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【インタビュー】天理大学・齋藤アリンゼ陽がBLACK SAMURAI 2025で学んだこと「貴重な時間、1秒も無駄にできない」

現在は天理大学でプレーする齋藤[写真提供]=天理大学バスケットボール部
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 NBAスター八村塁が、自身の経験や視点を次世代と共有するために立ち上げたプロジェクト「BLACK SAMURAI」。2025年に行われたそのキャンプで、世界基準の熱量に触れた一人がナイジェリアにルーツを持つ齋藤アリンゼ陽(現・天理大学1年)だ。
 福島の名門・福島東稜高校でキャプテンを務めた齋藤は、キャンプでのNBAコーチや八村からの教えをいかに自身の力に変えたのか。

インタビュー・文=峯嵜俊太郎(バスケットボールキング編集部)

BLACK SAMURAI 2025とは?

NBA選手・八村塁が世界の舞台で培ってきた学びや視点、そしてマインドセットを日本バスケ界と共有したいという思いから誕生したプロジェクト。2025年の「THE CAMP」ではIGアリーナを舞台に中高生向けのキャンプが3日間にわたって開催され、最終日には1万人を超える観客が見守る中、キャンプ参加者によるスペシャルマッチ「THE SHOWCASE」が行われた。2026年は「CAMP」「SUMMIT」「Homecoming」の3つのテーマ、神戸・愛知・富山の3つの会場でイベント開催が予定されている。

■「自信を持っていい」 NBAスターとトップコーチからの教え

――早速ですが、まずは「BLACK SAMURAI CAMP 2025」に応募した経緯から教えてください。

齋藤 きっかけは母でした。ネットの記事で募集を見つけて僕に教えてくれたんです。ちょうどインターハイの県予選で負けてしまい、夏休みの予定が何一つなくなってしまった頃で、それならチャレンジしようと思って応募しました。

――お母様は、齋藤選手のチャレンジに非常に協力的なのですね。

齋藤 はい。バスケットボールに関して僕をすごくサポートしてくれていて、「BLACK SAMURAI CAMP」の少し前に参加した「B.LEAGUE TRYOUT 2025」についても、母が募集しているのを見つけてくれたことがきっかけで参加できました。

B.LEAGUE TRYOUT 2025に最年少で参加[写真]=Bリーグ

――事前選考を通過して、キャンプに参加が決まった時の心境は?

齋藤 最初は本当に驚きました。とにかくビックリという感情が大きすぎて、時間が経つにつれてうれしさが込み上げてきた感じでした。キャンプ当日も周りは知らない選手ばかりでしたし、それこそジャック選手(白谷柱誠ジャック)みたいに日本代表に選ばれている選手もいて、結構緊張しましたね。そのなかでもしっかり自分にできることをやろう、という思いで臨んだのを覚えています。最初の緊張も、キャンプで同じグループになった選手のなかに、練習試合で対戦したことのある実践学園の元川敬翔選手がいて、彼と話すうちに少しずつ緊張がほぐれ、自分らしくプレーできるようになりました。

――NBAのトップコーチ、フィル・ハンディ氏の指導も受けました。練習メニューで印象に残ったものはありますか?

齋藤 印象に残ったのはキャンプの最初の方に行った、その場でのハンドリングやドリブル練習です。NBAのスターである八村選手や世界的なコーチも、そういう誰でもやっている練習をしっかりやっていて、やっぱり基礎が大事なんだと改めて思いました。あと、これは練習全体を通してですが、ドリブルをつく位置やステップの踏み方を一つひとつすごく意識してやっていて、細かいところまで意識して練習することの大事さにも気付かされました。

――キャンプ中、特に印象に残っている言葉やアドバイスはありますか。

齋藤 3日目のスペシャルマッチの最中、フィルコーチが僕に「もっと自信を持ってやっていいんだ」と直接声をかけてくれたことはすごく大きな力になったというか、自信につながりました。終わった後には、八村選手からも「上手かった」と言っていただけて本当にうれしかったですし、人から掛けられた言葉で自信がついて、プレーにもいい影響が出るというのも初めての経験でした。

NBAを知る二人からの言葉が齋藤に大きな影響を与えた[写真]=Getty Images

――「BLACK SAMURAI CAMP 2025」を経験して、ご自身のなかでどのような変化がありましたか?

