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『B MY HERO!』
「ラスト1年は誰にも負けないくらい努力して、もう一回この舞台に戻ってきたいと思います」
都野七海(2年)は、そう誓ってウインターカップの舞台を後にした。
京都精華学園高校(京都府)と大阪薫英女学院高校(大阪府)による「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」準決勝は、最初の10分間で明暗が分かれた。大阪薫英は開始から相手の高さに屈し、わずか4分足らずで2−15。第1クォーター終了時点でも12−28と点差を埋めることができなかった。
「とにかく第1クォーターが全てかなと思います。試合が終わって子どもたちにはごめんと言ったんですけど、最初から(ディフェンスで)仕掛けさせてあげればよかったです」。後半はオールコートプレスを仕掛け続けて最後は80−86まで迫っただけに、安藤香織コーチも悔しさをにじませる。
「高さで負けていたので、リングアタックすることをビビってしまいました」と立ち上がりのプレーを振り返った都野は、中まで切り込まずにアウトサイドからのシュートを選択してしまい、肝心なシュートも思うように決まらなかった。彼女はこの試合、追い打ちをかけられるようにファウルトラブルにも陥ってしまい、「自分でもファウルしてはいけないことはわかっていたんですけど、ボールを取らなきゃと思ってしまって……。コートを出ざるを得ない状況になってしまったので後悔してます」と、第2クォーター残り3分34秒時点で3つ目の反則を宣告された。
それでも28−44でスタートした後半、コートへ戻った都野は本来の姿を取り戻す。「留学生がいる中でも、外のシュートばかりでなく中にもしっかりアタックしていかないと点が取れないと思っていました」と、チーム全員が果敢にリングへ向かい、守備では圧をかけ続けて必死にボールを追った。得点源を担う都野は前半にブロックされた相手にも臆せず、得意のフローターやダブルクラッチ得点から重ねて後半は20得点をマーク。両チーム最多の30得点まで自身のスタッツを伸ばした。「いけると思った」(都野)と、猛ラッシュをかけてみるみる点差を詰めていった大阪薫英。だが、追いつく前に試合終了のブザーが先に鳴ってしまった。
「困った時にチームを助けてくださったのは3年生であって、3年生がいなかったらここまで勝ち上がってこれてないと思うし、3年生がいてこそのチームでした」
試合を終え、2年生キャプテンとしてチームを引っ張ってきた都野は改めて先輩たちの存在の大きさを明かす。3年生はこれで引退となるが、都野にはあと1年、大阪薫英でこの悔しさを晴らせる機会がある。今大会では京都精華の堀内桜花(1年)や札幌山の手高校(北海道)の森岡ほのか(2年)など、来年もライバルとなるポイントガードたちとマッチアップを繰り広げ、大阪薫英の背番号4は自分の現在地を知った。
「森岡さんは得点力、堀内さんはアシストがすごくて、自分はその2人に比べたらまだまだ得点力もなくて、アシストも全然できていないです。けど、ラスト1年は誰にも負けないくらい努力して、もう一回この舞台に戻ってきたいと思います」
日本一へ向けた挑戦はこれで終わりではない。これからまた始まるのだ。
文=小沼克年