2026.02.17
3月11日、TOYOTA ARENA TOKYOで行われたりそなグループ B.LEAGUE 2025-26 B1リーグ戦。アルバルク東京はアルティーリ千葉と対戦し、87-81で逆転勝利を収めた。第3クォーターを終えて55-69、最大で15点のビハインドを背負う苦しい展開だったが、第4クォーターで驚異の遂行力を発揮し、鮮やかな逆転劇を演じた。この日、チームの勝利とともにファンを喜ばせたのは、背番号3のコートへの帰還だった。
今シーズン、テーブス海にとってこれが3度目の復帰戦となった。度重なるケガに苦しめられ、コートに立てないもどかしい日々を過ごしてきた。
「待ちに待った瞬間だったので、いつもどおりみんなの前でプレーするときは本当に楽しいです」
デイニアス・アドマイティスヘッドコーチが「今日プレーするかどうかは試合前に判断しました。メディカルスタッフとも話し合い、トータルで12〜14分というプレータイムの制限を設けていました。ケガから復帰して、早くゲームシェイプ(試合勘)を取り戻し、リズムをつかんでほしい」と語ったように、テーブスは約14分間の出場にとどまったが、そのなかで9得点2アシストを記録。試合後、充実した表情でそう語ったテーブスの言葉には、再びバスケットボールができる喜びが満ちていた。

故障明けとは思えない激しいプレーも見せた [写真]=B.LEAGUE
現在のコンディションについては「どんな感じか試してみるという感覚でプレーしたところ、想像以上に体も動いていて、ゲーム感覚も悪くなかった」と、確かな手応えをつかんだ様子だ。「フルの状態に1歩近づいた。最終的には東アジアスーパーリーグ(EASL)では万全に、という状態を目指しているからこそ、全然いけるのかなと思う」と、大一番に向けて状態を上げていく構えを見せる。
テーブスが戦線を離脱している間、A東京は確かな進化を遂げていた。特に大きかったのは、ほかの選手たちのステップアップと、見事に優勝を果たした天皇杯の経験だ。
「自分が抜けている間、みんなが本当に頑張ってくれて、チームとしてステップアップしている。だからこそ、僕がみんなにアジャストする必要がある」とテーブスは語る。不在の間に小酒部泰暉がポイントガードとして機能し、チームをけん引したことについても、「完全にガードの動きをしていますし、間違いなくこのチームの1つの武器になる」と、その成長に目を細めた。
「いずれはD.J・ニュービル(宇都宮ブレックス)や富樫勇樹(千葉ジェッツ)といった選手に小酒部をマッチアップさせることになると思います。そういったときに自分がオフェンスで彼の負担を減らすことができる。一方でもし自分がファウルトラブルになったときには、小酒部を1番として使える手札があるだけで全然違います」
リーグ終盤戦やチャンピオンシップ(以下CS)などインテンシティの高い舞台を見据え、戦術の幅が広がったことを歓迎だ。

チームの進化を改めて感じた [写真]=B.LEAGUE
チームの進化は、この日のA千葉戦の逆転劇にもはっきりと表れていた。前半は相手の得意とする速い展開からの3ポイントシュートやオフェンスリバウンドに苦しめられ、第3クォーターも相手に流れを握られた。しかし、最終クォーターでコートに立った5人が流れを引き寄せた。
「試合終盤の競った場面での遂行力の高さ。毎試合ポイントは違うけれど、そのポイントを理解しながらプレーしていると感じました。14、15点差が開いたときに誰も焦らない。とはいえ危機感は持ってプレーしている。そのバランスが去年や一昨年にはなかった新しい武器だと思います」
天皇杯という大舞台を経験したことでプレッシャーが軽減され、選手たちは自信を持ってプレーしている。「勝ち方を覚えたからこそ、どういう展開であっても最後はいいゲームに持っていける自信がついている」。テーブスは、外から見て感じたチームのたくましさをそう表現した。
シーズン序盤の連敗、そして自身の離脱。欠場中は「めちゃくちゃ不安だった」と率直な思いを明かす。しかし、ライアン・ロシターやテーブスといった主力を欠くピンチを、選手たちは自身がアピールし成長するチャンスと捉えていた。
「自分はコートになかなか立てなかったからこそ、本当に迷惑をかけていると理解してリハビリを頑張っていました。そこからの残りの選手の頑張りには感謝しかありません。みんなが毎日何をしないといけないかを考えて、少しずつ成長して、気づいたらこういう素晴らしいチームができあがっていた。一人ひとりがここぞというときにステップアップできるチームになっています」
テーブスはチームメートへの深い感謝と信頼を口にした。
CS、リーグ優勝を見据えながら、A東京は次なる大きな目標に向かっている。EASLでの頂点だ。同大会の優勝を決める『EASLファイナルズ マカオ2026』は、3月18日から22日にわたってマカオ特別行政区にて行われる。Bリーグから参戦した宇都宮、A東京、琉球ゴールデンキングスはいずれもグループステージを勝ち抜きこれに出場する。「ケガをしてから、頭のなかで自分が復帰してEASLで優勝するというストーリーを描いてリハビリをしていました」とテーブスは笑顔を見せる。
タフなスケジュールのなかで、アジアの強豪と戦う経験もまたチームを強くした。「いろいろなところを飛び回ってタフなスケジュールをチームとして乗り越えて勝つ。そういった経験は間違いなくチームボンディング(チームの結束力)にもいいことですし、今までなかった経験です。最後は優勝して終わりたい。それは賞金以上の価値があると思います」。そう真剣に語りつつも、最後は「賞金と経験だったらたぶん賞金を選びます(笑)。150万ドル(約2億3000万円)ですからね」と冗談交じりに笑いを誘い、明るい雰囲気で取材を締めくくった。

試合後、メディア対応 [写真]=B.LEAGUE
3度目のケガという試練を乗り越え、たくましさを増したチームの輪に戻ってきた司令塔。テーブス海が完全復活を果たしたとき、A東京はさらなる高みへと登っていくはずだ。EASL、そして悲願のリーグ制覇へ。テーブスが思い描く最高のストーリーは、ここからクライマックスを迎える。
文=入江美紀雄
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