齋藤 それこそ、ドリブルをつく位置やステップの踏み方、ボールのも力もそうですけど、細かなところまで意識して練習するようになりました。あと、周りからすごく言われたのが「自分の意見をアウトプットするようになった」という部分。それはキャンプで自信がついたからできるようになったことだと思いますし、キャンプでも「コミュニケーション取らないとバスケットはできない」と教わったので、福島東稜に戻ってからはキャプテンとして積極的に声を出し、チームメートをリードすることを意識しました。

■“ボンズ”の影響でバスケの道へ 強豪・福島東稜での歩み

福島東稜高校では3年次にキャプテンとしてウインターカップに出場[写真]=バスケットボールキング

――ここで齋藤選手のルーツについても伺いたいと思います。バスケを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

齋藤 小さい頃はサッカーをやっていたんですけど、当時bjリーグ所属の福島ファイヤーボンズの試合を見に行く機会があって、シンプルにすごくかっこいいなと思ったんです。同じ時期くらいに小学校のクラスメイトから誘われてバスケを始めて、すごく楽しかったので3年生になるタイミングでバスケ一本に絞りました。

――当日のチームや齋藤選手の実力はいかがでしたか?

齋藤 小学校も中学校も県でベスト4くらいの強いチームでした。自分個人として、明確な自信がついたのは中学2年生の時です。3年生の先輩にとって最後の大会の時、エースが出られなくなり、シックスマンだった僕が急遽スタメンになったんです。相手はその大会の優勝チームでしたが、そこでそれまでのバスケ人生では一番多い25得点を挙げることができました。自分が通用するんだ、という実感を持てた試合でしたね。

中学時代はクラブチームでJr.ウインターカップも経験[写真]=バスケットボールキング

――高校は県内屈指の強豪・福島東稜高校へ進学。ここを選んだ理由は?

齋藤 中学時代の1個上の先輩、皆川朋也選手(現・山梨学院大学)の存在です。僕が見てきた中で「一番うまい人」で、その先輩を追いかける形で東稜を選びました。

――高校での3年間、全国大会も経験されましたが、壁にぶつかったこともあったのでは。

齋藤 自分が2年生の時にウインターカップの2回戦で福岡第一高校に負けてしまったんですけど、皆川選手含め「あんなに努力してきた先輩たちでも勝てないんだ」と感じたのを覚えています。全国大会の厳しさを教えられた試合でした。

――ご自身が3年生の時のウインターカップは3回戦まで勝ち進みました。

齋藤 夏に「BLACK SAMURAI CAMP 2025」も経験して、個人的にはすごく自信を持って臨んだ大会でした。大会の少し前にケガをして、思い通りのパフォーマンスとはいかなかったんですけど、2回戦ではタフな場面で3ポイントを決められたり、大会を通して自信を持って自分のプレーはできたんじゃないかと思います。

――高校時代を通して一番成長したポイントは?

齋藤 プレーも成長しましたけど、一番はメンタルの部分だと思います。下級生の頃は、ミスをするとすぐにイライラして自分の世界に入り込んじゃう悪い癖がありました。でも、3年でキャプテンを任され、キャンプでコミュニケーションの大切さや自信を植え付けてもらったことで、冷静さを保ちながらプレーできるようになった。自分のなかでは一番大きな成長だったと思います。

■目指すはBプレミア…天理大での現在地

――現在は天理大学に進学されました。大学バスケのステージをどう感じていますか。

齋藤 高校時代はエースでしたけど、今はロールプレーヤーのような役割なので効率的なプレーも求められます。その点ではキャンプでフィルコーチが言っていた「少ないドリブルで効率よく攻める」という意識が生かされるのかなと思っています。

――天理大学で齋藤選手はどんなプレーをご自身の強みとしていますか?

齋藤 天理大はディフェンスを非常に重視するチームなので、僕自身も今はディフェンスを一番意識してプレーしています。先日の新人戦にも出場しましたけど、そのなかでも自分は高いレベルのディフェンスができていると思っています。

――現在の具体的な目標、そして将来のビジョンを教えてください。

齋藤 まずは天理大でしっかりとメンバー入りし、試合で結果を残すこと。そして将来はBリーグ、さらに新しく始まる「Bプレミア」のチームでプレーすることが目標です。

――これから「BLACK SAMURAI CAMP」を目指す後輩たちに、経験者としてアドバイスはありますか。

齋藤 自分もキャンプの最初の方は緊張してしまって、プレーも周りとのコミュニケーションも消極的でした。けれど、せっかくの貴重な時間なので1秒も無駄にしてほしくないです。ハングリー精神を持って、どんどん自分にできることを精一杯出してほしいですし、全力でやるからこそ成長できると思います。緊張したり、弱気になったりせずにどんどんチャレンジしていってほしいです。

[写真提供]=天理大学バスケットボール部

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