーパースター。2020年1月末にヘリコプター墜落事故で他界したのだが、198センチ98キロのホリス・ジェファーソンは、まるで198センチ96キロのコービーが憑依したかのような動きの数々で話題に。

■「1回だけ彼のことをガードした。あれは最高の思い出だった」

 ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれのコービーは、途中イタリアで過ごしたのだが、同州のローワー・メリオン高校でプレー。対するホリス・ジェファーソンは同州のチェスターで生まれ、チェスター高校でプレーしてきた。

 今年7月下旬にヨルダン市民権を取得し、ヨルダン代表チームの一員となったホリス・ジェファーソンは、アリゾナ大学で2年間プレーし、2015年のドラフト1巡目23位でポートランド・トレイルブレイザーズから指名され、トレードでブルックリン・ネッツへ移籍してNBA入り。

 ネッツとトロント・ラプターズで計6シーズンをプレーした男は、2020-21シーズンを最後にNBAから遠ざかっているのだが、ホリス・ジェファーソンにとって、ルーキーシーズン(2015-16)はコービーのラストシーズンでもあった。

 27日に『spin.ph』へ公開された記事のなかで、ホリス・ジェファーソンはルーキー時代にコービーが“フェアウェルツアー”としてブルックリンへ凱旋してきた際のエピソードをこう明かしていた。

「あの時、僕は『ねぇ、僕になにかアドバイスはありますか?』と聞いたんだ。そしたら彼はエルボーを好きになれと言ってくれた。それからというもの、僕はミッドレンジ(ジャンパー)を磨いて、毎年うまくなってきたんだ」

コービーから助言をもらい、ホリス・ジェファーソンはジャンパーを磨いてきた[写真]=Getty Images

 ホリス・ジェファーソンは左利きではあるものの、ワールドカップの試合で見せた動きの数々はどれもコービーを彷彿させるもので、ジャンパーを放った後にボールの行方を見届ける姿勢も似ていただけに、ソーシャルメディアで注目を浴びるのも当然といえば当然。

 ギリシャ戦でチームは敗れたものの、24番のホリス・ジェファーソンはゲームハイの24得点に9リバウンド3アシストと活躍。24は奇しくもコービーがNBAキャリア後期の10シーズンで着用していた背番号だった。

 ヨルダンを引っ張る28歳の得点源は「みんなが(僕について)話してくれるのは光栄だね。でも最終的にはコービーはコービーなんだ。僕はロンデイなのさ。(けど)確かに、彼の映像は何度も繰り返し見てきた。似たようなサイズと運動能力だからね」

 そう口にしたホリス・ジェファーソンは、憧れのコービーとNBAのコートでマッチアップした最初で最後の2015年11月7日(現地時間6日)のレイカーズ戦をこのように振り返っていた。

「(コービーのキャリアは)終わりへと向かっていた。けど僕は一度彼と対戦したんだ。そして1回だけ彼のことをガードした。あれは僕にとって最高の思い出だったよ。そこで彼は(そのポゼッションで)パスしたから、僕を相手に点を取らなかったんだ。彼とコートを共有できるなんて、間違いなく光栄なことだったよ」

 バスケットボール界へ絶大な影響を与えてきたコービー。早すぎる別れから3年半が経過した今もなお、この男はバスケットボールプレーヤーたちのなかで生き続けている。

 ヨルダンとホリス・ジェファーソンは、28日にニュージーランド代表、30日にアメリカ代表との試合が組まれている。スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ/ゴールデンステイト・ウォリアーズ)をはじめ、アメリカ代表でプレーする現役NBA選手たちが、“コービーのようなプレーをする”ホリス・ジェファーソンと対戦してどう感じるのかは気になるところだ。

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