2025.08.31
ジェレミー・リンが2025年8月30日、自身のInstagramを通じて現役引退を発表した。2010年のNBAデビューから約15年にわたるキャリアは、世界中のファンを魅了し続けた。
リンはリール動画で「アスリートとして、引退の可能性は常に頭の片隅にあると理解していた。それでも、今日バスケットボールに別れを告げるのは、人生で最も難しい決断だ」と胸中を明かした。さらに「最も激しい競争者と最高の舞台で戦えたことは何にも代えがたい名誉だった。子どもの頃の夢を生きることができた」と振り返り、「信じて支えてくれた人々に、楽しみを分かち合ってくれた人々に、困難な時に励ましてくれた人々に心から感謝する」とファンや関係者への謝意を述べた。
ハーバード大学出身のリンは2010年にNBA入り。ニューヨーク・ニックス在籍時に爆発的ブレイクを果たし、“Linsanity”と呼ばれる社会現象を巻き起こした。その後、複数チームを渡り歩き、2019年にはトロント・ラプターズでNBAチャンピオンに輝いた。アジア系アメリカ人として初めて大きな成功を収めた存在としても広く知られている。
NBAを離れた後はCBA(中国プロバスケットボールリーグ)の北京ダックスでプレーし、さらに台湾リーグの新北キングスでは主力として活躍。2023年にはリーグMVPとファイナルMVPを受賞し、アジアバスケットボールの発展に貢献した。晩年も国際舞台で存在感を発揮し、地域のファンに強いインパクトを残した。
また、NBAオールスター2025の『ライジングスターズ』では、チーム・Gリーグのヘッドコーチを務めたジェレミー・リンが、河村勇輝(当時メンフィス・グリズリーズ/メンフィス・ハッスル)と面会したことを自身のInstagramで報告している。さらにEASL(東アジアスーパーリーグ)で琉球ゴールデンキングスと対戦した際には、岸本隆一の試合後の態度に感銘を受け、自身のSNSで感謝の言葉を記した。こうした日本人選手との交流は、リンのキャリアに残されたエピソードの一つとなっている。
リンは最後に「この旅は終わらせたくなかったが、時が来たことを受け止める」と結んだ。“Linsanity”の熱狂からNBA制覇、そしてアジアでの挑戦まで――その歩みは多くのファンに深い記憶を刻み、キャリアに幕を下ろした今もなお語り継がれるだろう。
文=入江美紀雄
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