2025.06.10

久しぶりのポイントガード起用もアシストを量産した赤木里帆「得点に絡みつつ、周りも生かしていきたい」

ゲインズHC体制で代表デビューを果たした赤木里帆 [写真]=黒川真衣
フリーライター

 6月7、8日と2日間に渡って愛知県の豊田合成記念体育館(エントリオ)にて行われた「三井不動産カップ2025(愛知大会)」。2試合ともに女子日本代表が女子チャイニーズ・タイペイに勝利を収めたが、この大会では6名の選手がトップの日本代表としてデビューを飾った。

 富士通レッドウェーブの赤木里帆もその一人だ。赤木は昨シーズン、富士通の皇后杯優勝、Wリーグ連覇に貢献したガード。シーズン序盤は6thマンとしての出場ではあったが、林咲希がケガで戦線離脱してからはスターターとしてファイナルまで戦い抜いた。そのファイナルでの活躍もあり、プレーオフのベスト5にも選出されている。

 また、桜花学園高校、東京医療保健大学と学生時代にも日本一を達成。加えて、アンダーカテゴリーの日本代表ではU16、17、18で国際大会の出場経験がある。

 26歳でトップの日本代表活動初参加となった赤木は、三井不動産カップでは富士通のときと同じポジションである2番(シューティングガード)のみならず、1番ポジション(ポイントガード)も務めた。

「緊張はいつもしているので、いつも通りかなという感覚です。2日間、楽しめました。2番で出たときは、先頭を走るようにしましたが、1番で出たとき、例えば今日(第2戦)は少し狙いどころに迷いがあったというか。ポイントガードとしてもっとできことはあったかなと思っています。周りを生かすというのが課題ではありますね」と、2試合を振り返る。それこそ本格的なポイントガードとなると大学4年生と富士通入団1年目以来とのことで、「(富士通の)2年目からはシューティングガードをすることが多くなったので、1番は久しぶりという感覚です」とも言う。

「2番で出るときは走って、開いたらシュートを打つというように割と流れを意識しますが、1番で出たときは走っている選手を生かす、周りを見ることへの意識が強くなります。それはポイントガードの使命でもあると思うので。自分が2番で出ているときにやりやすいなと思っていることを(ポイントカードとして)しっかりやっていきたいです」

攻撃力の高さも赤木の魅力 [写真]=黒川真衣

 取材中、赤木の口からは課題が多く聞かれたが、それでもスタッツを見れば、第1戦は10分29秒の出場でチームハイの6アシスト。続く第2戦は11分24秒の出場でチーム2番目となる5アシストという数字を残した。

「いい選手がたくさんいる中で、その選手の良さを出していくのはガードの役割でもあるというのは学んできました」と、赤木。

 その学びの中には富士通の先輩である町田瑠唯の存在もあるようで、「瑠唯さん見て学ぶことは、というか学ぶことしかないです」と、言う。そしてまた、「パスの出し方やいかに正確に出すか。今日もそこは全然だめだたったと反省していて、もう少し(パスの)精度を上げていきたいです」と課題を口にした。

 一方で、試合の中で1番や2番と役割は変わるが、その切り替えはできていて、「落ち着いて役割を果たせているかなと思います」と手応えも感じている。そうした『落ち着き』を生み出す要因には富士通で重ねてきたキャリアも大きいと加えた。

 そんな赤木に対して、「ポイントガードは新鮮ですよね。いつも富士通だと心配なところがあるのですが、代表で活き活きしている姿を見てよかったなと思います。相手が強くなってきたときにどこまでできるのかという赤木自身の伸び代も楽しみだし、いい経験になってるかなと思います」と、日本代表の経験値が高い宮澤夕貴(富士通)は言う。

「得点力。コーリ・ゲインズヘッドコーチはアタックすることを(強く)言っているので、パスファーストにならないように。しっかり自分のアタック、強みを生かして得点にも絡みつつ、しっかり周りの選手も生かしていきたいです」と、今後の抱負を語った赤木。

 積極的にリングへと向かう姿勢は2試合を通して見られたが、「まだまだです」と、本人はキッパリ。自らに厳しく、初の日本代表にも平静を保ちながら富士通優勝の立役者は、日本代表でもしっかりと地に足をつけてチームと個のレベルアップに励んでいる。

文=田島早苗