Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
2021年のウインターカップ優勝校が決まった瞬間、京都精華学園高校(京都府)の堀内桜花(1年)は、なかなかその現実を受け入れられない様子だった。
整列の挨拶をするためにイゾジェ ウチェ(2年)に手を差し伸べられてもそれを拒み、ベンチへ戻ったあと、仲間に声をかけられてもチームの輪に入ろうとせず、周りと距離を置いた。
「負けてしまったのが悔しかったし、最後、4点差のときに自分がパスミスをしてしまったから自分のせいで負けてしまったっていう気持ちが大きかったから……。うーん……」
桜花学園高校(愛知県)との「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」決勝戦は、最終局面まで息詰まる攻防戦。4点ビハインドで迎えた第4クォーター残り16秒、司令塔の堀内はトップの位置からインサイドに陣取るウチェにボールを入れた。だが、ウチェの前に体を入れた前田心咲(3年)にパスカットを許してしまい相手ボールに…。最終スコア57−61。桜花学園の大会3連覇、京都精華の準優勝が決まった。
優勝して3年生に金メダルをかけてあげたい――。
1年生で先発を任せてもらっている立場として、堀内はその想いを胸に秘めてコートに立ってきた。しかし、夏のインターハイは銅メダルに終わり、ウインターカップでは銀メダル。堀内は今回受け取った銀メダルを首にかけることなく、ずっと右手で持っていた。運営スタッフに声をかけられ、やっと首にそれをかけた。
試合後、堀内と同じように込み上げてくる涙を抑えられなかったのは、ともにルーキーながら先発を担った八木悠香。そんな2人の間に入り、肩に手を回しながら優しく慰めたのはキャプテンの瀬川心暖(3年)だった。
「すっごく泣いてましたね。多分、あの2人は負けたのは自分たちのせいだと思っていたと思うんです。けど、そこは自信を持ってほしかったし、自分がここまでキャプテンをやってこれたのもあの2人の支えが大きかったので『胸を張っていいよ』って声をかけました。あと一歩及ばなかったことに関して自分はリベンジできないけど、あいつらはあと2年残っているのでそのリベンジを必ず果たしてほしいと思います」
「今の3年生とはもう試合ができひんけど、この悔しい思いは来年、自分たちがしっかり晴らせるように頑張ります」
この冬、好アシストを連発したスーパールーキーに多くの高校バスケファンが虜になったことだろう。また来年もその飄々(ひょうひょう)としたプレーで我々を魅了し、次こそは悲願の金メダルを首にかけてほしい。
文=小沼克年