2024.09.07
ネブラスカ大4年生だった2023-24シーズン、同大を10年ぶりとなる全米大学選手権(NCAAトーナメント)に導き、7月にはインディアナ・ペイサーズとエグジビット10契約結んだ富永啓生が、アメリカで新たな舞台に向けて始動した。
NBAの下部リーグ、Gリーグの有望選手を集めた『Gリーグ・ユナイテッド』のメンバーとして、日本時間9月5日と7日、セルビアのメガ・バスケットを相手に行われる『NBA Gリーグ・フォール・インビテーショナル』に向けた練習に参加。Gリーグの経験がない選手として唯一選出を果たした富永は、3試合でわずか8分の出場に終わったパリオリンピックを「一つの経験」と捉え、次のステップにつなげようと気持ちを切り替えていた。
そのせいか、バスケットボールを触ってコートを動き回ることや新たな仲間と新たな目標に向けて練習することの楽しさを体全体で噛み締めるかのように、爽快にコートを駆け回る姿が印象的だった。
約3カ月ぶりにアメリカに戻った富永が3日(現地時間2日)、日本人記者による囲み会見に応じた。
文・写真=山脇明子
――いよいよGリーグ・ユナイテッドでの練習が始まりましたが、チームにはNBAも含め、5年経験のある選手もいます。そういった選手たちとプレーしてみてどうですか?NBAに近づいている感じはありますか?
富永 そうですね。NBAで経験している選手もたくさんいる中でやって、通用するなということをすごく感じます。経験の差は絶対にあると思うんですけど、今のところ、全然やっていけるなという感覚です。レベルの高い環境で、すごく楽しくやれています。これからは一つ一つの場がアピールのチャンスだと思ってるので、そこはもちろんつかみ取らないといけないと思いますし、自分のできることを出すだけかなというように思っています。
――今回、試合ではどんなプレーでアピールをしたいと思っていますか?
富永 もちろん3Pシュートは、これから一番決めていかなければなりません。自分の武器なので、それを決めることは大前提として、他の部分でもチームを助けることができればいいなと思っています。
――エグジビット10契約を結んだペイサーズは、昨年はワークアウトに行きましたが今年は行っていません。実は今年もワークアウトの声がかかっていたのでしょうか?
富永 はい、声はかかっていました。
――スケジュールの関係で行けなかった?
富永 そうですね。スケジュールの関係もそうですし、1年前に行ったというのもあったので、他のチームを優先したところもあります。
――ペイサーズからオファーが来たというのは、富永選手にとっては、驚きだったのでしょうか?
富永 驚きはもちろんありましたし、うれしい気持ちもありました。でも、めちゃくちゃ驚いたっていうよりは『オファーしてくれたんだ』と受け止めた感じですね。
――オファー自体はペイサーズ以外にもあったのでしょうか?
富永 ペイサーズと2~3チームぐらい他にもありました。
――その中からペイサーズを選んだ理由は?
富永 プレースタイルなどもそうですし、一番合うなと思いましたし、(昨年)ワークアウトに行っていたというのもあります。(オファーをくれた)他のチームには、ワークアウトに行っていないチームもありましたから。
――昨年ワークアウトに行ったとき、安定性やディフェンスÏ、ボールハンドリングを練習すればいいというようにペイサーズからアドバイスされたとうかがいました。このオフはどういうところを練習してきてほしいと言われましたか?
富永 そのところはまだ話していないんですけど、たぶん変わっていないと思います。去年言われたプレーメイキングやディフェンスのフィジカルというところをレベルアップできたら、必要とされる選手になっていけるのではないかなと思っています。
――Gリーグ・ユナイテッドでチームメートのアイザイア・ウォン選手が、昨年のドラフトでペイサーズから2巡目指名を受け、ツーウェイ契約選手と活動していましたが、何か話しを聞いたりしましたか?
