2025.11.22
NBAの夏のマーケットは、今年も話題に事欠かなかった。しかし、未だに解決しなければならない問題は少なくない。そのひとつが、ジョナサン・クミンガとゴールデンステイト・ウォリアーズの関係性だ。
現在の両者は、破局寸前の関係にある。クミンガは自身の才能を信じ、ベテランファーストの方針と証明する機会を与えられない現状について、不満を募らせている。
一方でマイク・ダンリービーGMは、選手とのすれ違いについて、早急に解決策を見出そうと尽力。しかし、選手が求めるオファーと球団から提示しているプランは依然として大きな隔たりがある。そんな中、スティーブ・カーヘッドコーチは、ステフィン・カリー、ドレイモンド・グリーン、ジミー・バトラーとクミンガを共存させる難しさを隠さず、クミンガが求める役割と現在のチーム構成の間には「難しいギャップがある」としている。
だが、クミンガはぐっと歯を食いしばって、辛抱をする時期なのかもしれない。
『NBC Sports』は、匿名のNBA幹部からの意見を紹介。コメントを寄せた幹部は、クミンガと現役スター選手の境遇に類似点を見出している。
「似たような状況に置かれた選手のひとりが、インディアナ(・ペイサーズ)時代のポール・ジョージ(現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)です。彼の前にはダニー・グレンジャー(元フェニックス・サンズほか)がおり、ランス・スティーブンソン(元シャーロット・ホーネッツほか)もいました。それからしばらくして、デイビッド・ウェスト(元ウォリアーズほか)と共闘し、優勝を争うチームの一員となりました」
ジョージは、9度のオールスター選出歴を持つリーグでも屈指の完成されたプレーヤーだ。しかし、ルーキーイヤーは先発起用が19試合、平均出場時間も20分程度。だが、マイアミ・ヒートとの対戦で、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)やドウェイン・ウェイド(元ヒートほか)へのディフェンスが評価されると、ダニー・グレンジャーのケガを機にスターターに定着。3年目にはMIP受賞、オールNBAサードチームとオールディフェンシブセカンドチーム入りを果たし、攻守で存在感を示すオールラウンダーとして確固たる地位を確立するに至った。
クミンガも同様に、球団期待の若手であることに変わりはない。高校時代は全米で5本の指に入るプレーヤーとして、鳴り物入りでGリーグ・イグナイトに入団。デビュー当時から持ち前のフィジカルとエナジーでローテーション入りを果たすと、2年目以降にはレブロンやケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)とのマッチアップを任され、3シーズン目後半には安定してスターターに抜擢。スタッツも平均16.1得点、4.8リバウンドまで伸ばし、オフェンス面での自信と存在感が一気に増したシーズンとなった。
しかし、期待のシーズンとなった4年目は、ゲームスタートがわずか10試合に激減。その唯一の要因が、ジミー・バトラーの加入だった。トンプソンの移籍と成績不振により王朝終焉が騒がれるほどの危機に陥っていたウォリアーズだが、バトラー加入後は16試合中14試合で勝利を収め、再び上昇気流へと舞い戻ることに成功。不幸にもクミンガがケガで離脱している最中の出来事であり、復帰したクミンガの状況は半年前とは一変していた。
成功のキッカケを掴んだ翌シーズンの出来事。同期のケイド・カニングハムやスコッティ・バーンズが大型契約を締結していることも相まって、クミンガの不満は最高潮に達してしまったのだろう。
『NBC Sports』は、そんなクミンガのウォリアーズにおける状況を「丸い穴に押し込まれた四角い杭のような存在」という慣用句を用いて表現している。だが、ウォリアーズの老朽化は自他共に認める事実であり、クミンガは少しの辛抱で主力を任される存在になるかもしれない。
ウォリアーズが選択するのは、カリーとのラストダンスか、それとも球団の継続的な成功か。球団とクミンガの両者に、決断のときが迫っている。
文=Meiji
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