2019.10.02
2014年以来5年ぶりの開催となった「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)で、FIBAランキング1位のアメリカ代表は、グループEのファーストラウンドでトルコ相手に延長の末に1点差で辛勝。
その後は日本、ギリシャ、ブラジルを下して準々決勝まで勝ち進んだものの、フランスの前に敗退。順位決定戦ではセルビア相手に黒星を喫してしまい、最終的に7位でW杯を終えることに。
今大会でヤオ・ミン(中国/元ヒューストン・ロケッツ)、ダーク・ノビツキー(ドイツ/元ダラス・マーベリックス)と共にグローバル・アンバサダーを務めるコービー・ブライアント(アメリカ/元ロサンゼルス・レイカーズ)は、9月14日(現地時間13日)に『The Athletic』へ掲載された記事の中で、自身が見たアメリカの現状をこのように語っていた。
「もし仮に、アメリカがベストメンバーを組んでコートに立ったとしても、チャレンジに直面することになるだろう。容易に勝利することはないだろうね。1992年のバルセロナオリンピックの時のドリームチームはもう終わったんだ」。
アメリカ代表は2002年のFIBA世界選手権(現W杯)で屈辱の6位、04年のアテネオリンピックで3位、06年のFIBA世界選手権では3位と、約4年間も優勝から遠ざかっていた苦い過去がある。
そこでアメリカは名誉を回復すべく、08年の北京オリンピックで当時リーグのベストメンバーと言っても過言ではない超強力なロースターを送り込んだ。
ロースターにはコービー、ジェイソン・キッド(元マブスほか)という百戦錬磨のベテランに加え、レブロン・ジェームズ(現レイカーズ)やドウェイン・ウェイド(元ヒートほか)、カーメロ・アンソニー(現未所属)、クリス・ポール(現オクラホマシティ・サンダー)にドワイト・ハワード(現レイカーズ)など、そうそうたるメンバーで挑み、見事金メダルを獲得。
それでも、スペインとの決勝戦について「(2008年の)僕らは本当にすごいチームだった。だけど金メダルをかけた戦いでスペインを倒すためには、試合終盤に突き放す必要があったんだ」とコービーは振り返る。
今年のW杯を前に、アメリカ代表はレブロンとステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、14年のW杯でMVPを獲得したカイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)が不参加を表明。
トレーニングキャンプのロースターに選出された中でも、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)やアンソニー・デイビス(レイカーズ)、デイミアン・リラードとCJ・マッカラム(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ブラッドリー・ビール(ワシントン・ウィザーズ)、アンドレ・ドラモンド(デトロイト・ピストンズ)、ケビン・ラブ(クリーブランド・キャバリアーズ)といったオールスター級の選手たちが相次いで辞退となり、迫力不足のロースターとなった。
来年の東京オリンピックで、アメリカがオールスター級の選手を12人かき集めて臨んだとしても、それだけで金メダルを獲得できる保障はどこにもない、というのが現状だろう。
「世界各国がアメリカに追いついたと言っているわけじゃない。長い時間をかけて追いついてきたということ。今のアメリカは、いくつかの試合で勝利することができるだろう。でも負けてしまうこともあるんだ。今後どうなっていくか、様子を見てみようじゃないか」とコービー。
汚名返上すべく、来年のオリンピックでアメリカ代表がどんな選手たちを送り込んでくるかは気になるところ。その中で、コービーは「国際大会における競争はますます激しくなるだろう」と口にし、「すべてにおいてリスペクトしなければならない」と語っていた。
はたして、来年のオリンピックでアメリカにはどんな結末が待ち受けているのか。この先の約1年間はアメリカ代表に関わるすべての人たちにとって、重要な期間となりそうだ。
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