2024.07.05

バスケ女子日本代表“笑顔の司令塔”宮崎早織…大勝もパリ五輪を見据え「みんなで40分間走り続けられたら」

4日のニュージーランド戦では18分27秒出場し12アシストを記録した日本代表の宮崎早織[写真]=伊藤大允
フリーライター

■ 攻守で圧倒「3分間をどれだけプッシュできるか」

 7月4日、バスケットボール女子日本代表の国際強化試合となる「三井不動産カップ2024(東京大会)」の第1戦が有明アリーナで行われ、女子日本代表(FIBAランキング9位)が女子ニュージーランド代表(同26位)を相手に125-57と大勝した。

「オリンピック前、最後の強化試合を海外の選手とできてすごく力になりましたし、リバウンドの強さだったりフィジカル面だったりはやっぱり強いなと思いました」と、試合の感想を語ったのはスターターのポイントガードを務める宮崎早織。だが、相手インサイドであるローレン・ウィッティカーに20点を献上したたことに触れ、「試合中にみんなでどれだけすぐにスカウティングできるかがオリンピックではカギになると思うので、そこはしっかりみんなで話し合って、コミュニケーションを取っていいディフェンスができたらと思います」と言い、兜の緒を締めた。

 チームとして失点を57点に留める中、宮崎の前から当たるプレッシャーを掛けたディフェンスも光った。これについて宮崎本人は、「前からプレッシャーかけてなるべくボールを遅く運ばせて、(相手の)セットオフェンスを短くするというのが自分の役割だと思っています。そのディフェンスはできたのではないかなと思いますし、これからもどんどん続けていけたらいいなと思います」と、手応えを語りつつ「パリ2024オリンピック」本番を見据える。また、チーム全体で19スティールをマークしたことに関しても、「スティールした後に疲れてみんなでリバウンドいけなかったのが何本かあったので、そういうところでも40分間しっかり走り続けたらいいなと思っています」と、課題を挙げた。

 一方、オフェンスに関しては「今日はもうとりあえずプッシュする。3分間をどれだけプッシュできるかがカギになると思ったので、最初から突っ走って、あとはもうお姉さんたちに任せようという感じでやらせてもらいました(笑)」と、笑顔を見せる。『3分で交代』とは指揮官から言われたわけではなかったようだが、「大体、(交代が)そのタイミングなので、それで(ベンチを)パッと見たら瑠唯さん(町田/富士通レッドウェーブ)が待っていたし、全力で頑張りました。ちょっと足、疲れましたね(笑)」と、その状況も明かしてくれた。

■「まさか自分がメインとして…」成長実感

かつての同僚・吉田亜沙美と同時出場し笑顔で言葉をかわす宮崎早織[写真]=伊藤大允

 日本が決めた3ポイントシュートは25本。まさに走り勝つシューター軍団を象徴する数字を残した。「今日はみんな3ポイントシュートが入っていたし、珍しく私も入ったので(笑)いい試合だったんじゃないかなと思います」と、宮崎。試合ではENEOSサンフラワーズでチームメートだった吉田亜沙美(アイシンウィングス)と同時出場する時間もあり、「(一緒に出るのは)ENEOSのときにあったけれど、日本代表では初めて。久々だったので懐かしいなと思ったし、楽しめました」と、声を弾ませた。

 この試合は1万1624人が有明アリーナに集った。パリへと向かう女子日本代表を後押しする会場の雰囲気に、「とても楽しかったですし最高でした。うれしいですね。もっともっと女子バスケットがこれからも盛り上がってくれたらいいなと思いますし、私たちがその一歩になれたらと思います」と、宮崎も喜びを表す。

 3年前の「東京2020オリンピック」では控えのポイントガードとして出番が多かったわけではないが、恩塚亨ヘッドコーチ体制となってからの3年間は2021年の「FIBA 女子アジアカップ2021」から今年2月の「FIBAオリンピック世界最終予選(OQT)2024」まで、すべての国際大会に出場した。

「3年経って、まさか自分がメインとして使ってもらえるとは思っていなかったので自分の成長も感じることができますし、3年間、経験を積んできたことを集大成としてしっかり出せたらいいなと思っています」と、日本が誇るスピードスターは、いよいよ間近に迫った大一番に向けて意欲を見せていた。

 なお、女子日本代表は7月6日(土)に「三井不動産カップ2024(東京大会)」の第2戦(対女子ニュージーランド代表)が予定されており、これが国内ではパリ五輪前最後の国際強化試合となる。

ニュージーランド2連戦の初戦に大勝しファンに手を振る宮崎早織[写真]=伊藤大允

取材・文=田島早苗

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