2025.12.04

NBA運営トップのジョーンズが語る『エミレーツNBAカップ』…「若手とベテランが融合した激しい戦いに」

昨年のNBAカップを制したバックス [写真]=Getty Images
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 現地時間12月3日、NBAのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼バスケットボール運営部門トップを務めるジェームズ・ジョーンズがリモート会見を実施。いよいよノックアウトステージ(決勝トーナメント)へ突入する「エミレーツNBAカップ」の展望や、世界的なバスケットボールの広がりについて語った。

 現役時代はマイアミ・ヒートなどで14年間プレーし、引退後はフェニックス・サンズのGMとして手腕を振るったジョーンズは、現在リーグ運営のトップとしてNBA全体を統括している。冒頭、ジョーンズは「過去数年、このカップ戦はNBAのエコシステムにとって非常にエキサイティングな追加要素となった」とコメント。3年目を迎えた今大会について、選手やチームの意識が明確に変化していることを強調した。

ジェームズ・ジョーンズは引退後にサンズでGMを務めた [写真]=Getty Images

 ここまでの1カ月を振り返り、トロント・ラプターズ、オーランド・マジック、オクラホマシティ・サンダー、ロサンゼルス・レイカーズが無敗で勝ち上がったことに言及。また、ビューヨーク・ニックス、サンアントニオ・スパーズ、マイアミ・ヒート、フェニックス・サンズも出場権を獲得している状況を踏まえ、「これは現在のNBAの競争の激しさを反映している。シーズン序盤からプレーオフのような雰囲気を感じられるのがこの大会の魅力だ」と手応えを口にした。

 今年の準決勝(現地12月13日)と決勝(同16日)はラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催される。「若手主体のチーム、確立された強豪、スーパースターと新興の才能が混在しており、素晴らしい戦いになるだろう」と期待を寄せるジョーンズ。導入当初、選手やファンの間には戸惑いもあったNBAカップだが、その認識は劇的に変化しているという。「最初は『これは何だ?』という異質な概念として捉えられていたが、今は『伝統』になりつつある。選手たちは82試合という長丁場のレギュラーシーズンとは別に、4試合という短期決戦でトロフィーを勝ち取る意味を理解し始めた。シーズン中に2つのトロフィー(NBAカップとファイナル)を得るチャンスがあることは、競争を好む選手たちにとって大きなモチベーションになっている」と、新たな文化の定着を強調した。

 昨今のNBAでは「レギュラーシーズンの価値」が議論されることもあるが、ジョーンズはカップ戦がもたらす緊張感が、若いチームや選手にとって自信を深める絶好の機会になっていると分析している。会見では、将来的な欧州強豪クラブの参加可能性や、メキシコなど世界各地での開催についても質問が及び、ジョーンズは「バスケットボールはグローバルなスポーツであり、世界中の競争レベルが上がっているのは間違いない」と前置きした上で、「NBAは進歩的なリーグであり、ファンが望むことであれば常に検討していく姿勢を持っている」と回答。欧州チームの参加については文化やルールの違いはあるものの、バスケットボールという競技の本質は同じであり、可能性を閉ざすものではないとの見解を示した。

 また、NBAカップが持つ「地理的な壁を超える力」についても言及し、「普段はあまりスポットライトが当たらないチームや、遠隔地のチームであっても、カップ戦での活躍を通じて世界中のファンにその魅力を届けることができる」と、大会のグローバルな意義を説明した。専用コートのコンディションや、激しさを増すプレーによる怪我のリスクについては、「コートに関しては清掃や使用頻度の課題はあるものの、全体として素晴らしい状態だ」とし、近年、審判の笛が以前より接触に寛容になっているのではないかという指摘に対しては、「ルールが変わったわけではなく、選手たちが『力には力(Force equals force)』で対抗し、よりインテンシティ(強度)の高いプレーをしている結果だ」と分析した。

 ケガのリスクについても「競技の一部」とした上で、「スター選手が欠場することは残念だが、NBAの選手層は厚く、そこから新たなスターが生まれるチャンスでもある。アトランタ(・ホークス)の若手選手たちのように、主力不在の機会を掴んで台頭する選手が出てくるのがこのリーグだ」と語り、激戦必至のノックアウトステージにおける次世代スターの誕生へ期待感をにじませた。

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