2023.04.04
Bリーグの進捗とともに盛り上がりを見せている『B.LEAGUE #LIVE 2022(Bライブ)』はリーグ公認のファンタジー(空想)スポーツゲーム。実在のB1・B2の選手が残すスタッツがそのまま反映されるので、Bリーグを現実と空想の両方で楽しめるということで注目をさらに集めている。このBライブをさらに面白くするにはリーグの状況を確認することも大切。バスケットボールキングでは毎月リーグの状況を勝敗にスタッツの要素を加えてお伝えしていく。Bライブ攻略の参考になれば幸甚だ。
文=吉川哲彦
Bリーグで年々増えている帰化選手の中でもニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)と並んでリーグを代表する帰化選手の一人。ちょうどこの時期に日本に帰化したジョシュ・ホーキンソン(信州ブレイブウォリアーズ)も話題になったが、第23節から第27節までの期間でも新しい帰化選手が5位にランクインした。
ロシターは第23節から第27節までのFPは38.0ポイント。1試合平均13.2得点は必ずしも高い数字ではないが、リバウンドが同10.8本、アシストが5.6個、さらにスティールも1.8個といずれも高水準。Bリーグ公認のファンタジーゲーム「B.LEAGUE LIVE 2022」(以下Bライブ)では、アシスト数の1.5倍、スティール数の2.3倍の数字がFPに換算されるため、アシストとスティールの多いロシターの存在は貴重だ。シーズンを通しての数字も1試合平均得点と同リバウンドで2ケタに乗せ、加えて4.0アシスト1.4スティール。ロシターの強みはこの安定感にある。
さらにいうと、同期間のターンオーバーが1.4個。FPランキング上位に入る選手はボールを持つ機会が多く、必然的にターンオーバーも増えてしまうものだが、今回のランキング上位に入った選手の中では、ロシターの数字は少ない。シーズン全体でも1.2個しかなく、ロシターには安心してボールを預けられるということを明確に示す数字となっている。
今シーズンのロシターに関しては、もう1点付け加えておかなければならない。日本でプレーした過去9シーズンの通算成功率が58.3パーセントと、これまではフリースローを苦手としていた印象が強いが、今シーズンは現時点で85.6パーセントと急上昇。安定感を増したロシターの働きが、東地区2位につけるA東京の好成績に結びついていることは間違いない。
過去に紹介したFPランキング上位の常連選手はペリン・ビュフォード(島根スサノオマジック)やマット・ボンズ(長崎ヴェルカ)など、錚々たるオールラウンダーがそろった。ロシターもまた、Bリーグ屈指のオールラウンダーと呼ぶにふさわしい。
ラベナはここまでの45試合全てに出場し、うち31試合がスターター。1試合平均11.0得点4.7リバウンド4.5アシストという数字を残しているが、第23節から第27節の期間に限れば同13.6得点6.6リバウンド4.4アシスト。アシストはほぼ変わらず、得点とリバウンドは数字を伸ばしている。同期間のFPも28.4ポイントで、リーグ全体の73位。これは、同じフィリピン出身選手であるジョーダン・ヘディング(長崎)やドワイト・ラモス(レバンガ北海道)、実兄のキーファー・ラベナ(滋賀レイクス)を上回る。
故障者が発生したこともあってチームは18勝27敗と黒星が先行し、開幕当初の快進撃が影を潜めている状況だが、ラベナはシーズンを通して安定した活躍を披露し、現在は9試合連続で2ケタ得点をマーク中。残り15試合で、中地区3位のサンロッカーズ渋谷とはわずか3ゲーム差。チャンピオンシップ進出は厳しいながらも、上位進出は十分に可能であり、そのうえではラベナの働きがより大きな意味を持ってくる。過去2シーズンは下位に沈んだ三遠。その苦境を知るラベナがチームを押し上げることができるか。
ただ、地区優勝するか、もしくは東中西地区2位の3チームの中で勝率最上位になれば、CSクォーターファイナルをホームで開催することができる。ホームコートアドバンテージを得るためには1つでも多く勝ち、順位を上げる必要があるため、広島と名古屋Dも地区2位以内を目指さなければならない。
今回特に注目したいのは名古屋D。ここにきて故障者が相次ぎ、3月の7試合は8人しかベンチ入りできない試合も多かった。しかし、連敗スタートの後に5連勝を飾り、3月はいわゆる“貯金”を3つ増やしてみせた。まだ地区4位とはいえ、苦しい台所事情の中で力強く戦っていることは称賛に値する。
