2023.02.13
Bリーグ2022-23シーズンのオープニングゲームとなった“愛知ダービー”から登場し、序盤の連敗で苦しんだシーホース三河。日本人初のKBLでプレーした大型ガードの中村太地、そしてNBAで通算472試合に出場したカイル・オクインなど、よりパワーアップしたタレントぞろいのロスターで注目を浴びている。第4節では昨シーズンの最終戦でチャンピオンシップ進出を阻まれた川崎ブレイブサンダースを相手にアウェイの川崎市とどろきアリーナにて連勝し、チームの雰囲気は上向きだ。
タレントぞろいのチームで、やはり注目すべき存在は2021-22シーズンの最優秀新人賞を獲得した西田優大だろう。チームでも日本代表でも鋭いアウトサイドシュートを中心に、類い稀なスコアリング能力でチームをけん引するスコアラーだ。しかし、今シーズン開幕からのスタッツだけを見ると、持ち味でもある3ポイントシュートの成功率が30パーセントを切っており、昨シーズン以上に相手ディフェンスのマークが厳しいことで少し苦しい場面も多く見られる。
オープニングゲームを終えた際、西田は今シーズンのチームについて「それぞれがしっかり噛み合えば、もっと破壊力が出て、相手にとって脅威になる」と評価。シーズン序盤の戦いではビハインドを背負う展開で、1対1にこだわったことでオフェンスの流れが悪くなり、それがディフェンスにも影響するというチームの悪い部分を露呈する局面もあった。それでも川崎戦ではディフェンスから流れをつかむと、オフェンスでもチームが連動し、まさしく「かみ合った」形で勝利を収めた。
「かみ合っているのはコート上ですごく感じていました。特にディフェンスでのローテーションでもうまくいって。僕らのウィークポイントでもあるリバウンドを少し取られたけど、ルーズボールなど追い掛けて、連動性が生まれていました。オフェンスでもタフショットなどが少し減ってきて、チームとして同じ方向を向いて展開できているので、そういう意味でもチームケミストリーは高まってきています」と、西田は手応えを感じているようだ。
一方で個人としては少し苦しい展開も見られるが、その部分に対しては「自分が攻守の起点になることはすごく考えていて……。ダバンテ(ガードナー)や柏木(真介)さんを筆頭にチームメートが『もっと、やれよ』と言ってくれていて。自分もそれでいいんだと感じているので、ここからもう少し自分自身のプレーの幅を広げられるようにしていきたいです」と話した。
チームを指揮する鈴木貴美一ヘッドコーチは期待も込めて、現在の西田を評価する。その言葉には期待感しかない。
「彼はボールハンドラーでありながら、パスもできて、スコアも取れる選手です。チームが困った時には、『最終的に彼だ』というような選手になってほしい。まだ経験は少し足りないけど、若くて将来性のあるいい選手です。相手にスカウティングされても、その裏を突いてプレーできるような精神を持ってくれればいいなと感じています」
そして、西田とともに「FIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選」Window5の日本代表候補に選ばれたチームメートのシェーファーアヴィ幸樹は、「彼はチームのエースで、中心」と西田のことを評したうえでコメントを続けた。
「今は多分、気負いすぎている部分があるかなと思います。いいことだけど、それが空回りしている時も前の試合ではあって……。ディフェンスが厳しいのはあるけど、気負いすぎずにやってほしいですね。それはある意味、彼がチームのエースである証明かなと感じています。でも、彼は大丈夫かなって(笑)。だんだんといい方向に進んでいるし、良くなってきていると思います」
今夏は日本代表活動も含めてハードにプレーし、シーズン開幕からも前を向いてシュートを打ち続ける西田。11月の日本代表活動に関して「もう1回、代表に選んでいただいて今回は13人の中で競争が激化するし、そこに負けないようにやりたいと思います」と力強く話した。
チームでも日本代表でもエースとして輝く。西田のその姿が見られた時、勝利という二文字が事実として刻まれるだろう。期待のスコアラーはエースになるための進化を続けていく。
文・写真=鳴神富一
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