2025.05.28

ジェフ・ギブスが選ぶチームメート&Bリーグ 歴代ベスト5

長く日本でプレーしたジェフ・ギブスが対戦相手やチームメートのベスト5を選出 [写真]=B.LEAGUE
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 Bリーグ開幕前の2010年にJBLのトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)に入団。以来、栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)、長崎ヴェルカサンロッカーズ渋谷、そして越谷アルファーズの5クラブに所属した。Bリーグ通算337試合に出場、3692得点2533リバウンド819アシストを記録。ただ、その素晴らしい実績以上に記憶に残るレジェンドとして、今後も語り継がれる存在となるだろう。では、そんなジェフ・ギブス自身の記憶にはどんな選手たちが刻まれているのだろうか。Bリーグとギブスが5クラブで一緒にプレーした選手の中から歴代ベスト5を選んでもらった。

ジェフ・ギブスが選ぶチームメートベスト5

ライアン・ロシターアルバルク東京

ロシターがギブスを勧誘していたという秘話も [写真]=B.LEAGUE


 私がアルバルクでプレーしていたとき、ライアンとはまだチームメートになる前、フリースローのリバウンドに入った際に彼が話しかけてきました。顔見知りの選手だったら話しかけてくることもよくありますが、「一緒のチームで優勝しないか」と言ってきたのです。そのときは本当にチームメートになるとは思ってはなかったのですが、私がその後、ブレックスに移籍して実現します。そしてBリーグの最初のチャンピオンになるのです。

 彼は素晴らしいバスケ選手というだけではなく、チームメートを活かすことにも優れていました。そして、決して手を抜きません。リバウンドには必ず行くし、コートに出ればエナジー全開。後にロシターが移籍して再び対戦する関係になりましたが、マッチアップするにはタフな相手でした。

竹内公輔宇都宮ブレックス

現役最終戦で竹内とは1対1を楽しんだ [写真]=B.LEAGUE


 コウスケは40歳を超えた今シーズン、実に59試合に出場しました。衰えるどころか、3Pシュートの試投数と成功数はキャリアハイの90本と30本。成功率も2021-22シーズンと同じ30.3%でキャリアハイタイです。でも、私からすれば不思議なことではありません。

 彼とは練習後、常にシュート練習をしていました。競争をしたこともあります。当時はチームの戦術として外角のシュートを打つケースが多くありませんでしたが、今はスペーシングを取るためにコーナーなどに開いて打つ戦術でも起用されています。コウスケはそれに合わせられるシュート力を備えていました。さらに今はそれを磨いて、もっと入るようになっているのです。

伊藤大司(元アルバルク東京

日本で長くプレーできたのは同期入団の伊藤のおかげ [写真]=B.LEAGUE


 タイシとはトヨタ自動車に同期入団。私がドイツのプロチームから移籍して初めて日本に来たとき、文化の違いをはじめとする日本のいろいろなことを教えてくれたのが彼でした。大司がいたから日本が住みやすくなり、これだけ長く日本でプレーできたのもしれません。

 加えて、素晴らしいリーダーシップの持ち主で、コミュニケーションや普段の練習への取り組み方でチームメートを引っ張っていくのがタイシでした。これも素晴らしい才能だと思っています。

松井啓十郎(FA、元さいたまブロンコス)

松井とのコンビプレーが互いの良さを引き出した [写真]=B.LEAGUE


 KJ(松井啓十郎)は私やタイシと1年遅れでアルバルクに入団しました。彼はチームが必要としていた3Pシューターです。とにかくスクリーンを使ってスペースを作ってシュートを打つのがうまくて、KJは私を常にスクリナーとして使っていました。そして決めていた。素晴らしいシューターです。

フィリップ・リッチー(元トヨタ自動車アルバルク)

コートでの振る舞いを教えてくれたリッチー [写真提供]=アルバルク東京


 彼(フィリップ・リッチー)を選んだのは日本で最初の外国籍のチームメートだったからです。コート上では本当に素晴らしい時間を過ごしました。何度も強烈なシュートを決めてくれて、一緒にプレーするのが楽しかったのです。ただ彼を選んだ理由はそれだけでなく、彼が私に日本で何をすべきかを教えてくれたから。彼は私に「こう振る舞うべきだ」と、いわば手ほどきをしてくれました。

高橋マイケル(元トヨタ自動車アルバルク)

高橋は頼れる先輩 [写真提供]=アルバルク東京


 もう1人、忘れてはならない先輩がマイケルです。私は特に性格に問題はありませんでしたが、「一生懸命プレーすれば、日本で長くプレーできるよ」とアドバイスをしてくれました。彼は臆することなくチームをまとめるタイプで、リーダーシップを取る方法も教えてくれました。

ギブス 「ベスト5なのにもう6人も選んでる」って? 日本でたはくさんのチームメートに出会いました。だから、5人に決めるのは無理です(笑)。さあ次へ行きましょう!

