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4月になり新学期がスタート。新チームには新入生も正式に加わり、インターハイ予選に向けて本格的にチームの強化が進んでいるころだ。バスケットボールキングでは2023年に注目したい高校生ケイジャーをピックアップ。高校バスケ界をけん引するエース候補生を紹介する。
文・写真=小沼克年
「最後のフィニッシュは石川晃希。やっぱりうちの一番のストロングポイントはそこです」
宇都宮工業高等学校(栃木県)を指揮する髙崎徹コーチがそう太鼓判を押す男は、2月に行われた「令和4年度関東高等学校バスケットボール新人大会」の最終戦(準決勝)で40得点をたたき出した。
石川晃希(3年)は、1年生の頃から中心選手として宇都宮工業を引っ張ってきたパワーフォワードだ。身長はチーム最長身となる192センチ。学年を重ねるごとにフィジカルの強さもレベルアップしており、昨年の春先には「去年よりも留学生と競り合えた」とコメントし、その約半年後に行われたウインターカップの舞台では「パワーでは負けていなかった」と手応えを口にしている。今年の4月1日、2日に開催された「埼玉カップ2023」では、自分よりも高さのある留学生相手にも果敢に攻撃を仕掛け、ディフェンスでも当たり負けせずに動きを封じる背番号7の姿があった。
チーム事情によりゴール下を主戦場としているが、内外問わずオールラウンドにプレーできることも石川の武器である。昨年までメインの指揮を取り、2023年からはアシスタントコーチとして指導にあたっている千村隆ACは石川についてこう話す。
「本当に身体能力が高いです。チームとしてはやっぱりインサイドで点数を重ねてほしいですけど、何でもできる器用な子でもある。本人としても外回りでもプレーしたいと思いがあるので、将来的にはハイブリットな選手になってもらいたいですね」
実際の試合でも、石川はフィジカルを生かしてシュートをねじ込むこともあれば、巧みなステップで相手を振り切るオフェンスパターンもある。パスセンスにも長け、相手のマークが執拗に寄ってくれば味方へ的確なアシストをさばくことも可能。明るい性格の持ち主で、下級生の時から「自分がチームの中心」という自覚を持ってコートに立っている点も魅力だ。
絶対的なスコアラーを担い、リバウンド争いでも身を粉にしてハードワークする石川は、“唯一無二の存在”として宇都宮工業をけん引する。現時点では、彼がいるといないとでは全く別のチームになると言えるだろう。
関東新人大会を1位で終えたことで、髙徹コーチは「周りも警戒や対策をしてくる」と気を引き締める。対戦相手は当然のように石川を最優先に抑えにくるはずだ。そうなった時にどんな対応をして上回るか。チームとしてはもちろん、石川個人としても真価が問われる1年になるだろう。