2025.07.15

【インタビュー】ABEMA解説コンビ・篠山竜青×辻直人が語る日本代表の“推し選手”と“未招集の注目株”

ABEMAで日本代表戦の解説を務めた篠山竜青と辻直人[写真]=鷹羽康博
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 8月に開催が迫る「FIBAアジアカップ2025」に向けて選手選考と強化を進めるバスケットボール男子日本代表。新しい未来のテレビ「ABEMA」では、その日本代表がオランダ代表と対戦した日本生命カップ2025Game1の中継において、元日本代表選手である篠山竜青辻直人が解説を務めた。
 解説中の軽妙な掛け合いでも話題を呼んだ2人。バスケットボールキングではその解説に臨む直前の2人にインタビュー取材を実施し、解説に臨む姿勢から日本代表の印象、さらには2人が推す日本代表未招集の選手まで、さまざまな話を伺った。

インタビュー・文=峯嵜俊太郎
写真=鷹羽康博
取材協力=ABEMA

※インタビューは7月5日 日本代表vsオランダ代表の直前に実施

■不安が上回ったコンビ解説…篠山「周りからのハードルが…」

――今回篠山選手と辻選手のコンビで解説するのは初めてだったと思います。オファーを受けた時の率直な感想は?
 大丈夫かなぁ、本当にいいのかなぁ……という(笑)。

篠山 自分も、周りからのハードルが勝手に上がるなぁと思いました(笑)。

 レベルの低い解説になったらどうしよう、という心配の方が大きいです。

――解説をお願いされる機会も増えてきているかと思いますが、意識していることはありますか?
篠山 なるべく分かりやすく解説すること。あとは自分が現役選手なので、選手に寄り添える形でやりたいなと思っています。面白くしようと思ったことはないですね。

 僕もそうですね。試合の流れとか、その時の選手の心情とか、自分だったらこんな気持ちかなとか、そういったものを交えつつ、戦術的なところも分かりやすく伝えられたらなと思っていやす。……「やす」って(笑)。やっぱり本番が心配ですね(笑)。

――(笑)。お互いの解説を聞く機会はありますか?
篠山 ありますよ。辻選手の解説は、何か面白いことを言うとか、ふざけているとか、笑いが起きるというイメージが多分世間的にはあると思うんですけど、そもそもIQが高い選手なので、すごく分かりやすい解説をしていらっしゃるなと思いながら見ています。

 僕も篠山選手の解説は分かりやすいなと思います。聞いていて「そうそう」「そうだよね」って思える解説という印象です。

■勢いのある選手が揃ったメンバー選考…辻「トムさん分かってんなぁ」

――それではアジアカップに向けて招集された日本代表メンバーの印象を教えてください。
篠山 だいぶ若返ったなという印象が第一。あとは海外から帰ってくる選手がすごく増えたなというのは感じましたね。僕らの時とは全然違う印象です。

 僕もですね。こんな選手おったのか!という感じです。

篠山 そのなかでも、テーブス海選手の弟・テーブス流河選手については噂で聞いていて。ちゃんと見たことはなかったんですけど、上手だという話はずっと耳に入ってきていたので、その選手が入ったことはとても楽しみですね。

 テーブス流河選手は僕も噂で聞いていましたし、ハイライト動画とかで見たことあります。今回プレーを見るのが楽しみですね。あとは山﨑一渉選手にも注目しています。明成高校時代の印象が強くて、サイズがあってシュート力もあるすごい選手でした。本当に将来が楽しみだなと思っていたその選手が帰ってきて、日本代表としてどんなプレーを見せてくれるのかすごく楽しみです。

7月5日の試合で日本代表デビューを果たしたテーブス流河[写真]=伊藤大允

篠山 あとは、活躍している選手がちゃんと名を連ねているなと。それこそB2で活躍した中村太地選手であったり、勢いのある選手をカテゴリーに関係なく呼んでいるんだなと感じます。

 全体的にサイズも上がっていて、「世界で戦うために」という意識が表れていますよね。その上でトムさんがやりたいバスケットを遂行できそうな選手を集めて、いろいろな可能性を見出したいんだろうなと。個人的にも選んでほしいなぁという選手が入っていたので、「トムさん分かってんなぁ」と思いました。

