2025.07.07

ドラフト16位の中国人ルーキー ヤン・ハンセンがサマーリーグに意気込み「プロセスを楽しむ」

ブレイザーズに加入したヤン・ハンセン[写真]=Getty Images

 日本からは河村勇輝富永啓生馬場雄大の3名が出場する『NBA 2K26 サマーリーグ』だが、今年はもう一人、注目のアジア人選手が出場予定だ。

 2巡目指名の予想から全体16位まで大幅にステップアップした今季最大のサプライズであるヤン・ハンセンは、身長216センチの中国人センターだ。ハイポストの司令塔タイプで、プレースタイルからは“中国版アルペラン・シェングン”として、その活躍が期待されている。

 ヤンは7月13日(現地時間12日)、球団の施設でチーム練習に参加。そこでデビューを目前に控えた現在の心境について、地元メディア『Oregon Live』の取材に応えている。

 中国リーグの青島イーグルスから夢のNBA入りを果たしたヤンだが、自身がルーキーであることに焦りを感じることはなく、まずは環境の変化への適応に集中する意向だ。

「はじめに、僕は新人なので、すべてをこなせるようになるには時間が必要ですし、ベテランや経験豊富なプレーヤーたちから学ぼうと努力する必要もあります。私にとっては新しいことだらけなので、学ぶ時間も大切にしたいです。コミュニケーションは確かに難しいですが、知っている英語を使うようにしています。日常生活で使う言葉よりも、バスケットボール用語のほうが馴染みがあるので、コーチやチームメートとコミュニケーションを取るために、より多くの英語を使うように心がけています。時間を有効に活用しないといけません。チームも英語やバスケットボールの理解をサポートしてくれています」

中国代表としてもプレーするヤン[写真]=Getty Images

 現代的でスキルフルなビッグマンのヤンだが、チェット・ホルムグレンなどにも見受けられたように、最初の課題はNBAレベルのフィジカルへの適応とされている。ヤン自身も中国と比較するとスピードもフィジカルもNBAの方が上と感じているが、同時にコントロールされていることに気付きがあったと語る。

「(NBAでは)本当にボディコンタクトを駆使していますね。でも、相手を壊そうとはしません。お互いを守りながらも、身体を使い、余計な接触を加えてくるような感覚です。みんなハードにプレーしています。それでいながら、紳士的ですね」

 ヤンは青島イーグルスに所属していた昨シーズン、平均16.6得点、10.5リバウンド、3.0アシスト、2.6ブロックを記録。中国の年齢条項により2年連続の新人王に輝き、2年連続のオールスターおよび国内選手ファーストチーム選出に加え、2024年には最優秀守備選手賞を受賞するなど、デビューから輝かしい成績を残してきた。また、“ルーキーの見本市”であるドラフトコンバインのスクリメージでも安定したプレーを披露。初戦はフィールドゴール7本中5本成功の12得点、続く第2戦はフィールドゴール成功率75パーセントの高確率を維持したまま、11得点、6リバウンド、6アシストをマークしており、『Sports Illustrated』のドラフト担当であるデレック・パーカー記者も「ヤンのパスのハイライトは、控えめに言っても目を見張るほどだった」と、その技術を賞賛している。

 しかし、ヤンは自分に求められる役割がスター選手たちとは異なることを理解しており、献身的なプレーに軸足を置くと語る。

「(中国にいるときと)役割は確かに変わるでしょう。今はルーキーですから、僕の主な仕事は得点ではありません。ディフェンスとリバウンドです。リバウンドをひとつひとつ掴み、選手たちがより良いプレーができるよう、あるいはプレーメイキングのスキルを使ってチームの勝利に貢献できるようサポートする必要があります。なので、ローポストは以前ほどトライせず、試合の流れを掴むために相手を欺けるよう工夫したいです。自分のバスケをしつつ、チームバスケットを心がけたいと思います。スクリーンをセットしたり、リバウンドを取ったり、ディフェンスをしたりと、いわゆる“汚れ仕事”を引き受けるつもりです」

 もちろん、選手自身もアシストでチームを助けるのが好きだが、派手すぎるパスについては「チャウンシー(・ビラップス)HCに怒鳴られちゃうからね(笑)」とし、まずは確実なプレーを約束した。
 
 ブレイザーズでサマーリーグを指揮するロニー・バレルACも、ヤンの味方だ。才能とサイズはアメリカの地でも際立っており、言語についても通訳やチームメートの力を借りながらよく対応していると及第点。一方で、言語も文化もすべてが初めてで、学ばなければならないことは山ほどあるとしたが、成熟具合と持ち前のキャラクター、吸収力の高さを高く評価した。

「素晴らしく、やり切っています。彼には大きなプレッシャーがかかっているので、まずは楽しんでプレーし、学ぶべきことを吸収してもらえたらと思います。選手は皆、目標は共通ですが、キャリアの段階はそれぞれ異なります。今日の練習ではハングリー精神が見えたし、チームがハンセンを歓迎するムードも良かったですね」

 ブレイザーズは、7月12日(現地時間11日)にサマーリーグの初戦としてゴールデンステイト・ウォリアーズと対戦。ヤンはチームの主力センターとして、一定のプレータイムが与えられる見込みだ。

 デビューを目前に「競争と、プロセスを楽しみます」とヤン。隣国のアジア人プレーヤーの新章が今、始まろうとしている。

文=Meiji

NBAの関連記事