渡邉裕規宇都宮ブレックス

バスケに対して厳しい目を持つ渡邉 [写真]=B.LEAGUE

 ナベ(渡邉裕規)は大好きなチームメートです。彼といるととても楽しいんです。でも、あまり知られていないかもしれませんが、バスケに対してとても情熱を持っている選手で、特に大事な場面でビッグショットを打つことを怯みません。これほどオンとオフのギャップがある選手は珍しいですよね。彼といると笑ってしまうことが多いのですが、でもバスケに対してはホント真面目です。

遠藤祐亮宇都宮ブレックス

遠藤をリーグ屈指のディフェンダーと評する [写真]=B.LEAGUE


 エンドウはBリーグ屈指のディフェンダーと言えるでしょう。初めてチームメートになったとき、あれほどベストな選手を守りたがる選手は見たことがなかったし、遠藤とのマッチアップをしたくないと思われるのにもびっくりしました。そしてシューターとしても素晴らしい。チームメートとしては本当に最高で、対戦相手になればこんな厄介な選手はいないでしょう。

田臥勇太宇都宮ブレックス

長年のチームメートの田臥から花束が送られた [写真]=B.LEAGUE


 ユウタもタイシと同様に素晴らしいフロアリーダーです。バスケIQが高く、バスケを深く理解している選手だと思います。ユウタとは5年一緒にプレーをしましたが、キャラクターも最高だし、5人という制限があったとしても、彼を外すことはできなかった。彼に「今シーズンを最後に引退するよ」と告げたとき、彼は「どうしてなんだ」と納得してくれませんでした。でも、「家族との時間が欲しいんだ」と説明すると、すぐにOKしてくれました。最高のチームメートです。

ジェフ・ギブスが選ぶBリーグベスト

ギブス 今度は大丈夫! Bリーグベスト5はしっかり5人を選びました(笑)。

ニック・ファジーカス(元川崎ブレイブサンダース

ファジーカスのシュートエリアの広さに手を焼くことも [写真]=B.LEAGUE


 ニックはどこからでもシュートが打てて、そして決められる才能を持っています。ですから、彼とマッチアップする場合、心地よくシュートを打たせないようにするのが守るポイントなのですが、207cmの身長がどうしようもなく厄介。しかもシュートレンジがインサイドから3Pラインまでと広く、さらにボールハンドリングもできる。本当に素晴らしい選手です。

ダバンテ・ガードナーシーホース三河

大きくて器用でもあるガードナー [写真]=B.LEAGUE


 ダバンテはとにかく大きい(笑)。それでいて彼はシュートが上手いだけでなく、ニックと同様にボールハンドリングにも長けています。ただ私は彼に負けないくらい体が強かったので守れましたが、他のビッグマンは彼のフィジカルに苦労していましたよね。ダバンテも外せない選手です。

桜木ジェイアール(元シーホース三河

オールラウンダーといえば桜木 [写真]=B.LEAGUE


 203センチのサイズがありながらポイントガード並みのハンドリング力を持っていたのがジェイアールです。スピードが特別速いわけではありませんでしたが、ガード、フォワード、センターとすべてのポジションでプレーできる万能選手です。彼はゴール下でボールをキープできるし、そこからシュートを決めます。一方、そこからアシストを送る視野も持ち合わせており、まさに“ポイントセンター”でした。

金丸晃輔佐賀バルーナーズ

正確無比なシュートが武器の金丸 [写真]=B.LEAGUE


 素晴らしいシューターです。日本人のシューターではNo.1ではないでしょうか。スクリーンの使い方もうまく、3Pラインあたりでボールを持たせてはいけない危険な選手です。彼の攻略法としてディフェンスが弱点とも言えるので、カナマルにアタックして疲れさせることをしているチームもいました。それでも平均20点は取れる選手だったので、やはり彼にボールを持たせないようにするしか守る方法はありませんでした。

富樫勇樹千葉ジェッツ

プレーだけでなく富樫の人柄も評価 [写真]=B.LEAGUE


 ベスト5の最後はユウキです。第一印象は「小さいなあ」でしたが(笑)。しかし、長くBリーグでプレーしていたら、彼を選ばない理由はありません。とにかく危険な選手でシュートが入る。パスもうまい。そしてスピードもある。他の選手と一緒でボールを持たせてはいけない選手の一人です。ユウキとはプライベートでの付き合いもありますが、本当にナイスガイ。人柄も最高です。

[写真]=B.LEAGUE

――ギブス選手は長い間、日本でプレーしました。その間に日本人プレーヤーは進歩したと思いますか?
ギブス
 NBAの進化と似ている部分があると思います。ウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)の時代からマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)、さらにレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)と、NBAの選手もトレーニングの進化により、よりアスレチックになってきています。日本でも同様で、トレーナーとよく鍛えていますし、それに伴いバスケの技術も進歩しています。向かっている方向は間違ってないと思います。

――ありがとうございます。最後に応援してくれたファンにメッセージを頂けますか。
ギブス
 引退後は家族との時間を大切にしようと思っています。2人の娘は日本をはじめ、アジアのカルチャーにはまっていて、今度、下の娘をStray Kids(ストレイキッズ)のコンサートに連れていく約束をしています(笑)。でも、数年後には必ず日本には帰ってくるつもりです。そのときは快く迎え入れてください。皆さんの応援、ありがとうございました。

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