2025.07.21
FIBA女子アジアカップ2025決勝、日本はオーストラリアに79−88で敗れ、準優勝という結果に終わった。今大会はコーリー・ゲインズヘッドコーチのもと、初めて行われた公式戦。新指揮官は決勝戦で敗れはしたものの、この敗戦は「終わり」ではなく「始まり」となる一戦だったと認識している。決勝戦後に行われた日本、オーストラリアのヘッドコーチが参加した記者会見から掘り下げていこう。
試合は序盤から激しい点の取り合いとなったが、第1クォーター中盤に10連続失点を喫し、ビハインドを背負う展開に。第2クォーターには最大16点差を許すも、馬瓜ステファニーや宮澤夕貴らの得点で粘り、前半終了時には43−54と11点差まで詰めた。第3クォーター終盤には6点差まで肉薄し、最終クォーター開始直後には宮澤と髙田真希のシュートで同点に追いついたが、あと一歩及ばなかった。
「日本が昨日の準決勝の中国戦で見せた内容は本当に素晴らしかった。だからこそ、我々は綿密な準備をし、試合に臨んだ」。そう語ったのは、優勝を果たしたオーストラリアのポール・ゴリスHCだ。日本のトランジションやスペーシングに対して、統制の取れた守備と切れ目のないローテーションで対応したという。「守備の遂行度は今大会でも最も高かった」と胸を張った。
一方、日本を率いるコーリー・ゲインズHCは、大会を通じての手応えと、チームの成長に自信をにじませた。
「この10日間、彼女たちは目の前で成長していった。私が合流してからわずかな時間の中でここまで進化したことを、非常に誇りに思っている」
ゲインズHCは、現在のチームを“まだ準備段階”と位置づけており、「今後はもっと多くの戦術や構成を加えていける。私たちは次に戻ってくるとき、全く違うチームになっているはずだ」と前を向いた。
また、会見ではオーストラリアの完成度に対しても言及。「オーストラリアには明確なスタイルがある。彼女たちはその基盤から構築してきた。そして、日本もまた、自分たちのスタイルをこれから築き上げていく」と語った。
就任当初、ゲインズHCは、アジアカップを「日本バスケットボールのリスペクトを取り戻す第一歩」として捉えていた。しかし、なかなかエンジンがかからない状況の中、なんとかグループフェイズを2位で勝ち上がると、準決勝進出決定戦ではニュージーランドを下した。続く準決勝では長年のライバル、中国に逆転勝利。短期間で戦術と意識の成熟を見せたチームの軌跡は、決勝での善戦とともに、確かな“前進”を示している。
今大会には町田瑠唯、林咲希、山本麻衣、赤穂ひまわりなど、これまでの代表を支えてきた主力選手が参加していない。また、U19女子ワールドカップ、FISUワールドユニバーシティゲームズと大会日程が重なった関係で若い戦力を試すこともできなかった。それだけに日本代表には、伸びしろが大きく残されている。
優勝したオーストラリア、準決勝で破った中国もWNBAへ主力選手を送り込んでいて、決してフルメンバーではなかった。ただ、日本のリスペクトを取り戻す旅は始まったばかりだが、その第一歩を確かに踏み出した。
文=入江美紀雄
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