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「エースになるために」“一皮むけた”金近廉…アジア大会日本代表で得た学びと今後への誓い

アジア競技大会で奮闘した日本代表の金近[写真]=小永吉陽子
スポーツライター

■若手代表で与えられた得点を取る役割

 9月20日に閉幕を迎えた『第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)』の男子バスケットボール競技。日本代表の64年ぶりとなる銀メダル獲得に、得点面で大きく貢献したのが金近廉千葉ジェッツ)だ。

 特に準決勝以降は目覚ましい活躍を見せ、準決勝の中国戦では要所の3ポイントシュートとリムアタックで見せ場を作り、チーム最多の19得点、4リバウンドを記録。決勝の韓国戦では、3ポイントを中心に13得点、6リバウンドをあげ、チーム最長となる29分55秒プレー。大会を通してはアレックス・カークに次ぐ平均11.16得点をマークし、これまでより一皮むけた姿を見せた。

 金近は今回のチームの中では代表歴を積んでいる選手だ。2023年2月にFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア地区予選Window6のメンバーに抜擢されると、デビュー戦になったイラン戦では6本の3ポイントを含む20得点をマークし、鮮烈な代表デビューを飾っている。

[写真]=小永吉陽子

 当時20歳。そこからの3年間は、FIBAアジアカップ2025予選、FIBAアジアカップ2025、FIBAワールドカップ2027アジア地区予選などにも何回か出場している。だが、フル代表では確実なプレータイムが与えられていたわけではなく、自分の居場所をつかみに行く立場の選手だった。

 そうした経験を積む中で、今大会でこれまでと違う姿を見せたのは「今までとは違った役割」を引き受けたからだ。

「ダイスさん(吉本泰輔ヘッドコーチ)は試合の序盤や、タイムアウト明けに自分のためにデザインしたプレーを作ってくれました。それがすごく自信につながったので、自然と『もっと点を取ろう』という気持ちになりました」

 いわば、若手代表におけるエースの役割を与えられたのである。吉本へッドコーチに託された信頼関係、そして任された責任感が、一皮むける要因となった。そして今大会の快進撃については「チーム力が高まっていった」ことも明かしている。

[写真]=小永吉陽子

「このチームには、JJ(ジャン・ローレンス・ハーパージュニア)、敦也(小川)、一渉(山﨑)、悠翔(川島)とか、U16代表から一緒にやっているメンバーもいますし、大学の先輩後輩関係(黒川虎徹津屋一球)もあります。本当に昔から一緒にやっているメンバーがたくさん揃っているので、そこまで擦り合わせが必要ないくらい、お互いの強みを理解しています。その中で一人ひとりがエゴを出さずに自分の仕事をやろうとしたことが『一つのチーム』になった要因だと思いますし、チームで戦えている実感もあります。一番良かったのは、日本開催だったのでたくさんの観客の前で、アジアの強豪チームとの競争を楽しめたこと。決勝で負けたのは本当に悔しいですけど、韓国は後半強かったですし、そういう強い相手とやれたことが楽しかったです」

■得点できない時に何をすべきか…ライバルから学ぶ

 韓国との決勝では3ポイントこそ7本中3本成功(43パーセント)と当たったが、準決勝で見せたリムアタックはできなかった。後半に入ると一段と厳しくなったマークを剥がすことができず、攻撃が単調になった。小川とハーパージュニアのタフショットで得点をつないだが、内容としては後手を踏んでいた。しかし、インテンシティの高い相手と戦ったからこそ、新しい課題も見つかった。

「決勝はもう少しドライブをするチャンスがあったのですが、韓国のディフェンスが厳しくて、そこの判断がうまくできなかったです。いろんなパターンで得点を取れれば相手がイヤがると思うので、そういうプレーヤーにならなければ」

[写真]=小永吉陽子

 そして、ある人物の名前を自ら切り出した。同じポションとしてマッチアップすることもあった、韓国代表のエース、イヒョンジュンである。

「ヒョンジュン選手はオフボールでも、オンボールでもいろんなプレーで点を取れるし、フリースローも多く獲得する。ヒョンジュン選手のプレーを見て、3ポイントだけじゃない強みを僕自身も身につけていく必要があると思いました。それに彼はリバウンドも頑張るので、そういう体を張るプレーからゲームのリズムを作っていく必要があると思いました」

 代表チームで勝つためには任された役割を遂行することが重要だが、同時に、チームに流れを持ってくるために何を頑張ればいいのか、考えながらプレーすることも必要だ。ライバル国のエースは決勝で27得点あげた得点力もさることながら、リバウンドを18本ももぎ取っており、流れを呼び込むプレーを地道にしていた。そのことに気づけたことは大きな収穫だ。そして大会を終え、次なる目標は「ワールドカップ予選のメンバーに入ること」だと語った。

[写真]=小永吉陽子

「次のウインドウからはアメリカ組はいないので、アジア競技大会に出た選手がメンバーに入って、代表チームを底上げできるようにしたい」

 アジアの強豪たちとの競争を心の底から楽しみ、成長の階段をのぼった金近廉。次世代のエースはさらなる成長を誓って、名古屋のコートをあとにした。

文=小永吉陽子

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