――それでは、あえて「この選手を日本代表に呼んでほしい」という選手を挙げるとしたら?
篠山 身内びいきで申し訳ないですけど、米須玲音山内ジャヘル琉人(ともに川崎ブレイブサンダース)は絡んでいってほしいなと思いながらずっと見ています。

――2人を推す理由とは?
篠山 米須はやっぱりパス。司令塔としてのパスセンスのところです。山内は身体能力とマンマークでのディフェンス力。外国籍選手の2番から4番まで、1on1でフィジカル負けせずに付いていける強さがある。そういった部分を彼らの武器としてこれから伸ばさなきゃいけないかなと思います。課題の方もまだまだあるとは思いますけど。

篠山は川崎のルーキーコンビ、米須(写真右)と山内(写真左から2人目)の成長に期待を寄せる[写真]=B.LEAGUE


――辻選手が推す選手はいますか?
 僕はBリーグファイナルでフィーバーしていた脇真大選手(琉球ゴールデンキングス)。あともう少し外からのシュートが入れば、トムさんのバスケットにも合うんじゃないかなと思います。あとは……。

篠山 小川敦也選手(宇都宮ブレックス)は?

 ああ、確かに! 小川選手も絶対行けると思います。ドライブでチャンスメイクができるので、国際試合ではペイントタッチというのがなかなか難しくなってくるんですけど、彼ならそれができると思います。クリエイトもできて、サイズもある。日本代表で見てみたいですね。

Bリーグファイナルで活躍した小川は篠山と辻の両名が代表に推す存在[写真]=B.LEAGUE

■日本に必要な選手のタイプは? 篠山&辻の見解が一致

――今名前が挙がった選手がそうかもしれませんが、お二人から見て今の日本代表にほしい選手のタイプとは?
篠山 ハンドラーとビッグマンですね。河村勇輝選手が今後日本代表の中でもメインハンドラーとしてプレーすると思うんですけど、やっぱりセカンドサイドというか、逆のサイドでもう1人しっかりハンドルして、起点になれる選手がいるのといないのとでは、トムさんがやりたいバスケットの引き出しの数は全然違ってくる。パリ五輪では河村選手がハンドルして、ある種、彼に託すようなゲームプランに見えるぐらいハンドラーとしては固執してた部分があると思うので、やはりハンドラーは必要だなと。ビッグマンも今はジョシュ・ホーキンソン選手が38分、39分くらい出場しているので、日本人のビッグマンは常に必要。日本代表にとっては今後もずっと必要になってくる存在なのかなと思っています。

 僕もハンドラーとビッグマンが必要だと思っていて、今回メンバーに入った狩野富成選手には注目しています。金髪にしたらほぼ川真田(紘也)選手なんじゃ、というくらい体格的には匹敵するものがありますよね。シルエットも似ていて、ぜひ2人が並んだところも見てみたいと思います(笑)。でも、彼のような選手がいたんだというのにはびっくりしましたね。

篠山 確かに。

 彼がどれくらいプレーできるか、すごく楽しみです。

――アジアカップ本番も近づいております。トライアウト的な側面もありますが、日本代表にはこの大会をどのようなものにしてほしいと思いますか?
篠山 まず、アジアカップをトライアウト的な位置づけで戦える充実度というか、競争率の高さというか、そういったところが本当に素晴らしいなと思います。そうして、日本代表に入りたいというエネルギーを持っている若い選手たちが公式戦でアピールするというのは、代表チームの底上げに欠かせないこと。もちろん結果が出るに越したことはないんですけど、それ以上に若い選手たちが国際試合で経験値を積めることがすごく大きいと感じています。

 僕も同じく、結果も大事ですけど、それ以上に新しい選手を試せる大会だと思っています。今後の大きな大会に向けた日本代表の強化のため、アジアカップはそういった位置づけになるのかなと。あとはやっぱり日本代表が盛り上がることによって、日本のバスケットボールも盛り上がると思うので、ぜひ頑張ってほしいと思います。

 篠山と辻も注目する男子日本代表は、7月19日と20日には「SoftBank CUP 2025(千葉大会)」 でデンマーク代表と対戦予定。サウジアラビアで開催される「FIBAアジアカップ2025」は8月5日から開幕する。

「ABEMA」では19日のデンマーク代表戦を中継予定。さらには、「FIBAアジアカップ2025」本番でも8月8日のイラン代表戦、8月10日のグアム代表戦、8月17日の決勝or3位決定戦も中継予定となっている。

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