2022.07.25
今春に大学を卒業し、Bリーグへ活躍の場を移した選手に大学時代を振り返ってもらうインタビュー企画、『新卒ルーキーが語る大学時代とこれからの未来』。
第1回は現在横浜ビー・コルセアーズでプレーするキング開。横浜の下部組織でプレーした経験を持ち、専修大学での飛躍を経て帰還したキングに4年間を振り返ってもらった。
インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年3月30日
――まずは専修大学へ進学した理由を教えてください。
キング アレセイア湘南高校の先輩である塚本雄貴さん(横浜エクセレンス)やアブ・フィリップさん(しながわシティバスケットボールクラブ)が専修に進んでいて、その縁で何度か試合を観る機会があったんです。その時にいい意味で個々の力を発揮できているチームだと思い、僕の能力を最大限に出せると感じて専修を選びました。
――キング選手は1年次のリーグ戦から出場機会を得ました。
キング ディフェンスとリバウンドを精一杯頑張った結果だと思います。オフェンスでは盛實海翔さん(サンロッカーズ渋谷)やフィリップさんが得点を取ってくれていたので、そのぶん僕はディフェンスとリバウンドをチームのために一生懸命頑張ろうという意識で1年目は過ごしていました。
――高校バスケと大学バスケの違いはどこに感じましたか?
キング 高校バスケを引退してからほぼ毎日ウエイトトレーニングをやっていたのでフィジカルの差はあまり感じなかったのですが、バスケIQでは違いを感じました。東海大学や白鷗大学のようないいチームは頭を使ったバスケをしてくるので、そういう面で難しい部分はあったと思います。
――1、2年次はコンスタントに試合へ出場するも、3年次に新型コロナウイルスが感染拡大。具体的にどんな影響がありましたか?
キング コロナの影響でチーム練習ができませんでしたし、寮内感染もあって部屋から出られない状況が続きました。バスケができない環境になりましたが、その時できることを精一杯やろうと思い、筋トレや体のケアをしていました。
――4年次はキャプテンに就任しましたが、その経緯は?
キング 同期が5人いたんですけど、消去法というか性格的にキャプテンになるっていう人がいなかったので(笑)。なので、自分がやりますという感じで決まりました。
――キャプテンを務めるうえで意識していたことは?
キング 専修は個性豊かなチームだったので、最初はまとめるのがキツくて。個々の思っていることもあるだろうし、留学生もいたので難しかったんですけど、『個々の力を潰さずにどうまとめるか』というのを考えた時に、『向かう先が一緒なら行く道は一人ひとり違ってもいい』と思ったんです。無理やりついてこさせるのではなく、共通認識を持つと自然とチームも形になってきたので、変にまとめることを考えずにやっていました。
――大学最後の大会であるインカレは4位で終えました。試合が終わった瞬間どんなことが頭に浮かびましたか?
キング これで最後になるのはとっても寂しいというのと、大学バスケ楽しかったなって。楽しかったより寂しい思いのほうが強かったですね。
――専修大では濃密な4年間を過ごされたと思いますが、4年間で成長できたことは?
キング 人間性は本当に成長したと思います。1年の時はチームをまとめるよりも先輩についていくという思いでしたが、2年からポイントガードに挑戦するうえでチームをまとめないといけなかったので。PG初心者だったのでまとめ方が分からず、ミスした時は自分で抱え込んだりしていたんですが、やっていくうちにだんだん慣れました。
大学では努力や自主練をずっとやっていて、そういうところを周りが見てついてきてくれました。周りが落ちた時に自分が上げていかないといけないこともありましたし、人間性は成長できたと思っています。
――大学で印象に残っている対戦相手は?
キング 津屋(一球/三遠ネオフェニックス)さんや西田(優大/シーホース三河)さん、笹倉(怜寿/アルバルク東京)さんが4年生の時の東海大学ですね。メンバー的にオールスター級の選手ばかりでしたから。僕が2年生の時、インカレの準々決勝で対戦し、逆転勝ちしたのですが、NBAでいうスーパーチームみたいなチームを全員で倒せた時はうれしかったです。
――練習で「これはキツかった」という思い出はありますか?
キング 専修ってチーム練習はそんなにキツくないんです。走り込みは他の大学に比べるとあまりやっていないと思うのですが、そのぶん自主練がキツかったですね。ジャンプトレーニングだったり動きながらのシューティングだったり、そういった部分をどれだけ本気でやれるかがカギでした。
――自主練を続けるために意識していたことは?
キング 友人の田中力くんはアメリカのレベルの高いところでバスケをしていますし、僕も将来日本代表に入りたい、海外挑戦したいという目標がある中で、努力しないとたどりつけないことは分かっていたので。すべては自分次第だと思っていましたし、4年間ブレずにやれたのは大きかったです。
――昨年12月に横浜ビー・コルセアーズとプロ契約を締結。地元のプロクラブでプレーできる喜びをどのように感じていますか?
キング bjリーグの時から見ていたので、想像できないくらいうれしいです。僕にとっては夢のようなチームで、こんなプロになりたいという思いを持ちながらずっとバスケをしていましたから。ずっと応援してきたチームに選手として入れるのは非常にうれしいことですし、自分が小さい頃に見ていた選手のように、今度は子どもたちに憧れられるような選手になりたいと思っています。
――プロとしての今後の目標や目指す選手像を教えてください。
キング 日本代表に絡むことです。同じ夢を持っているチームメートの(河村)勇輝くんと2人で一緒に出られたら、これ以上のことはありません。今は2番(シューティングガード)ですが、代表では1番(ポイントガード)をやらないといけないので練習では積極的に1番をやっています。その中で自分に足りないことは分かっていますし、それを数年でどれだけレベルアップできるかがカギになってくると思います。
――最後に、大学入学直後のご自身にアドバイスを送るとしたらどんな言葉をかけますか?
キング 努力の部分では心配はなかったと思うので、強いて言うなら外のシュートは早いうちから練習しておけよっていうことですかね。あとは、チームをまとめるのも1年生だからって遠慮せずにもっとやって良かったのかなって今になって思います。
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