2026.03.20
WNBAとWNBPA(全米女子バスケットボール選手会)の長き闘争に、遂に終止符が打たれようとしている。リーグと選手会は、新たな労使協定(CBA)の主要項目で原則合意を発表。懸念されていたロックアウト回避に向けて、大きく前進した。
長期化したCBAの出発点は、2024年10月まで遡る。選手会は、2027年まで有効だった現行CBAの満了を待たず、2025年シーズン終了後で打ち切るオプトアウト権を行使。この決定は、記録的な観客動員と視聴率上昇の直後に行われた。
『ESPN』によれば、今回の原則合意に至るまでは17カ月の歳月を要し、マンハッタンでの8日連続、100時間超の対面交渉の末にまとまった。WNBA側は、もし仮にCBAが合意に至らなければリーグ拡張、FA、ドラフト、トレーニングキャンプに大きな影響を及ぼすことを懸念し、本来は現地時間3月10日までの大筋合意を望んでいたという。
収益分配、サラリーキャップ、住宅保証など、選手側の経済的待遇の改善が主要な争点だった。『AP通信』によると、選手側は当初、“総収入”の40パーセントを要求していたが、その後、26パーセントまで歩み寄る姿勢を見せた。一方でリーグ側は“純収入”の70パーセント以上を提示しており、異なる物差しでの綱引きが交渉を長期化させた。
だが、これはまだ原則合意である。コミッショナーのキャシー・エンゲルバートは「正式な条件書を最終決定する必要があります」としており、正式な条文化・批准はまだこれからであることを示唆している。
それでも、新CBAは選手会側が歴史的な前進を勝ち取ったと言えるセンセーショナルな内容となった。
はじめに、2026年シーズンのサラリーキャップは700万ドル(約11億1000万円)からスタート。これは昨シーズンの約150万ドル(約2億4000万円)から大幅増と言える。『ESPN』曰く、契約期間終盤のサラリーキャップは1000万ドル(約15億8000万円)に達する見通しで、契約期間は7年、6年後にオプトアウト条項も設定されている。
これにより、選手の年俸も飛躍的にアップすることとなる。平均年俸は約60万ドル(約9500万円)前後、最低年俸は年数別の5段階制で約30万ドル(約4800万円)前後になる見込み。2025年シーズンの平均年俸は約12万ドル(約1900万円)、最低年俸は若手で6万6079ドル(約1000万円)だったことから、平均年俸は約5倍規模に伸び、最低年俸も4倍超のレンジまで引き上げられる。
これにより、スター選手たちの契約も別次元へ辿り着く。2026年のスーパーマックスは、140万ドル(約2億2000万円)でスタートし、2025年の24万9244ドル(約4800万円)から大幅増となる予定だ。
収益分配については、主要メディアが契約期間全体で平均約20パーセントの収益配分に着地すると予想しながらも、どのような設計の配分式になるかについては明言を留保している。
また、もう一つの論点である住宅提供についても改訂がなされ、『ESPN』の報道では、最初の3年間は全選手に住宅が提供、その後の2029年、2030年は年俸50万ドル(約7900万円)以下の選手に限定され、2031年以降は育成選手に限定されると説明している。
そのほかにも、コア・プレイヤー指定が2027年以降は勤続6年以下の選手に限定される見通しで、施設やスタッフの基準引き上げ、退職後保障の強化、育児休暇など、制度面も見直される。
選手会長のネカ・オグミケ(シアトル・ストーム)の言葉を借りれば、選手報酬がリーグの成長と構造的に結びついたことは、WNBAとWNBPAに取って大きな進歩である。今回の合意は、単なるリーグの低賃金の改善ではない。選手たちは、隆盛を迎えたWNBAにおいて、成長と貢献に見合う収益分配と労働基準を手に入れるのだ。
文=Meiji
2026.03.20
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