2022.06.28
今シーズンのカイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)は、決してファンが満足するほどのプレータイムを確保できたわけではないが、それでも短期間で自身がリーグのトッププレーヤーであることを改めて証明したように思える。
レギュラーシーズンは29試合の出場に留まったため、記録としては参考外のデータになるが、1試合平均27.4得点5.8アシストはいずれもキャリア平均を上回った。3ポイントシュート成功率は41.8パーセント、フリースロー成功率91.5パーセントとシュートタッチの安定感にも目を見張るものがあった。
それでもネッツは、アービングとの長期契約については慎重な姿勢を崩さない。そして、その判断にはナイキも同調しているようだ。
『ESPN』によると、アービングとナイキの契約は2022-23シーズンまでとなっているが、同選手のNBAキャリアの不確実性から、来シーズン以降の契約延長の可能性は低いという。
アービングとナイキのパートナーシップは、2014年に開始。現在は同ブランドで最も人気かつ収益性の高いシグネチャーシリーズとして、確固たる地位を築き上げている。そして、アービングは今秋に新作シグネチャーを発表する見込みだが、これが最後のモデルと情報筋は述べている。
ナイキの広報担当者は『ESPN』の取材に対し、「弊社が契約や噂、憶測についてコメントすることはございません。また、カイリーがナイキのアスリートであることに変わりはありません」とコメント。シグネチャー契約終了を否定することはなかった。
近年、アービングにまつわる騒動は後を絶たない。同選手はコロナウイルスの予防接種を受けないという判断から、ニューヨーク市の条例によりレギュラーシーズンの大半を欠場。シューズはコートでの輝かしいプレーの数々によってその価値と人気が決まると言っても過言ではなく、ビジネス的な側面から言及すれば、ブランドは広告塔として1試合でも多く、選手としての真価を発揮してほしいと願っていることだろう。
また、公然での立ち振る舞いもナイキが契約延長を見送る理由のひとつかもしれない。とりわけ、ボストン・セルティックスとのゲームでは古巣のロゴを踏みつけたり、ファンに中指を立てるなど決して誇れるような態度でないことは明らかだ。
無論、ナイキとの直接的な関係性悪化も懸念材料と推測される。『カイリー 8』の発売直前、アービングは自身のSNSを介してそのデザインを「ゴミ」と罵り、「僕はデザインやマーケティングとは何も関係ない。ナイキは僕の許可なしでシューズを発売するつもりだ」と、穏やかではないコメントを発していた。
しかし、ナイキはアービングシリーズの人気から、契約終了後は同選手の名前を商品名から外し、レトロシリーズとして今後もシューズを展開する見込みだという。
ナイキとアービングの間では、将来性について話し合いが始まっている模様。すでにSNS上では次の行き先についての予想が行われるなど、その動向に注目が集まっているが、果たして両者の旅路はどのような結末を迎えるのだろうか。
文=Meiji
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