2025.11.26

違法賭博容疑のビラップスHCが法廷で無罪主張…被害総額700万ドル、“客寄せ”として機能か

出廷したビラップスHC[写真]=Getty Images

■違法ポーカー疑惑で無罪主張

 NBAポートランド・トレイルブレイザーズチャウンシー・ビラップスヘッドコーチ(HC)が、違法ポーカーへの関与の疑いについて、法廷で無罪を主張した。

 ビラップスHCは2025年10月24日(現地時間23日)、複数マフィア系組織と結託した違法ポーカー網に関わり利益を得たとして、連邦司法当局の一斉摘発により逮捕。この違法ポーカーグループは、高性能なチート機器を用いて高額ゲームを長年にわたり不正運営したとされており、バスケットボールの殿堂入りを果たし、指導者としても一線で活躍するビラップスは“客寄せ”として機能したとされる。

 3度のオールNBA選出歴を持つビラップスHCは、ブルックリンの連邦裁判所で行われた起訴手続きに出廷。検察による起訴内容の読み上げでは、ビラップスHCがマンハッタン、ラスベガス、マイアミ、ハンプトンズで行われたマフィア関連の違法ポーカーゲームに参加し、不正操作のスキームに関与したとの主張が行われ、マネーロンダリング共謀罪と電信詐欺共謀罪の両方について訴追された。これらはいずれも重罪として扱われており、最長で懲役20年が科される可能性がある。

 現地メディア『KUOW』の報道によれば、ビラップスHCはダークグレーのスーツに身を包み法廷に現れ、判事からのYESまたはNOの質問に答える時以外には口を開かず、弁護人のマーク・ムカシーが無罪答弁を行った。

■不正手口の実態

[写真]=Getty Images


 検察による証言で、事件はより鮮明に輪郭を帯びてきた。この不正なポーカーでは、改造されたX線テーブル、細工済みカードシャッフル機、チップトレーに仕込まれた隠しカメラ、特殊なサングラスなど、数々の悪質な手口が明るみに。運営は2019年頃から行われ、少なくとも700万ドル(約10億1000万円)が被害者たちから騙し取られたとされている。

 また、検察によると、ポーカーの主催者たちは「参加者がスターであるチャウンシーに興奮し、金を渡したがっているように振る舞っている」とテキストでやりとりしていたとされ、ビラップスHCは2020年10月のポーカー後に5万ドル(約800万円)の電信送金を受け取ったと主張している。

 ビラップスHCは家族が所有するコロラドの自宅を担保にした500万ドル(約7億8000万円)の支払いで保釈され、現在はパスポートを返納し、渡航地域が制限。同時に、他の被告や被害者とされる人物との接触も禁じられている。

■“ミスター・ビッグショット”の岐路

ピストンズ時代の2004年にNBAファイナルを制したビラップス[写真]=Getty Images


 モーターシティ時代のデトロイト・ピストンズで“ミスター・ビッグショット”の異名を取り、同球団から永久欠番を受けるビラップス。2004年には優勝を経験し、その後はカーメロ・アンソニーとともに強力デュオを形成するなど、現役時代には輝かしい成績を残してきた。選手キャリアでは約1億600万ドル(約165億円)を稼ぎ、コーチとしても今年初めに複数年の延長契約を締結したばかりだった。

 弁護人は「ビラップスが殿堂入りの偉業や名声を危険に晒すわけがありません」と述べ、引き続き法廷で戦う姿勢を示している。

 ビラップスの次の出廷日は、2026年3月4日に予定されている。長期化が予想されるNBAスキャンダルは、果たしてどのような終わりを迎えるのだろうか。

文=Meiji

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