特にその働きが光ったのが中東泰斗だ。第27節を終えた時点での成績は1試合平均7.2得点3.4リバウンド2.4アシスト1.1スティールとなっているが、3月の7試合に限ると同9.4得点3.9リバウンド5.6アシスト2.1スティールと全てのスタッツが上昇。FPポイントは25.6ポイントで、ランキングでは95位に食い込んだ。
名古屋Dにとっては、1試合平均2ケタ得点を維持し、アシストではランキング2位につけていた齋藤拓実の欠場は大きな痛手。加えて伊藤達哉も3月は2試合しか出場できず、ガード陣の層が薄くなったことは少なからず勝敗に影響するはずだった。しかし、中東が得点・アシストの両面でその不在をカバー。3月19日の試合では19得点9アシストをマークし、1点差という大熱戦を制する原動力となっている。
名古屋Dは中務敏宏と坂本聖芽も出場時間を伸ばし、スタッツを向上させてチームの危機を救った。多くの選手がチームに貢献できることを証明した名古屋Dは、西地区の上位争いで台風の目となるだけでなく、リーグ全体の優勝争いでもダークホースとなる可能性を秘める。
絶対的エースであるガルシアに注目が集まるが、躍進する佐賀の柱となっているもう1人の選手が西川貴之。シーズン途中に佐賀に加わった昨シーズンも良いスタッツを残したが、今シーズンは日本代表経験者の実力を遺憾なく発揮。第28節を終えた3月末の時点で全試合にスターターとして出場し、1試合平均14.2得点をマークしている。
圧巻なのは2月以降の成績だ。2月の8試合と3月の9試合は1ケタ得点に終わったのが各1試合しかなく、20得点未満も各1試合。つまり、17試合中13試合で20得点以上を挙げたことになり、2月12日には31得点、3月19日には32得点を叩き出した。2月26日から3月26日までの期間は1試合平均22.1得点2.5リバウンド5.3アシストでFPは33.3ポイント。B1も含めたランキングで32位という好位置に入った。シーズンMVPの候補にも名乗りを上げていきそうな勢いだ。
佐賀ではもう1人、角田太輝の成長も目を見張るものがある。大卒1年目ながら主力に定着し、スタッツも1試合平均10.0得点2.8リバウンド3.0アシスト1.3スティールと立派だが、西川と同様に直近の1カ月は数字を伸ばし、同12.8得点4.1リバウンド、4.6アシスト1.7スティール。FPも27.4ポイントでランキング83位につけている。
FPランキングはどうしても外国籍選手が上位を占めるが、その分チーム間の差は外国籍選手の活躍度では表れにくく、チームの総合力は日本人選手の働きによって決まると言っても過言ではない。佐賀のようにスタッツを残せる日本人選手がいることは大きな強みであり、その日本人選手のスタッツがシーズン終盤に伸びていることは追い風だ。ガルシアの負傷欠場中に5連敗を喫して足踏みしたが、残り10試合となった時点でガルシアは復帰。B1昇格を目指す佐賀の戦いぶりは、より注目されることになるだろう。
Bリーグ2022-23シーズンの開幕とともにスタートしたリーグ公認ファンタジースポーツゲーム『B.LEAGUE#LIVE2022』は、実在のB1・B2選手からドラフトしてチームを編成しプレーヤー同士で対戦するシミュレーションゲームだ。
プレーヤー同士の勝敗は、選手の実際のスタッツ=活躍に応じたポイントで争い、複数人だけでなく1人でも楽しめる豊富なコンテンツが用意されている。すでに多くのBリーグファンがプレーヤーを楽しんでおり、他のユーザーと交流するツールとしても活用されるなど、上々の反響を得ているということだ。
このゲームの最も面白いところは、日本代表クラスの選手や個人タイトル争いの常連だけでチームを編成できない点。勝敗を競う上ではスタッツが何よりも重要となるが、実際のプロスポーツの世界で過去の実績によって選手の年俸に差が生じるのと同様に、これまでに高いスタッツを残してきた選手とそうでない選手を同じ条件で獲得することはできない。サラリーキャップ(選手総年俸額に上限を設ける制度)のようなシステムがあるこのゲームでは、未知数ながら将来性のある若い選手や、移籍などで出場機会増加が見込まれる選手などを見極め、チームに加える必要があるのだ。
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