2021.03.24
リーグ再開を待ちわびるファン・ブースターのために、B1リーグ18クラブの現状をチェックする企画がスタート! “Bリーグ・ロス”の皆さんがお気に入りのクラブの現状を把握して、今後の展望をイメージしてもらえれば幸甚だ。最終回は宇都宮ブレックス。3シーズンぶりの優勝にひた走る。
文=吉川哲彦
ほぼ不動のロースターでシステムの熟成を図った今季、開幕節は川崎ブレイブサンダースに連敗を喫する予想外の出だしとなった。しかし、その不安は杞憂に終わる。第22節から7連勝を飾ると、11月からは一気呵成の15連勝。7連勝中はやや多かった失点も、15連勝中は70点未満を連発し、強度ときめ細かさを兼ね備えた質の高いディフェンスが今季も健在であることを示した。1月には3連敗もあったが、2月は危なげなく白星を重ねて5勝1敗。シーズン序盤にスタートダッシュを切ったアルバルク東京に追いつき、直接対決を2勝1敗と勝ち越していることで地区首位に立った。
昨季もそうだったように、メンバー構成が大きく変わらない点が宇都宮の強み。とはいえ、比江島慎を迎え入れた昨季と同様に、今季もシーズン途中に積極的な補強に動いた。B2越谷アルファーズでプレーしていたジャワッド・ウィリアムズを獲得したほか、年明けにはアメリカの大学を離れたテーブス海と契約。ウィリアムズはもちろんのこと、テーブスもデビュー戦で12得点をマークするなど即戦力となっている。ベンチメンバーもその多くが要所で光を放っており、チーム全体の底上げができている印象だ。ライアン・ロシターの帰化というビッグニュースもあり、さらには琉球ゴールデンキングスのヘッドコーチを退任した佐々宜央がサポートコーチとして復帰。頂点返り咲きのために、クラブとして打てる手を惜しみなく打っている。
現在はA東京に加え、中地区の川崎とも30勝9敗で横並びの状態。リーグ制覇した3シーズン前は地区優勝も果たしており、今季もまずはそれをクリアしたい。そのためにはA東京との対戦成績で優位を保つこと。A東京との残り3試合がすべてアウェーである点は興味深い。
そしてもう1つ気になるのはやはり川崎。天皇杯ファイナルラウンドでも敗れている川崎とは第22節にも対戦して1勝1敗に終わっており、勝率で上回れなかった場合は川崎にリーグ全体1位を譲ることになるが、いずれにしても宇都宮は開幕戦でも戦った横浜アリーナを川崎へのリベンジの舞台と考えているはずだ。過去3シーズンすべてでリーグ全体の最高勝率チームが優勝できなかったというジンクスもあり、宇都宮も勝率にこだわりすぎず、ファイナルからの逆算で残り21試合を戦うだろう。そのチームビルディングの過程は非常に楽しみだ。
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