2025.11.18

経験豊富な井手口コーチも答えを模索中 [写真]=伊藤大允
「こういうときはどうしたらいいんでしょうね。何をしてもダメでしたね」
これまで何度も日本一にチームを導いた百戦錬磨の井手口孝コーチが頭を抱えるほど、予想外の敗戦だった。
11月16日、国立代々木競技場第二体育館で男子の「U18日清食品トップリーグ2025」が開催。福岡第一高校は今大会を締めくくる最終試合で福岡大学附属大濠高校(ともに福岡県)と激突したが、48-97の大差で敗戦。リーグ戦での黒星とはいえ、あまりにもショッキングな内容だった。
この試合だけではない。11月8日には鳥取城北高校(鳥取県)に51-95で敗れ、翌日の東山高校(京都府)戦でも最終スコア66-91で大敗。「点が入らない。守れない」(井手口HC)負の連鎖から抜けだせないまま、4勝3敗の5位でトップリーグを終えた。
「この3試合、何もかもが上手くいかないですし、今はどうしたらいいかもわかっていないです」
チームの得点源の一人でもある長岡大杜の言葉が、チーム状況の深刻さを物語っていた。
2連敗後は最終戦へ向けしっかりと調整をしてきた。「練習や準備が悪かったのかと言ったら、そうじゃない」とキャプテンの宮本聡は言いきる。だが、福大大濠戦でもチームが機能せず、聡は悔しさをにじませながら振り返った。
「先週の2敗も今日もひどい内容で、課題が多すぎるというか、上手く噛み合うことができてないというか、チームとしての戦い方を見出せていないです」
11月3日に行われたウインターカップ2025の福岡県予選では、福大大濠を80-70で破り優勝を飾った。直前に大黒柱のシー ムサがチームを離脱するというアクシデントに直面しながらも、インターハイ出場の夢を絶たれたライバルからの会心の勝利だった。
「やっぱり応援席からたくさんのメンバーが声援を送ってくれたことで、チームが一つになることができました」。攻守でチームを引っ張った主将がそう語れば、長岡も「あの試合はシュートも入りましたし、本当に応援が力になりました」とチーム一丸での勝利を強調した。

長岡は11月3日のWC福岡県予選を振り返り、「あの試合はシュートが入った」 [写真]=伊藤大允
トップリーグでは不甲斐ない幕切れとなってしまったが、負傷離脱していたガードの崎濱秀寿が最終戦で復帰を果たす朗報もあった。11月3日のような試合ができればどこにも負けない──。チームにはそんな自信と手応えがあることも事実だ。
「みんな頑張ろうとはしているんですけど、上手くいかないことにフラストレーションを溜めてしまって歯車が噛み合わない、空回りしてしまっている状態です。だからこそメンタルや意識の部分を変えることが大事ですし、たった1試合で自信を取り戻すこともできると思う」と聡は立て直しへの決意を示した。
12月23日に開幕する『SoftBank ウインターカップ2025 令和7年度 第78回全国高等学校バスケットボール選手権大会』で、福岡第一は今年最後の日本一への戦いに挑む。
井手口コーチは「ちょっと怖いですけど、もう1回チームを壊すかもしれません。何かの“カンフル剤”は必要かなと思います」と言及。名将がどんな手を打ってチームを蘇らせるか注目だが、結局は「練習するしかない」というシンプルな答えに行き着く。
「やっぱり練習量だと思います」。指揮官と同様、チーム復活へのポイントを挙げた聡は、こう続けた。
「負けを引きずっていてもしょうがないですし、ウインターカップ予選のような試合ができれば優勝できると思っています。日本で一番練習すれば日本一になれると思うので、まずこの1カ月、頑張ってみます」

「日本で一番練習すれば日本一になれると思うので…」と宮本聡は語った [写真]=伊藤大允
聡とともにチームの先頭に立つ宮本耀も、再起への思いを語った。
「本当に1日1日を大切にしていかないといけないです。今はすべてが噛み合っていないですけど、噛み合えば福岡第一は強いと思っています。やらなければいけないことは多いですけど、少しずつ歯車を合わせていく、そういう1カ月にしていきたいと思います」
代名詞の「堅守速攻」を取り戻すために、福岡第一は不安を抱えながらも前へ進む。ウインターカップ前に訪れた最大の試練を乗り越えた先に、最高の景色が待っているはずだ。
文=小沼克年
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