2020.08.30
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:オーランド・マジック(イースタン・カンファレンス8位)
総合評価:B
■プロフィール
生年月日(年齢):1990年10月24日生まれ(29歳)
ポジション:センター
身長/体重:211センチ/117キロ
NBAキャリア:9年目
<今季ここまでの功績>
週間最優秀選手:1度
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:32.6分
平均得点:19.5得点
平均リバウンド:11.0本(リーグ7位)
平均アシスト:3.7本
平均スティール:0.9本
平均ブロック:0.9本
フィールドゴール成功率:47.0%
3ポイント成功率:32.9%
フリースロー成功率:78.1%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:40分4秒(20年2月13日/対ピストンズ)
得点:30得点(2度)
リバウンド:24本(20年1月7日/対ネッツ)
アシスト:9本(20年2月11日/対ホークス)
スティール:6本(19年12月21日/対ブレイザーズ)★
ブロック:3本(3度)
フィ―ルドゴール成功数:12本(6度)
3ポイント成功数:5本(19年12月29日/対バックス)
フリースロー成功数:6本(2度)
★=キャリアハイ
キャリア8年目となった昨季、いずれも自己最高となる平均20.8得点12.0リバウンド3.8アシストを記録。オールスターにも初選出されたビッグマンは、マジック加入後では初となるプレーオフにも進出。
誰もが認めるマジックの大黒柱となったブーチェビッチは、昨夏4年1億ドル(当時のレートで約108億円)という高額の再契約を結び、チーム最古参として意気揚々と今季を迎えた。
だがマジックは序盤、得点力不足に苦しんだ。開幕から7試合連続で100得点未満に終わり、2勝5敗となかなか勝利を手にすることができなかった。そこで先発ポイントガードをDJ・オーガスティンからマーケル・フルツへ変更。チームに新たなリズムをもたらしたフルツの活躍もあり、マジックは徐々に息を吹き返す。
11月21日のトロント・ラプターズ戦で大黒柱が右足首を負傷し、11試合連続でブーチェビッチ不在の中、チームは弱小チーム相手に取りこぼすことなく5勝6敗と奮戦。すると復帰戦となった12月16日、ブーチェビッチはニューオーリンズ・ペリカンズ相手に20得点9リバウンドを挙げて勝利に貢献。「11試合、およそ3週間の欠場から戻ることができてハッピーだね。試合に勝てたからより気分が良いよ。すごく良いリズムでプレーできた」と試合後に口にしていた。
もっとも、今季のマジックは開幕戦に勝利後、勝率5割に持ち込むも、勝ち越すことはなかった。1月に入ると8試合で6勝して調子を上げたかに見えたが、再びオフェンス力がダウンして同月下旬から行われた9試合で8敗するなど、波に乗ることができず。
それでも、ディフェンシブ・レーティングでリーグ10位に入る108.7を誇るディフェンスを武器に、プレーオフ出場圏内をキープしてシーズン中断を迎えた。ブーチェビッチは昨季と比較してスタッツが軒並み下降しているものの、依然として得点とリバウンドの両部門でチームトップの数字をマーク。そして昨季と同等のアシストを記録している点も見逃せない。
「ブーチ(ブーチェビッチの愛称)はパス能力が高く、相手ディフェンスからリスペクトされているからマークを引きつけてくれるんだ。彼がスペースを作り出してくれるから、オフェンスを助けてくれる。だから彼がコートにいると、パスを回すのが簡単になるんだ」。
昨季からシックスマンに定着し、貴重な働きを見せているテレンス・ロスがそう話していたように、ブーチェビッチはこのチームの基盤となり、多方面で活躍を続けている。2年連続でオールスター入りすることこそできなかったものの、イースト有数のビッグマンであることに変わりはない。
今季ブーチェビッチが7アシスト以上を残した7試合で、マジックは格上のマイアミ・ヒートやフィラデルフィア・セブンティシクサーズを下したことを含む5勝2敗と勝ち越していることからも分かるはずだ。
7月31日からスタートする今季の第二幕。イースト8位のマジックは、7位のブルックリン・ネッツを0.5ゲーム差で追い、9位のワシントン・ウィザーズを5.5ゲーム引き離した状況で迎える。
シーディングゲーム(順位決定戦)として行われる8試合では戦力ダウン必至のネッツと2試合組まれているほか、ウェスタン・カンファレンスでプレーオフ出場争いを繰り広げているサクラメント・キングス、ペリカンズとも戦うことになっており、ここで取りこぼしなく勝利することができれば、2年連続のプレーオフ進出が現実となるだろう。
成長著しいジョナサン・アイザック(左膝)、ベテランのアル・ファルーク・アミヌ(右膝)というフォワード陣の戦列復帰は微妙だが、右肘の負傷で中断前の3試合を欠場していたエバン・フォーニエは完治したと報じられており、オールスター後にイースト4位の6勝4敗を記録したメンバーで臨める見込み。
「僕が言えるのは、チームメート全員が、(シーズン再開に)すごく興奮しているということ。そのニュースを聞いた時、僕らはグループチャットでテキストを送り合い、話し合ったくらいだからね。それまでも連絡を取り合い、コートへ戻って今シーズンをフィニッシュさせたいと話し合ってきた。だからもう、皆がものすごくワクワクしているんだ。再開するまでどれほどの時間があるか分かったから、早速チームとして取り組む準備をするさ」。
ブーチェビッチは6月5日に『NBA.com』へ掲載された記事の中でシーズン再開について興奮気味に語っており、ポジティブな見解を示していた。
7月2日に行われたメディアとのカンファレンスコールでも、ブーチェビッチは「正直に言うと、僕としてはNBAがきわめて安全な方法でシーズンを終えようとしていたことは分かってた。僕らはNBAについて互いに話し合ってたんだ。スポーツに限らず、ビジネスとしても世界でベストな組織の1つだからね」と言及。
そして「僕自身は正しいやり方でコートに戻ってプレーすることについて全く疑問視することはなかったんだ。いったんその場に入ったら、問題ないだろうと思ってたよ」と、シーズン再開を心待ちにしていたことを明かした。
ブーチェビッチには高確率で沈めるペイントエリアだけでなく、ミドルレンジやロングレンジからでも4割前後で放り込むシュート力があり、パサーとしてもチームメートたちの得点機会を演出することができる。
今季の第二幕でこのチームが安定した得点を残すためにも、ブーチェビッチの大車輪の活躍は勝利に不可欠と言っていい。
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