2018.10.05

【Bリーグ開幕特集】シーホース三河④鈴木貴美一HCインタビュー「いきなり中位になるのかなと思っている方もいるでしょうが、昨年よりもさらに上を目指します」

これまで積み上げてきたものを維持しながら、チームの変化をいとわない鈴木貴美一HC[写真]=シーホース三河
ライター・カメラマン

3シーズン目の開幕を目前に控えたBリーグ。過去2シーズンで得た成果、反面浮き出てきた課題、その両者を昇華していくことでクラブはさらに進化を遂げていく。中地区の強豪としてその名を欲しいままにしてきたシーホース三河も正念場のシーズンを迎えることになる。しかし百戦錬磨の鈴木貴美一ヘッドコーチにとっては、チームが変化していく状況をむしろ楽しんでいるようにも見える。「From top to bottom」を今季のスローガンに据える鈴木HCにお話をうかがった。

取材・文=山田智子

―――今季は中心選手だった橋本竜馬選手、比江島慎選手が退団し、リーグのオンザコートルールも変更されました。先発選手が変わることが予想されますが、どのような戦い方を目指しますか。
鈴木HC 去年は多彩な攻撃ができて、得点数もシュートの決定率もリーグで最も良い結果を残すことができました。しかしチームオフェンスが非常にうまくいった一方で、レギュラーシーズンはディフェンスの波があり過ぎました。ですので、今年はディフェス力のアップを第一に考えています。

―――得点という点では、昨季1試合平均13.8得点を挙げた比江島選手が抜けた影響は大きいと思いますが、オフェンス面はいかがですか。
鈴木HC
 去年までは日本人選手の得点力を生かすために、外国籍選手はリバウンドなどゴール下を頑張る選手で構成していました。今年は得点を取れる外国籍選手が加わったので、みんなで点を取っていく形になると思います。それでも昨年のより得点が減る可能性もありますが、その分は守備を強化して補っていきます。

得点源としても期待がかかる新加入のジェームズ・ザザランド [写真]=B.LEAGUE

――ポイントガードには若い生原秀将選手(栃木ブレックスから移籍)が加わりました。どのようなことを期待されますか。
鈴木HC
 生原選手のいいところを引き出しながら、今までいた選手とはまた違うスタイルのポイントガードにしっかり育てたいと思います。強いメンタリティーもフィジカルも持っている選手なので非常に楽しみです。色々なことを貪欲に吸収しようと質問をしてきますし、そういう選手は間違いなく伸びます。彼の成長はチームにとっても大きな力になります。

栃木から移籍の生原 [写真]=B.LEAGUE

――今季は非常にハードな練習をしている印象を受けます。選手のモチベーションも非常に高いですね。
鈴木HC
 去年よりも激しく、中身の濃い練習をしています。今までいた選手たちがはりきってやっているので、ここから誰が出てくるのか楽しみです。これまでも、佐古(賢一)、網野(友雄)、竹内公輔の日本代表選手3人が一度に抜けたときにすごく良いチームができて、次の年(2011年)に優勝した経験があります。全員がピュアな気持ちで取り組むことで、そういうことが起こるんですね。メンバーが変わったからいきなり中位になるのかなと思っている方もいるでしょうが、昨年よりもさらに上を目指します。

――今季のスローガンは「From top to bottom」。どのような意味を込められたのでしょうか。
鈴木HC
 「何事も徹底する」という意味です。技術もメンタリティーも含め、昨年は大事な試合で力が発揮できませんでした。トータルで勝率1位という結果を出しながら、チャンピオンシップでではなぜあと一本ができなかったのか、そこは真摯に反省しなければいけない。チームに関わるすべての人が、日頃の生活から高い意識を持ってやり続けることが大事な場面で力を発揮する秘訣です。99%ではなく、「100%徹底」していきます。

――開幕戦は名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの愛知ダービー、ホーム開幕戦は昨年のチャンピオンシップセミファイナルで敗れたアルバルク東京と、いきなりタフなゲームが続きます。
鈴木HC
 見る方はうれしいかもしれないですけど、当たるのが少し早いなあと(笑)。去年も開幕戦が栃木でしたし、もう少し余裕もたせてよという感じなのですが、こればかりは仕方ないですね。もちろん完璧にスタートダッシュできるのが理想ですが、我々はいつもアジャストしながら段々盛り上げていくスタイル。その時の最高のパフォーマンスを出して、シーズンを戦いながらアジャストし、常にチャレンジャーとして優勝を狙っていきます。

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