2023.05.13
4月16日(現地時間15日、日付は以下同)に幕を開けた「NBAプレーオフ2023」は、29日終了時点でファーストラウンド全8カードのうち7カードで決着がついた。
残るはウェスタン・カンファレンス第3シードのサクラメント・キングスと第6シードのゴールデンステイト・ウォリアーズによるシリーズのみ。3勝3敗で並んだ両チームは、5月1日に運命の第7戦を迎える。
そして30日からは、カンファレンス・セミファイナルがスタートする。その先陣を切ってシリーズ初戦に臨むのは、ウェスト第1シードのデンバー・ナゲッツと、第4シードのフェニックス・サンズだ。
5年連続のプレーオフ出場となったナゲッツは、ミネソタ・ティンバーウルブズ(第8シード)とのファーストラウンドで第4戦こそ延長の末に落とすも、翌第5戦を制して4勝1敗で突破。ジャマール・マレーがシリーズ平均27.2得点5.6リバウンド6.4アシスト1.0スティール、ニコラ・ヨキッチが同26.2得点12.4リバウンド9.0アシスト1.2スティールと両輪が健在で、計6選手がシリーズ平均2ケタ得点を残した。
一方のサンズは、第5シードのロサンゼルス・クリッパーズ相手に第1戦で敗れたが、続く第2戦から負け知らずの4連勝。相手の主力がケガで離脱したことで戦力ダウンしたこともあったのだが、5試合で平均122.0得点をマーク。
なかでもデビン・ブッカーがシリーズ平均37.2得点5.0リバウンド6.4アシスト2.6スティール1.0ブロック、ケビン・デュラントが同28.4得点7.6リバウンド6.2アシスト1.0スティール1.0ブロックと絶好調。プレーオフ最初の5試合でいずれも25得点以上と、2003年にロサンゼルス・レイカーズでプレーしたシャキール・オニールとコービー・ブライアント以来の快挙を達成している。
両チームによる今シーズンの直接対決は、互いにホームで勝利を挙げて2勝2敗の五分。だがシーズン途中にトレードで加入したデュラントが出場した2試合でヨキッチ、マレーは出ていないため、現在のベストメンバーでは一度も対戦していない。
ナゲッツはマレーがケガで離脱していた2021年のカンファレンス・セミファイナルでサンズ相手にスウィープ(4連敗)を喫しており、ヨキッチは「僕らにとって大きなチャレンジになる」と話していた。
「彼らはおそらく優勝候補なんだ。素晴らしい選手たちがいて、よく指導されている。あのチームにはゲームでおそらくベストなマネージャーあるいは戦略家のクリス・ポールがいる。ブッカー、デュラントというスーパースターもいて、今のNBAで間違いなくベストな選手たちなんだ。それに(ディアンドレ)エイトンのゲームにはすごく感心している」
サンズには2021年にウェストを勝ち上がってNBAファイナルを経験したブッカー、ポール、エイトン、トーリー・クレッグ、さらにはウォリアーズで2度の優勝を果たしたデュラントがいる。デュラントはケガもあってサンズ移籍後ここまで13試合のみの出場ながら、チームは12勝しており、その存在感はやはり別格。
対するナゲッツには2020年にレイカーズで優勝したケンテイビアス・コールドウェル・ポープがいるものの、そのほかでファイナル進出経験があるのはジェフ・グリーンのみ。だがヨキッチとマレーを軸にコアメンバーたちが培ってきたケミストリーがある点は見逃せない。
現時点における両チームのシリーズ勝敗予想は『NBA.com』では4勝3敗でサンズ、『Arizona Republic』では4勝2敗でサンズ、『NBC Sports』では4勝3敗でナゲッツ、『The Athletic』では匿名のコーチが4勝2敗でサンズ、匿名のスカウトは4勝2敗でナゲッツ、匿名のエグゼクティブが4勝3敗でナゲッツと、6試合以上をこなして勝敗が決する様相となっている。
ナゲッツとしてはヨキッチがエイトンを中心とするサンズのビッグマンたちを相手にMVP級のパフォーマンスを披露し、2020年のプレーオフで大暴れを見せたマレーがチームの原動力としてどれだけ点を奪えることができるか。
また、マイケル・ポーターJr.やアーロン・ゴードン、さらにはブルース・ブラウンをはじめとするベンチ陣の働きもシリーズ突破には不可欠となる。
サンズとしてはブッカー、デュラント、さらにはポールというリーグ屈指のミッドレンジジャンパーの使い手たちが効果的に加点しつつ、エントンがヨキッチ相手に奮戦し、クレッグやジョシュ・オコーギー、ビスマック・ビオンボといったロールプレーヤーたちがインパクトを残すことができるか注目したい。
文=秋山裕之
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