2025.10.03
7月11日と13日に行われた「バスケットボール男子日本代表国際試合2025 in 韓国」で、男子日本代表(FIBAランキング26位)は韓国代表(同53位)との対戦で2連敗を喫した。
正直なことを言えば、韓国との2連戦でステップアップした選手を見つけることは難しい。特にゲーム2では韓国が持つエネルギーの高さとプレッシャーディフェンスの前に委縮してしまい、一時は最大32点差をつけられて大敗してしまったからだ。
韓国戦の完敗にトム・ホーバスヘッドコーチは「成長の過程のプロセス」と発言。この姿勢は7月上旬に行われたオランダ戦から一貫しており、五輪翌年だからこそ、若い芽の発掘と育成に力を入れていることは理解できる。また、今年11月から始まる長丁場のワールドカップアジア予選のことを思えば、選手層を厚くしておきたいことは明白だ。
しかし、同時にこのメンバー選考が、目前に迫ったアジアカップに直結していることも事実で、早急なチーム作りが求められる。その点を問うと「今まではトライアウトのような試合だったけど、韓国戦で悔しい思いをして、今日からチームになれたと思う」とホーバスHC。
続けてこう説明する。「確かに今はトライアウト期間だけど、自分のためだけではなく、チームのために戦うという、マインドセットから変えていこうと話をした。何より韓国のエネルギーに負けた。これが一番ダメなこと。チームのために自分は何ができるか、アウェーの戦いをいい勉強にしなければならない。この大敗を受けてもっとチームが良くなると思う」
そんな韓国との2連戦を終えて、アピールとまでは言えなくても、自身の役割をつかめてきた選手3名を紹介する。
なお、ここに紹介した以外にも、ホーバスHCは山崎一渉(ノーザン・コロラド大学)の可能性にも言及した。山﨑は韓国戦のゲーム2に出場したが、内容を見れば結果を残せなかったようにも見える。ただ、韓国戦で露呈されたように、2メートル級のウイング選手にペイントを割られてもディフェンスできる選手が必要だ。第4クォーターにコートに立っていた選手というのは「サマーリーグ組が日本代表に戻れるかわからないので、サイズを上げたメンバーや、2ガードにしてどこまでエネルギーが出せるか見たかった」(ホーバスHC)狙いがあったという。
「一渉はまだ迷いがあるが、日本代表でまだ2試合しかしていない状況を考えると、体の大きさを生かしたディフェンスとリバウンドは悪くない。(ゲーム2では)シュートが1本しか入らなかったけど打ち続けていた。経験をすればもっと良くなる選手です」
文・写真=小永吉陽子

相手エースへの守りに反省も、全体的には及第点の活躍を見せた金近 [写真]=小永吉陽子
ホーバスHCに何度もチャンスをもらってはトライし続けてきた金近も代表3年目となり、メンバー入りに勝負をかけている。同じポジションの吉井裕鷹がオランダ戦で負傷したことにより、3番(SF)のポジションでスタメンに抜擢され、韓国とのゲーム1には積極的に3ポイントを放ち11得点。打つべきタイミングはつかめた。
「今までは日本代表に選ばれても結果がついてこない試合が多かったですけど、オランダ戦と韓国とのゲーム1までは自分の中でも最低限の活躍はできていると思うので、そこは自信になってきています」
ただし、ディフェンス面においては韓国のエース、イヒョンジュンとマッチアップして何度もペイントを割られたことに反省しきり。オフェンス面ではペイントに侵入するプレーを増やしたいと語る。
「ペイントタッチからのアシストだったり、レイアップだったり、フィニッシュを増やしていけば相手が守りづらい選手になるので、そこはトライしていきたい。自分はまだ安定感はないけど、吉井さんにはない自分の良さ……そうですね、3ポイントには自信があるので、吉井さんとは違う自分のいい形を代表で発揮しようと思います」

ハーパージュニアはオフェンスにも積極性が見られた [写真]=小永吉陽子
長いウイングスパンを生かしたしつこいディフェンスを武器に、ハッスルプレーでチームに活力を与える選手。言い換えると、ディフェンスの武器が突出しているからこそ、代表に抜擢されたといってもいい。
しかし司令塔としては、スペースを広げるための得点力やゲームメイクにおいては課題が目立つ。そんな中、韓国とのゲーム2では第1クォーターに立て続けて連続3ポイントを決め、気持ちの切れないプレーを展開した。韓国との2連戦を終え、ホーバスHCはステップアップした選手にハーパージュニアの名前をあげた。本人は韓国戦を通しての手応えをこのように語る。
「ゲーム1は自分の持ち味のディフェンスが出せず、ガードとしてゲームメイクもできなかったけど、ゲーム2ではコーチたちから『もっと自分の武器を出して、アグレッシブに気持ちで負けるな』と言われたことで、結構アグレッシブにいって3ポイントが当たったことは良かった。ただ、第2、3クォーターで自分たちのディフェンスが崩れてコミュニケーションミスも多くなり、相手にいいシュートを打たれてしまった。やっぱり、自分がアタックしないとディフェンスが下がってしまうし、仲間を生かすプレーができないことがこの韓国戦で明確に分かりました。この大敗した経験から学ぶことが大事です」

佐土原はホーバスHCのアドバイスで覚醒した部分も [写真]=小永吉陽子
3ポイントをメインとした戦いの中で、インサイドに入っていくことができる佐土原は貴重な存在だ。韓国とのゲーム1ではドライブからのアシストを見せ、セカンドユニットのアクセントになっていた。しかしゲーム2では対策されたこともあり、迷いが見えた。
「個人的には出ている時間は役割をまっとうできたとは思うんですけど、まだ3ポイントとドライブの判断ができていません。
ゲーム2ではドライブしようとしたら、韓国が抑えにきたので、ゲーム1のように、ジョシュに合わせるアシストができませんでした。でも、ゲーム2では自分がインサイドに入って外にキックアウトすることが何回かできたので、そこは自分が囮になり、周りにパスを出すこともできると気付きました。いい形で(ジェイコブス)晶や(山﨑)一渉に打たせることができたので、自分が引き寄せるプレーができると分かったのは大きな気付きでした」
迷いがある3ポイントに関しては、ゲーム2に2本打ち切れたことで、「タイミングをつかめてきた」と言う。
「トムさんには『ポンプフェイクをしたり、ドライブするのもいいけど、3ポイントを打てるところでは打ってほしい』と言われています。ゲーム2では3ポイントのアテンプトが2本でしたけど、自分の中では打てたことが収穫でした。日に日にステップアップできていると思うので、次からは思い切って打ちます。ヘッドダウンしている場合ではありませんから」
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