2024.11.22
大舞台で決め続けたシュートの感覚はいまも残っている。広島ドラゴンフライズの山崎稜は、昨シーズンのチャンピオンシップ(CS)で3ポイントシュートを量産し、MVPの活躍で初優勝に大きく貢献した。今シーズンはチャンピオンの一員として広島2年目のシーズンに挑む。
昨シーズン広島に加入した山崎は、シーズン序盤こそ怪我の影響もあって苦しんだが、徐々に調子を上げて終盤やCSで攻守にわたって活躍。CSの全8試合では50本中28本の3ポイントを決めて、56パーセントという驚異の成功率をマーク。チームを優勝に導くパフォーマンスで昨シーズンCSのMVPに輝いた。
広島を熱狂させた活躍から約4カ月、山崎は当時の好調ぶりを振り返って「自信に満ち溢れていましたね」と笑顔で話す。
「とにかくシュートが入る気しかしなかった。(パスを)キャッチした段階から全てが噛み合っていて、普段ならボールを持ち直す動作があるけど、そういったことを意識せずとも自分の気持ちいい感覚のところに収まっていた。本当に全てがうまく噛み合って、CSの初戦からファイナルに上がっていくまで、ずっといい状態でパフォーマンスできたのが自信になって、極限までいけた感覚でした」

昨季CSファイナル第2戦、中村と山崎による“確信スリー”は広島初Vを代表するシーンとなった[写真]=B.LEAGUE
ベストの感覚をつかんで迎えた広島2年目のシーズン。「僕は日本人選手の中でも1番年上なので背中で引っ張っていきたい」と話す32歳のシューターは、「もう全部狙っていくぐらいの気持ちでシュートを打っていきたい。自分が打てるっていうタイミングがあれば、どんどん打っていきたいし、それがチームにも伝染して、みんなが思いきり良くプレーができればいいなと思う」と意気込む。

山崎は2連敗を喫した開幕節GAME1で6得点、GAME2で8得点だった[写真]=B.LEAGUE
ドラゴンフライズは初優勝を果たしたことで、今シーズンますます地元の注目を浴びている。広島は広島東洋カープやサンフレッチェ広島を筆頭にスポーツ人気が高いところ。試合がある日は、カープの球場がある広島駅周辺はユニフォームを着た観客によって赤く染まり、サンフレッチェの新スタジアムがある街中は紫で染まる。
山崎が昨シーズンの優勝後に「カープやサンフレに負けたくない」と当時加入1年目ながらも話していたのは、そんな広島の日常を肌で感じ、刺激を受けていたから。「今でこそBリーグは大きくなってきているけど、広島においてはカープ、サンフレッチェの盛り上がりにまだまだ自分たちは及ばないところにある。それを広島に来てからすごく感じていた」と改めて思いを明かす。

昨季CSファイナルでは山崎の3Pに朱色のスタンドが沸いた[写真]=B.LEAGUE
日本一になって注目される今シーズン、ドラゴンフライズカラーの朱色に染まった光景を増やしていきたい。「僕らも(ブースターが)そういった光景を作ってくれることがうれしいし、ホームゲームですごく力をもらえるので、もっとそういった光景を作っていきたい」。スポーツに熱い街をバスケットボールでさらに盛り上げるために。山崎は最高の舞台でつかんだ感覚を信じ、鮮やかなシュートで広島を朱色に染めていく。
取材・文=湊昂大
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