2019.12.20

日本一のスピードはどう生まれるのか…福岡第一を支える最高峰の武器に迫る

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福岡第一の“スピード”を生む日本一の練習に迫る

 昨年のウインターカップで優勝を果たすと、新チーム発足後もその勢いのままインターハイを制覇した福岡第一高校(福岡県)。現在、高校バスケ界を圧倒的ともいえる強さでけん引する同校の強さの要因は、他を寄せ付けない“スピード”だ。

 堅いディフェンスで相手を抑え、いざ攻撃のスイッチを入れれば、瞬く間に相手を置き去りにして得点を奪ってみせるその姿はまさに“電光石火”。

 その中心にいるのが人気・実力ともに高校界ナンバーワンポイントガードの河村勇輝、その河村とダブルキャプテンとしてチームを引っ張る小川麻斗のガードコンビである。だが、河村に言わせれば「自分が速いというよりは、自分がボールを持った時に周りのみんなが走ってくれている。自分のスピードだけが福岡第一の速攻ではなくて、みんなで頑張って走っているからこその速攻だと思っています」。

 その言葉どおり、ディフェンスリバウンドに絡みながらも一気に自軍のゴール下まで駆け上がれる神田壮一朗と内尾総理、留学生のクベマジョセフ・スティーブでさえも必ず速攻に顔をだすからこそ、日本一の速攻が生まれる。無論、それは他のメンバーが出ても一緒であり、この走るバスケットこそが井手口孝コーチが築いてきた同校の伝統でもある。

 なぜそんなに走れるのか。一体、どんな練習をしているのか——。

 福岡第一の強さ、分かっていても止められない速攻、40分間落ちない運動量を目の当たりにすると、ふとそんな疑問が浮かばないだろうか。

 同校の練習はとにかく走る、走る、走る。

 文字にすれば簡単なように見えてしまうが、全国のライバルたちに負けじと日々たゆまぬ努力を積み重ね、自らを追い込んでいるのだ。

 そして、選手たちのパフォーマンスを最大限に引き出し、相棒のように支え続けている「バッシュ」の存在も忘れてはならない。

 足に合わないシューズを履くことはパフォーマンスの低下や足の障害を招く恐れがある。また、自身の足とシューズが合っていないだけでダッシュやストップなどの動作に約30センチものロスが発生するという。このロスは切り替えが早いバスケット、ましてや福岡第一のようにスピードを売りにするチームにとって命取りだ。

 そんな中、福岡第一に新たな“武器”が届く。11月某日、アシックス社のスタッフたちが福岡第一の練習場を訪れ、同社が誇る新作シューズの試し履き会を実施した。

 選手たちはまず、「シューレースは一番上まで通す」、「かかとをしっかりと合わせる」、「骨格構造に沿って前方は比較的ゆったり、足首に近づくにつれてしっかりと紐を締める」など、スタッフから正しいシューズの履き方をレクチャーされた。

 普段の白から、黒を貴重としたシューズに履き替えた主力メンバーは、いつも以上にクールで洗練された印象。練習が始まると、一つひとつのプレーで履き心地を確かめながら、新作シューズを自分に馴染ませていった。

 この日着用した新作シューズにより、これまで以上のフィット感と軽量感を手に入れた福岡第一の選手たち。トレーニングではスピードやフットワークのキレが増し、より軽快な動きを見せた。そして、「キュ、キュ」と体育館に響きわたる音色も、心なしかいつにも増して心地よく聞こえた。

 福岡第一の強さの秘訣は、選手たちの鍛錬に加え、それを支え、パフォーマンスを最大限に引き出すシューズの存在も大きく影響しているのかもしれない。

福岡第一の選手が新作シューズを試し履き

 11月某日、福岡第一の選手たちはアシックスの新作シューズを履いて練習を実施。選手たちに率直な感想を聞いた。

「このバッシュはローカットなので、ガードとしてプレーする僕にとってはすごく動きやすいです。今履いているアシックスのバッシュと比べても軽くてビックリしました」

「自分はローカットのバッシュが好きですし、福岡第一の走るバスケットにもハイカットよりもローカットが合うと思っています。紐を結んでいなくてもフィット感があって脱げにくかったので、見た目のイメージと履いた時の感触が違いました。黒いバッシュは初めて履いたので新鮮な気持ちにもなりましたね」

「中学の時からアシックスを履いています。他のメーカーも履いてみたい気持ちもあるんですけど、昔から『アシックスを履いているチームには強いチームが多い』というイメージがあるので、これからもアシックスを履き続けたいです。バッシュを選ぶ時は、“フィット感”と“動きやすいかどうか”を重点に置いているんですけど、今日履いたバッシュはローカットでもその2点がとてもしっくりきました」

「アシックスのスタッフさんに教えてもらった、自分に合ったサイズの選びの方法がとても勉強になりました。ちょっとサイズが合ってないだけでケガをするリスクが増えたり、パフォーマンスが低下したりするとのことなので、これからは今まで以上にバッシュ選びに気を配りたいです」

「今日履かせてもらったのは、いつも履いているバッシュの色違いでした。3年間ずっと白のバッシュしか履いてきませんでしたし、黒のバッシュを履いたのは日本代表の時以来でしたね。みんなに『代表の時を思い出すな』って言われて、自分も『確かに(笑)』と思いました。ずっとアシックスを履いてるんですけど、このバッシュはローカットでもフィット感がすごいですし、足首も自由に動くので今までで一番好きなバッシュです。自分にはアシックスが一番馴染んでいる気がします」

文=小沼克年
写真=佐々木啓次

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