2017.12.05
12月1日、Bリーグ第10節が行われ、東地区3位川崎ブレイブサンダースは、11勝6敗と勝率で並ぶ同地区4位のサンロッカーズ渋谷をホーム川崎市とどろきアリーナで迎え撃った。
川崎は前節の富山グラウジーズ戦では、相手の高いオフェンス力に手を焼き1勝1敗。昨季中地区で勝率.817と圧倒的な強さを見せた川崎だが、強豪ひしめく東地区へと移った今季は、すでに6敗を喫するなど、昨季ほどの“絶対王者ぶり”は発揮できていない。川崎としては、オールスターまで続くタイトなスケジュールを乗り越えて、先を走る千葉ジェッツ、そしてアルバルク東京を追い上げたいところだ。
SR渋谷とは昨季も同地区となり、8度の対戦で6勝2敗と大きく勝ち越している川崎は、ともに東地区へと移った今季も対SR渋谷2連勝中と、相性は決して悪くはない。一方で、独り勝ちともいえる状態で昨季中地区を制した川崎に2試合以上の黒星をつけたのは三遠ネオフェニックス(3勝)、シーホース三河(2勝)、そしてSR渋谷(2勝)の3チームのみと、決して油断できる相手ではない。
川崎は、同地区のライバルとして、重要な局面を争うであろうSR渋谷に対し、更に連勝を伸ばし、シーズン佳境に向けて精神的なアドバンテージをしっかりと確保しておきたいところだ。
試合開始は19時10分。川崎は日本代表の篠山竜青に変わり藤井祐眞が先発に入った。試合開始早々、広瀬健太に3Pを許した川崎は、完成度の高いSR渋谷のディフェンスを崩すことができず、ロバート・サクレのフックシュート、、ジョシュ・ハレルソンに3Pを許すと、広瀬健太には鮮やかにスチールを決められて、0-10と序盤の主導権を完全に奪われる。川崎の北卓也ヘッドコーチは、たまらずタイムアウトをコールすると、篠山をコートへと送り込むこととなった。司令塔篠山の投入によって、ゲームを落ち着けてリズムを取り戻したい川崎だったが、SR渋谷のエネルギッシュなディフェンスを攻略することができず、24秒バイオレーションを頻発。川崎は第1クォーター、シュート21本を放ち2本を決めるにとどまり、フィールドゴールパーセンテージわずか9.5%の低空飛行、最初のクォーターで6-23と大きなビハインドを背負う苦しいスタートとなった。
続く第2クォーター辻直人が3ポイントを立て続けに沈め、なんとかリズムを取り戻すかに見えた川崎だったが、序盤に失ったリズムを取り戻すことができず、その後も度々24秒バイオレーションを犯し、ボールをロスト。川崎は、SR渋谷のミスにも救われ第2クォーターを14-12とわずかに盛り返したものの、前半を20-35の15点ビハインドで折り返した。
川崎は前半のリズムの悪さを修正し、ファジーカスのローポストからのアタック、辻の3ポイントなどで得点を重ねるが、SR渋谷の長谷川智也、広瀬に3ポイントを許すなど点の取り合いとなる。第2クォーターに続き、第3クォーターも28-26の僅差で制するも、序盤の差を埋めるには至らずに勝負は最終クォーターへと突入した。
第4クォーターはファジーカス、辻、藤井が積極的にオフェンスを仕掛け、一気に差を詰めるかに見えた川崎だったが、もう一歩のところでサクレを中心に踏みとどまるSR渋谷を追い詰めることができず、そのまま試合終了。川崎はファイナルスコア70-79で敗れ、7敗目。勝ったSR渋谷は、オールジャパン3次ラウンドでは、B2リーグ所属の茨城ロボッツに不覚をとったものの、リーグ戦はこれで8連勝となった。
敗れた川崎の北HCは「試合の出だしが全てだった。第1クォーターの得点が6点だったので、差を埋めるのは大変だった」と敗因を述べると「後半追いつける雰囲気は出ていたが、自分たちのミスで差が縮まらなかった」と肩を落とした。強豪川崎を倒し、見事8連勝を飾ったSR渋谷勝久ジェフリーHCもその勝因を「出だしのディフェンスが全て」と語ったとおり、この試合を決定付けたのは序盤の主導権争いに尽きる。
試合のペースを握りあう“リズムのスポーツ”バスケットボール。東地区のライバル同士の対決は出だしのリズムをしっかりと握ったSR渋谷が制することとなった。早くも7敗目を喫した昨季中地区王者の川崎。同地区のライバル相手に高い授業料を払った代償として、“出だしの音”を外さないよう、うまくリズムにのって、昨季の憎らしいほどの強さを取り戻したい。
文=村上成
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