2018.11.20
2017-18シーズンのアルバルク東京において、ゴール下の番人としてチームのBリーグ初制覇に大きく貢献したのがアレックス・カークだ。2013年にユニバーシアードのアメリカ代表を経験し、翌年にクリーブランド・キャバリアーズで5試合に出場して以降、Dリーグ(現Gリーグ)、イタリア、中国、トルコのクラブを渡り歩いた男は、昨季の新天地に選んだA東京でレギュラーシーズン全60試合に先発出場。指揮官の規律正しいバスケットスタイルを忠実に表現し、献身的なプレーを見せる一方、211センチ114キロの巨体から繰りだす豪快なダンクでファンを虜にした。若干26歳ながら経験豊富なカークに、昨季の振り返り、今季の意気込みを語ってもらった。(9月23日取材)
インタビュー=酒井伸
写真=Bリーグ
――まずは昨シーズンを振り返ってください。
カーク ファイナルで千葉(ジェッツ)に勝ち、優勝することができて本当に良かったです。長いシーズンでアップダウンがありましたが、最終的に自分たちがやり続けた結果として優勝できたかなと。素晴らしいシーズンでした。
――ご自身のパフォーマンスはいかがでしたか? レギュラーシーズンでは全60試合に先発出場して、1試合平均16.2得点8.9リバウンドの成績を残しました。
カーク 日本は初めての国で、(ルカ・パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチが就任1年目、選手も新しい人が多く、バスケットのスタイルも真新しく。あらゆることが初めてでしたが、長いシーズンの中で対応できて良かったと思っています。スタッツはある程度のものを残せたかなと。他の選手と比べてフィールドゴール試投数(594本/B1リーグ17位)があまり多くなかったですが(※1位は新潟アルビレックスBBのダバンテ・ガードナーで1066本)、チームのシステムを活かして効率的に得点、リバウンドを挙げることができたと思います。
――ニック・ファジーカス選手(川崎ブレイブサンダース)やロバート・サクレ選手(サンロッカーズ渋谷)など、マッチアップした対戦相手で特に印象深い選手はいますか?
カーク チーム全体としてオフェンス、ディフェンスをやっていましたので、誰か1人の名前を挙げるのは難しく。印象に残った選手はあまりいないのが事実です。
――昨シーズン開幕前、ピック&ロールに対するディフェンス、スピードを求められるプレーなどが大変だとうかがいました。
カーク 最初は慣れなくて、シーズンを戦っていくうちに慣れていくしかありませんでした。スピードがある相手ガード選手を、ヘルプで守るなどの動きは大変でしたけど、感覚と全体的なディフェンスルールをしっかりと体や頭の中にインプットしていって、シーズン最後はオートマチックにできるようになりました。
――シーズン終了後の6月13日には契約継続が発表されました。今季もアルバルク東京でプレーしようと思ったきっかけは何ですか?
カーク 実はこれまでのプロキャリアにおいて、同じチームで2年以上プレーしたことがないんです。ただ、アルバルクで最高の結果を残すことができて、メジャーリーグでいうニューヨーク・ヤンキースのような強豪チームから継続のオファーをいただけたので、もう一度ここでやろう、昨季以上のことをやってやろうという気持ちになりました。
――オフシーズンはどのように過ごしていましたか?
カーク 短いオフシーズンでしたが、6月頃にアメリカに帰って、ゴルフをやったり、ニューメキシコ州の実家で家族と過ごしたり、彼女と旅行したり。7月上旬にはハンティントンビーチ(カルフォルニア州)でトレーナーの下、NBA選手たちと一緒にスキルのワークアウトを始めました。あまり休む間もなく体作りに入ったので、今シーズンも非常に仕上がっています。
――ルカHCの練習には慣れましたか?
カーク 非常に充実していますが、慣れたかと言われると……(苦笑)。
――日本での生活は?
カーク とても慣れてきましたし、ここでの生活をエンジョイしています。日本はとても素晴らしくて安全な国で、町を探索できるようにもなりました。しゃぶしゃぶ、寿司、焼き肉などの日本食も好きです。
――シーズン開幕を迎えるにあたり、先日のアーリーカップでは優勝を飾りました。
カーク 僕自身はMVPを受賞し、チームの勝利に貢献できたことが何よりもうれしいです。コンディションは万全ではなかったですけど、サクレ選手(SR渋谷)や(ジェフ)ギブス選手(栃木ブレックス)とのマッチアップでも負けず、自分の役割を果たせたと思っています。
――新加入のミルコ・ビエリツァ選手と出場する時間も多くありました。
カーク まだ彼もチームに慣れている段階で、コンビネーションなどに不安はありますが、時間の経過とともに息が合ってくるかなと。彼は本当に能力が高く、モンテネグロ代表やユーロリーグでの実績があります。ルカHCとは言葉の壁がなく、システムもすぐに理解できると思っています。
――カーク選手は試合中や練習中、日本人選手にも積極的に声を掛けたり、指示を出したりしていますね。
カーク 昨シーズンとおしてチームのいいところ、悪いところをわかり合えたので、今はチームがより良くなるために取り組んでいます。年齢的には(竹内)譲次やジャワッド(ウィリアムズ)のベテランに次ぐ中堅クラスだと思っていて、(田中)大貴とともにチームを引っ張ったり、これまでの経験をチームに伝えたり。「こういうときはこうしよう」などはコート上で、言葉の壁なしでコミュニケーションを取っているので、チームケミストリーをさらに高めていきたいです。
――まもなくBリーグ3シーズン目が開幕します。個人とチームの目標を聞かせてください。
カーク 昨シーズンよりもいいプレーをしたいです。オフシーズンはかなり追いこみ、アーリーカップで優勝したことで自信がついています。個人としてはリーグナンバーワン選手を目指していきます。チームは2年連続でチャンピオンになることを目標に、長いシーズンなので日に日にステップアップしていきます。
――最後にファンへのメッセージをお願いします。
カーク 昨シーズンはファンの皆さんの支援があったからこそ優勝できました。ファイナルの試合会場、横浜アリーナでプレーしたことは一生の経験ですし、ファンの皆さんとともにあの場に行けたことに本当に満足しています。今シーズンもどのようになるかわかりませんが、いい時も悪い時も一緒に戦って、再びあのステージに立てるように努力していくので、今シーズンもサポートよろしくお願いいたします。
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