2025.09.26
試合時間残り約4分、ENEOSサンフラワーズのリードを再び2ケタとするビッグシュートを決めたのは、前日に20歳になったばかりの田中こころだった。
1月11日に行われた「第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」の女子ファイナルラウンド決勝、デンソーアイリスを相手に序盤から優位に進めたENEOSは、前半を12点リードで折り返す。しかし第3クォーター、相手のゾーンディフェンスに得点ペースが落ちると、第3クォーター終了時には同点に追いつかれてしまう。だが、気迫に勝るENEOSのエナジーは落ちることなく、第4クォーター中盤からは馬瓜エブリンやプレッツェル アシュテンらの活躍で再度引き離しに掛かる。すると、先に挙げたように宮崎早織からのパスを受けた田中が、相手の戦意をくじくような3ポイントシュートを大事な局面でしっかりと沈めたのだ。
結果的には10点前後のリードをキープしたENEOSが76-62で勝利。3大会ぶり28回目の優勝を飾った。
「試合終了のブザーになったときはあまり実感が湧かなくて。でも、カップ上げなど表彰式のときには、本当に優勝したんだなと実感しました」
入団2年目。ENEOSでの初めてのタイトル獲得の感想を語った田中は、勝ちを大きく引き寄せた3ポイントシュートについてこう振り返った。
「その前にも3ポイントシュートを打っていたのですが、そのときはあまりシュートタッチが良くなかったんです。だけど、私の持ち味というか、打ち続けることが大事だなと思っていたので、『(パスが)来たら打つ』とシュートを外し続けても思っていたし、自信を持ってやれたので、その結果かなと思います。絶対に宮崎選手のところに相手(ディフェンス)は寄るので、私が開くと思っていましたし、ユラさん(宮崎)も絶対私にパスくれると思っていたので、そこも含めて準備ができていました」
今シーズンをもって引退を宣言している宮崎にとっては最後の皇后杯。その引退に花を添える優勝に「めちゃくちゃうれしかったです。チームとしてユラさんを胴上げしようという話があったので、それが実現できて良かったです」と、田中は笑顔を見せる。日頃の練習から「教えてくれる」という先輩ガードからは学びは多いようで、「ゲームをコントロールする力はさすがだなと思います」と、語った。
昨年10月に開幕したWリーグのレギュラーシーズンでは12月28日現在でプレミアの5位。上位4チームに与えられるプレーオフ出場権争いの渦中にいて、ここまでの勝敗は10勝12敗と苦しんできた。その中での皇后杯奪還。「全員が一発勝負(のトーナメント戦)ということで気持ちが入ってました。私たちはもっともっとできるんだということが皇后杯で証明されたと思うので、そこはこの後、(Wリーグは)まだまだ続くので、そこにもつなげていけたらと思います」と、田中は1月24日から再開するWリーグに向けて意気込む。

大舞台での勝負強さは日本代表の国際ゲームでも証明済み [写真]=伊藤大允
皇后杯の決勝では先輩たちの声掛けが大きかったという田中。「緊迫した状況でも頭は冷静でした。でもそれはキャプテンのユラさんやアンさん(星杏璃)たちの声掛けがあったからこそ冷静さを保てたので、本当に先輩たちのおかげです。私自身もプレッシャーを感じずに、ただ失敗してもいいからやるだけだと思っていたので、そこはできて良かったと思います。接戦を勝ち切れたことは、(自分自身も)すごく成長できたところだと思います」と、今大会での自身の戦いも総括した。
もちろん、まだまだ納得はしてないだろう。そう問うと、いつものニコッとした表情で「はい、そうですね」と元気な声が返ってきた。
「とにかく自分らしく、前が空いたら打つ、それだけです!」
7得点2アシストという数字以上にインパクトを決勝の舞台で残した20歳のガードは、Wリーグのプレーオフ進出に向けて、レギュラーシーズン残り6試合を全力で戦いに行く。
文=田島早苗
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