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10月に行われた千葉県予選の準決勝で、柏市立柏高校は試合終了間際に山本萌心(2年)が値千金の逆転3ポイントシュートを決めて初出場を決めた。
創部44年目で初の大舞台。12月23日の「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」初戦の相手は、3年連続39回目の出場を誇る札幌山の手高校(北海道)。チャレンジャー精神で全国常連校に挑んだ市立柏だったが、結果は52−98で完敗した。
仲間のナイスプレーが飛び出したときも、たとえミスを犯したときも、すぐに駆け寄って鼓舞し続けたキャプテンの倉持希桜(3年)は、試合終了のブザーが鳴った瞬間に涙が溢れた。
「今まで当たり前にやってきた部活動が終わっちゃうんだぁという実感が急にわいてきて、涙が出てしまいました」
それでも、試合後のミックスゾーンでは涙を見せず、「今まで経験したことない大きな舞台、お客さんもたくさんいるなかで緊張もしたんですけど、すごく楽しかったです」と胸を張った。
この1年、司令塔としてもチームを引っ張ってきた倉持へそう言葉を送ったのは、2年生ポイントガードの山下蘭菜。札幌山の手戦はベンチスタートだった山下だが、試合序盤からコートに立つと持ち味のスピードを生かしてコートを駆け回り、ディフェンスでは4スティールを記録した。
今年の市立柏は下級生主体のチームだ。倉持も「主力の3年生は自分と5番の細野(未琉香)だけ」と言い、今大会も主に山本らの2年生たちが長い時間コートに立った。3年生たちはこれでチームを引退するが、残された1、2年生は今回の経験を来年につなげなければならない。これからのチームの中心を担う山下へ向け、先輩ポイントガードはこうエールを送った。
「蘭菜は個人のスキルやドライブのスキルがすごく高いです。それをどんどん生かして、チームが波に乗れないときは蘭菜のプレーでみんなを勇気づけられるようなプレーヤーになってほしい」
「最後は3年生のおかげでいいプレーもたくさん出ましたし、全員で声を出していい雰囲気でプレーすることができました」と感謝を述べた後輩ポイントガードも、静かに今後を見据えた。
「このウインターカップでの経験を生かしながら、自分が中心となってまたいいチームを作り上げていけるように頑張りたいと思います」
文=小沼克年