2018.08.01
FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区1次予選突破を懸けた大一番を前に、日本代表の真のエース争いが静かにスタートした。
同予選にて0勝4敗と崖っぷちに立たさせている男子代表。その中でも4戦合計74得点(1試合平均18.5得点)を挙げてチームをけん引している比江島慎(シーホース三河)が、現在日本のエースであることに異論を唱える者はいないだろう。
しかし、15日に行われた韓国との「バスケットボール男子日本代表国際強化試合2018」で、比江島は約15分間の出場にも関わらずファウルアウトとなってしまった。立ちあがりは「あんなに速いとは思わなかった」と、韓国のスピードにアジャストできず第1クォーターで2つのファウルを宣告される。第3クォーター残り5分9秒、同3分11秒にも笛を吹かれてしまい、最終クォーター残り1分57秒まではコートに立ったが、この時点で5つ目のファウルを犯し退場。「自分でペースを乱して、納得いくプレーができなかった」との言葉どおり、得点もわずか7得点にとどまり、チームの勝利とは裏腹に日本のエースは影を潜めた。
一方で、比江島に代わって日本を勝利へ導いたのは、ともに25分以上のプレータイムを得た八村塁(ゴンザガ大学)とニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)だ。八村が17得点7リバウンド2ブロック、ファジーカスが28得点13リバウンドと見事期待に応えて鮮烈なフル代表デビューを飾った。
新エース候補に名乗りを上げた2人について、比江島はどう捉えているのだろうか。
「塁は(ディフェンス)リバウンドを取ってから自分でプッシュできますし、ファジーカスはピック&ロールの際にポップしてスペースを空けることもできます。インサイドで点が取れるという部分でフォーメーションも増えましたし、苦しい場面でも1回インサイドに入れてから(攻めること)もできる」
「僕は点を取れていないですけど、(チームで)90点近く取れているのでそこは楽です」と自身への負担が軽くなったことを明かしたが、「それによって自分のプレーが良くなるかはわからない」と連携については「これから」だという。
もっとも、今回は主役を奪われた形となったが「やることは変わらない」と、エースの座を譲るつもりはない。
「ペイントエリア内にドライブするのは自分の仕事ですし、(フリオ)ラマス(ヘッドコーチ)にも『いつもどおり起点になってくれ』と言われたので、今までどおりエースの自覚を持ってやろうと思った。今日に関してはできなかったが、次はもっとシュート本数を増やしていきたい」
日本の救世主となるのは八村か、ファジーカスか、それとも比江島か。まずは17日に行われる韓国とのテストマッチ第2戦。チーム全体の完成度とともに、3人のエースとしての働きぶりにも注目したい。
文=小沼克年
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