2025.07.20

日本代表に頼れる存在が復帰…吉井裕鷹が語った若手への愛のムチ「気持ちがまだまだ」

日本生命カップ第1戦以来の出場となった吉井 [写真]=古川剛伊
フリーライター

 7月19日、LaLa arena TOKYO-BAYで「SoftBankCUP2025(千葉大会)」GAME1が行われ、男子日本代表(FIBAランキング21位)がデンマーク代表(同59位)と対戦。両チームとも得点が伸びない展開となったが、日本は最終スコア69−64で勝利を収めた。

 吉井裕鷹三遠ネオフェニックス)がコートに戻ってきた。日本代表に欠かせない男は、7月5日のオランダ代表との「日本生命カップ2025(東京大会)」第1戦で右足首を負傷。この試合後、トム・ホーバスヘッドコーチは「ネンザしたけど、ひどいネンザではないです。明日は出さないけど韓国遠征では出したい」と話していた。しかし、7月11日と13日に韓国で行われた強化試合では出場を回避。それでも吉井は遠征メンバーに名を連ね、チームメートの戦いを現地で見守った。

 迎えたデンマーク戦との初戦、背番号91は先発出場。ティップオフ前は両手を広げてコート上の4人を自身のもとへ集め、ハドルを組んだ。

「打った瞬間から感覚はあまりよくなかったです。でも、チームが作ってくれたシュートは多少感覚が悪くても思いきって打つことが大事ですし、試合のいい流れを作るうえでかなり重要になってきます」

 第1クォーター序盤に放った自身最初の3ポイントシュートは大きく外れた。だが、同クォーター残り4分29秒には1本目とほぼ同じトップからの位置から3ポイントを沈めた。

 右足の状態を聞かれると、「ぼちぼちです」と吉井は答えた。まだ本調子でないものの、デンマーク戦の出場時間は25分以上に及んだ。「それだけ信頼されているということですし、出た時間帯は全力でやろうと思っていました。 全力でやること自体は遂行できました」。そう振り返った吉井に対し、ホーバスHCは「やっぱり吉井がいると安心します」と言及した。

「シュートを外し続けても打ち続けることをしていきたい」 。吉井が記録したのは5得点だったが、内外から計10本のシュートを放った。チームに最も与えたかったのは「インテンシティ、強部の部分」と、攻守にわたりフィジカルのぶつけ合いでも一歩も引かなかった。

 吉井は復帰戦で一定の手応えを口にした。しかし日本は、「FIBAアジアカップ2025」に向けたここまでの強化試合で満足のいく結果、内容を得られていない。特に77-91、69-84で連敗を喫した韓国戦は、吉井にとってもフラストレーションが溜まる2試合だったようだ。

 ケガでコートに立てなかった期間、吉井は若手中心で構成された現在の日本代表に何を思い、何を感じていたのか。本人に尋ねると、モヤモヤを隠しきれないまま口を開いた。

「学生が多いので、しょうがないと言ってしまえばその一言で終わりますけど、バスケットをまだ真剣にやりきれてない。『自分が自分が』ってなっている若い選手が多いですし、それをまとめるとなると、やっぱり一概に口だけではなかなか難しいです。自分が態度でも示していかないといけないので、この試合も、韓国戦もずっと喋り続けていました」

「若い選手たちは本当にポテンシャルの塊なので」。吉井は、今回の強化試合がアジアカップの出場メンバーをかけたトライアウトでもあり、これから花開こうとしている若手選手たちの素質も認めている。だが、日本代表のユニフォームを着ているということは、それ相応の責任と覚悟を持ってほしいと主張する。

「やっぱり楽しくバスケをやりたいという気持ちはわかりますけど、まだそのレベルに達していないです。仕事として、目の前の相手を倒すという気持ちがまだまだ足りないので、そこをもうちょっと出してもらいたいなって思います」

 アジアカップ本番に向けた国内最後の強化試合は、明日の第2戦を残すのみ。ホーバスジャパンを熟知している吉井が、“強い日本”を取り戻すキーマンであることは間違いないだろう。今後を占う重要な一戦は、15時ティップオフだ。

文=小沼克年

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