2020.08.07
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:アトランタ・ホークス(イースタン・カンファレンス14位)
総合評価:A
■プロフィール
生年月日(年齢):1998年9月19日生まれ(21歳)
ポジション:ガード
身長/体重:185センチ/81キロ
NBAキャリア:2年目
<今季ここまでの功績>
オールスター選出(初)
ライジングスターズチャレンジ選出(2年連続2度目)
週間最優秀選手:1度
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:35.3分(リーグ11位)
平均得点:29.6得点(リーグ4位)
平均リバウンド:4.3本
平均アシスト:9.3本(リーグ2位)
平均スティール:1.1本
平均ブロック:0.1本
フィールドゴール成功率:43.7%
3ポイント成功率:36.1%
フリースロー成功率:86.0%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:47分40秒(20年2月10日/対ニックス)
得点:50得点(20年2月21日/対ヒート)★
リバウンド:13本(20年1月9日/対ロケッツ)★
アシスト:18本(20年1月31日/対シクサーズ)★
スティール:5本(19年11月9日/対キングス)★
ブロック:1本(8度)★(キャリアハイタイ)
フィ―ルドゴール成功数:16本(3度)
3ポイント成功数:8本(3度)★(キャリアハイタイ)
フリースロー成功数:18本(3度)★(キャリアハイタイ)
★=キャリアハイ
昨夏コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)やスティーブ・ナッシュ(元フェニックス・サンズほか)といったレジェンドたちとのワークアウトをこなし、選手として一回り成長したヤングは、昨年8月に『The Athletic』へこんな言葉を残している。
「(ホークスについて)僕らがよく耳にするのは再建についてで、勝利や大きなことを成し遂げるまでどのくらい時間を要するかということばかり。でも僕らはそのプロセスを速めたいんだ。プレーオフに出場したい。昨季、僕らはプレーオフを見ていたんだけど、僕個人としては傷ついたよ。プレーしたかった。あの舞台でもプレーし続けたかったんだ」。
プレーオフ出場を目指して意気揚々と迎えた今季。ヤングは開幕2試合で計77得点14リバウンド18アシストを奪うなど大暴れ。カール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)と共に開幕第1週の週間最優秀選手に名を連ねた。
だがヤングの奮戦も空しく、ジョン・コリンズがNBAと選手会が定める反薬物プログラム規定に違反し、6戦目から25試合の出場停止となったことを機に、チームは連敗地獄に陥っていまい、プレーオフ戦線から事実上の脱落。
ヤングは11月に21歳と54日で3試合連続の30得点10アシスト以上を記録したNBA史上最年少の選手に。さらに、22歳を迎えるまでに複数試合で40得点10アシスト以上を達成した史上3人目の選手という称号を得るなど孤軍奮闘。だが昨季新人王を争い、共にオールルーキーファーストチームに満票で選ばれたルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)が平均トリプルダブル級の成績を残し、チームを勝利へと導いていたこともあり、12月に『ESPN』へ「僕らはきっと、キャリアの中で比較されるんだろうね。それは構わない。ドラフト当日にトレードされた相手だし、共に引退するまでこの比較は終わらないんじゃないかな」と漏らし、自身の思いをこう口にしている。
「僕はバスケットボールをプレーするのは大好きだし、彼もそうだというのは分かってる。僕を悩ませているのは、しょっちゅう(ドンチッチとの比較について)聞かれることなんだ。僕から聞くことはないのに、その話になってしまう。でもね。僕らは全く異なる状況でプレーしているし、プレースタイルだって違うんだ。彼はいいプレーをしているし、それは僕も同じこと。だからもう、放っておくしかないね」。
チーム戦績ではドンチッチ率いるマブスに軍配が上がったものの、ヤングも今年1月に月間平均31.7得点5.3リバウンド11.5アシスト、2月には同31.3得点3.4リバウンド10.1アシストと、2か月連続で月間平均30得点10アシスト以上をクリアするなど、リーグ有数のスコアリングガードへと飛躍。オールスターにはスターター枠で選出されるなど、個人として見れば大成功と言ってもいいシーズンだった。
「僕にとって、(オールスターは)子どもの頃から大好きな場所なんだ。今は21歳だけど、まだ子どものようなものさ。だからこの瞬間を楽しみたい。時間というのはあっという間に過ぎ去っていくものだから。もう子どもになって楽しみ続けたいね」。
オールスター期間中の会見でそう口にしたヤング。オールスター本戦では前半終了と同時にハーフコートショットを放り込むなど、10得点10アシストで初の球宴を終えた。そしてホークスはヤングを中心にコリンズやルーキーデュオのディアンドレ・ハンターとキャメロン・レディッシュ、バックコートの相棒ケビン・ハーターらがそろい、オールスター後に5勝6敗と復調。
だがシーズン中断時点でイースト14位だったため、第二幕へ参戦できずに今季を一足早く終えることに。ヤングは6月11日に行われた『ESPN』とのリモートインタビューで「僕は怒りと苛立ちを感じた。心底プレーしたいと望んでるからね。でもNBAの考え方は理解してるし、彼らが下した決断についても尊重してる。それでもプレーしたいという気持ちが強いから、僕は怒りを感じたんだ」と悔しい思いを口にしていた。
自粛期間中、ヤングはMJことマイケル・ジョーダンを中心に90年代に2度の3連覇を果たしたシカゴ・ブルズのドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』を見て、ものすごく刺激を受けたという。
「とんでもない(ドキュメンタリー)シリーズだ。MJがロッカールームでどうだったのか、どうやってチャンピオンシップを勝ち取ったのか、どのようにしてゲームを離れて、(一度引退してから)復帰して3度も優勝できたのか。僕はチャンピオンシップを勝ち取りたい。ホークスというフランチャイズを次のレベルへと引き上げたいんだ。だから彼がやってきたこと、そのために彼が見せてきた犠牲の数々を観ているよ。本当にインスパイアされるものだし、僕にモチベーションを与えてくれる」。
5月17日に公開された『ESPN』の番組“One Team Speaker Series”でそう話したヤングは「僕はいつだって、ネガティブで後ろ向きなことや人々が言ったことを燃料として利用してきた。いつもネガティブなエナジーをポジティブなものへと変えてきたんだ。いつの日か僕を批判してきた人たちが最高のファンの1人になってくれるといいね」と自身のキャリアを振り返っていた。
もっとも、ヤングはこれまでのNBAキャリアについて後悔しているわけではない。6月13日に地元メディア『The Atlanta Journal-Constitution』へ掲載された記事の中でここまでの2シーズンを振り返り、来季を見据えていた。
「僕がここに来てから2シーズンを通して、自分たちがここまで見せてきた進歩については気に入ってる。このチームのタレント面もそうだし、チームメートたちが毎年向上していく限り、僕らは正しい方向へと向かってると思ってる。キャム(レディッシュとディアンドレ・ハンター)が来シーズンにどんな選手になっているかを見るのが待ちきれないね」。
ヤングにとって、キャリア3年目となる来季、ホークスは今年2月にトレードで獲得したクリント・カペラがラインナップに加わり、戦力を増強させて再スタートを切る。ヤングも含めてロースターには伸びしろのある若手が複数いるだけに、どこまでレベルアップしているか。今から楽しみでならない。
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