2025.03.08

広島の若手サウスポーが開花目前…指揮官「乗り越えた結果」EASLでも示した飛躍の兆し

EASL準決勝で日本人最多となる16得点を挙げた広島の渡部琉[写真]=EASL
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■「ベンチメンバーが活力を与えてくれた」

 3月7日、東アジアスーパーリーグEASL)2024-25シーズンの王者を決めるファイナルフォーがマカオのスタジオシティ・イベントセンターで開催され、広島ドラゴンフライズは81-65で新北キングス(台湾)に勝利。昨シーズンの千葉ジェッツに続くBリーグ勢の連覇に王手をかけた。

 一進一退の展開が続く中、7点リードして迎えた第4クォーターに河田チリジケリー・ブラックシアー・ジュニアが相次いでファウルアウトになる緊急事態もあったが、寺嶋良上澤俊喜中村拓人を同時起用するスモールラインナップも機能。最後は新北を突き放すようにして決勝へと駒を進めた。

 朝山正悟ヘッドコーチは「非常にタフなゲームをこうして勝ちきれたことは本当に良かったと思います。特に後半、自分たちのディフェンスのスタイルをやりきれたこと、そのなかでもしっかりとチーム全員が、ベンチメンバーがこうして役割を遂行して活力を与えてくれた。この辺のところが今日の勝因かなと思います」と、試合を総括した。

選手を出迎える広島の朝山正悟HC[写真]=EASL


 指揮官が言う“ベンチメンバー”のなかでも一際輝きを放っていたのが、今シーズンから広島に加入した身長193センチ、24歳のサウスポー、渡部琉だろう。1ポゼッション差のせめぎあいが続く中、第2クォーター開始2分にリバースレイアップで初得点を挙げると、3本連続で3ポイントシュートを成功。第2クォーターだけで11得点を稼ぎ、試合全体でも日本人最長となる26分26秒のプレータイムで、ドウェイン・エバンス、ブラックシアーに次ぐ16得点をマーク。これは直近の国内リーグ戦で記録したキャリアハイの17得点に次ぐ数字だった。

■一気に飛躍も期待「キャリアにつながる」

 試合後の会見に出席した渡部は「自分としては前節にキャリアハイでしたけど、それまでは悔しい結果が続いている中、いろいろな課題に取り組んできて、それがたまたま今回の試合でシュートが入ったということ。今日に関しては自信を持ってシュートを打ちきれたと思います」と、自身のパフォーマンスについて振り返った。

 会見に同席した朝山正悟HCは、渡部について「最近ものすごく調子を上げてきている選手の一人だと思っています。でも、彼がこのチームに来る前からこういったポテンシャルがある選手だということ、そこを期待してこのチームに来てもらっている部分もあります。本人も言っていますけど、苦しい思い、悔しい思いをしてきたなかで、自分で向き合って乗り越えた結果が出てきたものなんじゃないかなと思っています」と、ここまでの歩みにも言及し、そのパフォーマンスを評価した。

 Bリーグでは、今シーズンここまで40試合(うち先発8試合)に出場し、1試合平均12分31秒のプレータイムで3.2得点というスタッツ。パフォーマンスの波はあれど、継続的にコートへ送り出してきた指揮官は「まだまだ若い選手なのでいろいろな波があると思いますけど、この結果が自信に、今後のキャリアにつながっていくものだと思っています」と、さらなるステップアップに期待を寄せる。

 決勝の舞台を目前に控え、「タイトルをとったら自分のキャリアにもつながると思うので、そこは一発にかける思いは大きい」と渡部。取材時点では、琉球ゴールデンキングスと桃園パウイアンパイロッツのどちらが相手でも「やることはかわらない」と発していたが、グループステージで2連勝した桃園との再戦が決定した。

2試合連続で2桁得点をマークしている渡部琉[写真]=EASL


 開花しつつある24歳は「お互い手の内が知られているので、やるべきことをやれば必ずタイトルを取れると思っています。シュートが入るか入らないか、ではなくて、自分たちがやるべきことにフォーカスして、タイトルを取れればいいなと思います」と頂点を見据えた。

 注目のEASL決勝は、9日20時10分ティップオフ予定。試合の模様は『U-NEXT』で独占配信される。

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