富永 はい、いろいろ話をしました。
「どんな感じ?」と聞いたりもしましたし、バスケ以外のこととか、インディアナでの生活についてなど、いろいろ聞きました。彼は(インディアナは)すごくいい場所だと言っていましたし、それこそ試合会場も(昨季は)NBAの会場(ペイサーズと同じゲインブリッジ・フィールドハウス)で行っていて、練習場も(ペイサーズと)同じところ使うそうで、そういうことは、他のチームではなかなかないと言っていたので、すごく楽しみです(*インディアナ・マッドアンツのアリーナは、2025-26シーズンからの使用を目指して現在インディアナポリス市郊外に建設中)。
――ワールドカップで活躍して日本の五輪出場に貢献したにも関わらず、パリオリンピックでは(出場機会がほとんどなく)悔しい思いもあったと思います。振り返っていただけますか?
富永 個人としては、もちろん悔しい結果にはなったんですけど、それは一つの経験として捉え。それこそ、それを含めて自分のためになる経験もしましたし、そこは切り替えて次に進むだけだと思っています。
――トム・ホーバスヘッドコーチとは何か話しましたか?
富永 「あまり出すことができなくて、ごめんね」と言われましたし、「次、またアメリカで頑張って」とも言われました。
――ネブラスカ大学ですごく活躍してオリンピックに乗り込みました。やはりへこむ部分などあったと思いますが、どのようにカムバックしたのでしょうか?
富永 へこむというよりは、そこで何かいちいち言っていても仕方がないので、切り替えてやっていましたし、そこはうまくやれたと思います。いつでも(名前を)呼ばれたらやるという準備はできていました。
――チームで「富永頑張れ。絶対に出番が来るから」と声をかけてくれた人はいましたか?
富永 それはみんな言ってくれました。『絶対に呼ばれるときがすぐ来るから、準備しといてよ』とずっと言われていました。
――2028年のロサンゼルスオリンピックのときには、どんな選手になっていたいですか?
富永 もっともっとチームを勝たせられるような選手になりたいですし、キープレーヤーとして見られるように頑張っていきたいです。
――NBAを目指すうえで渡邊雄太選手(千葉ジェッツ)から、何かアドバイスはありましたか?
富永 雄太さんにはたくさん話をしてもらいました。簡単にNBAに行けることは絶対ないし、難しいこともあると思いますが、『自分を信じて』とずっと言ってくれていました。加えて雄太さんの体験談とか、いいことをいろいろ聞かせてもらえました。
――高校時代、ウインターカップで対戦した一方で、U16、U18、そしてA代表としてともに戦った河村勇輝選手が、同じ時期にNBAを目指すことになりました。仲のいい友達と一緒の時期にNBAを目指すということをどのように感じていますか?
富永 同世代の2人が同じ時期にNBAに挑戦するということは、すごくうれしいことです。お互い切磋琢磨で試合に臨むことになると思いますし、一番仲のいい選手がアメリカに来てくれることはすごく楽しみです。
――オリンピックでの河村選手の戦いぶりをどんなふうに見ていましたか?
富永 すごかったですし、本当にチームを引っ張ってくれていたなという印象があります。また一緒にプレーできるときを楽しみにしています。
――サイズという面ではどうしても不利になると思いますが、富永選手から見て河村選手はどういうところをアピールしていくと思いますか?
富永 彼はあのままのプレースタイルを貫けばいいと思っています。アメリカ人にも比にならないぐらいスピードが速いので、そこは本当に通用するでしょう。サイズの不利さに一早くなじめられるかということが大事ですが、彼なら大丈夫だと思います。
――お互いに刺激になっていますか?
富永 それはそうですね。目標にしているところが同じなので、お互いいい刺激を与えられていると思います。
――アメリカに来るときに、ご両親からどんな言葉をかけられましたか?
富永 これといったことは別にかけられてないですけど(笑)。まあ『頑張ってきて。楽しんでおいで』ということを言われました。
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