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13年ぶりのチームメートに「感慨深い」…アジア大会代表入りを目指す赤木里帆と笠置晴菜

中学時代のWエース、赤木(左)と笠置が代表入りを目指す [写真]=W LEAGUE
フリーライター

■全中で活躍した大分・戸次中の“Wエース”

 13年前の8月、この年の全国中学校大会(以下全中)は、のちに日本代表やWリーグで活躍する選手が多く出場していた。赤木里帆(富士通レッドウェーブ)と笠置晴菜(デンソーアイリス)もそうだ。

 ともにガードポジションで、所属するチームでは主軸を担う2人。赤木は富士通の一員として2024-25シーズンにはWリーグ連覇に一役買い、個人でもプレーオフベスト5に選出された。対して笠置も今シーズン(2025-26)、デンソーのWリーグ初優勝に大きく貢献し、攻防において安定したプレーでチームを引っ張った。

 そんな2人は、静岡県で行われた2013年の全中に戸次中学校(大分県)の“Wエース”として出場。大会では予選リーグを突破すると決勝トーナメント1回戦で朝明中学校(三重県)と対戦した。

 朝明は、センターの粟津雪乃(元デンソー→東京羽田ヴィッキーズ)とガードの平野実月(トヨタ自動車アンテロープス→WKBL[韓国])が中心で、特に高さでハンディを負う戸次は180センチ近くある粟津のインサイドプレーに手をこまねいた。だが、攻防においてタフな動きで対抗すると第3クォーターを終えた時点で10点のリードを奪う。しかし、第4クォーター終盤にこの試合26得点の赤木が無念のファウルアウトとなると流れは朝明に。それでもこのピンチの場面で踏ん張ったのが笠置で、シュートを決め返したが、最後は56-57で力尽きた。

 当時は冬に開催されるJr.ウインターカップがなかったため、3年生にとっては夏の全中が中学最後の全国大会。そのため、2人にとって中学での日本一への挑戦はここで終わりを告げた。

 その後、高校進学に際し、赤木は桜花学園高校(愛知県)、笠置は昭和学院高校(千葉県)と袂を分かつことに。どちらも大分を出て全国トップレベルの強豪校の門をたたいた。

 その高校時代、赤木は高校1年生でいきなりU17女子日本代表に選ばれる。一方の笠置も翌年の2015年にはU16女子日本代表としてアジア選手権を戦う。U16の出場資格は高校1年生と2年生の早生まれのため、このとき2年生で早生まれではなかった赤木は同大会への出場はならなかったが、2016年にはU18女子日本代表としてアジア選手権に出場した(準優勝)。このとき3年生。笠置も赤木同様に最上級生で自チームでも中心選手だったため、日本代表入りの可能性は十分にあったのだが、実はその年3月、ヒザの大ケガを負ってしまい、日本代表はおろか、昭和学院でも夏の全国大会も不出場となっていた。

 それでも、赤木が東京医療保健大学1年生、笠置がデンソー入団1年目の2017年夏に開催されたU19女子ワールドカップには2人そろっての出場が期待され、実際に2人とも候補選手に名を連ねた。だがしかし、ここでもアクシデントが襲う。今度は赤木がケガにより不出場となったのだ。こうして中学以降、2人はすれ違いにより同じチームで戦うことは一度もかなわなかった。

ともにアンダーの代表に選ばれたが、同じチームでプレーすることはなかった [写真]=fiba.basketball

■13年ぶりに9月のアジア大会で同じユニフォームに袖を通せるか

 だが今年、「第20回アジア競技大会」(名古屋/9月開催)の候補選手に2人とも選出される。最終メンバーに残れば、中学3年以来、実に13年ぶりに同じユニフォームに袖を通すこととなる。

「感慨深いです」

 チームメートとして代表活動を行っている感想をそれぞれに聞くと、同じ言葉が返ってきた。

「もうめちゃくちゃうれしいです。Wリーグでも、違うチームではありますが中学のチームメートと対戦できることがうれしかったし、さらに今度は日本を背負って一緒にバスケットをするというのはすごく感慨深いものがありますね」(赤木)

「一緒に日の丸を背負うことが無かったので、自分の中では感慨深かったですし、やっぱり一緒に選ばれたいという思いは強いです。個人的にはそこに対しての思い入れはあります」(笠置)

 富士通とデンソー。普段はライバルチームで、ポジション的にマッチアップも多く、試合では火花を散らす。だがそういった関係も特別なようで、「負けたくないというライバル意識もありますが、中学から一緒にやって、お互い別の道を歩みながらもやっとここで一緒にできたことがすごくうれしいです。里帆が優勝したときには、素直に本当におめでとうと連絡をしましたし、逆に私が今シーズン、ファイナルの舞台に進んだときも頑張ってねと言ってくれて。いつか決勝でまたやり合いたいなと思っています」と笠置が言えば、赤木も「目標に向かっていく同士というか、ライバルというよりもすごく仲間意識の方が強いです。晴菜が頑張っているから自分も頑張ろうって思いますし、でも対戦したときは、絶対負けたくないという気持ちもあります。(今シーズンは)セミファイナルでデンソーと戦い、マッチアップさせてもらう機会があったのですが、いい意味でお互いバチバチできたのかなと思います」と言う。

 ライバルであり仲間。尊敬し合う2人だが、取材中、笠置が興味深いことを発した。

「中学校のときは、里帆のプレーに私が合わせるということが多かったので、今でも里帆がここに合わせてほしいんだろうなというのは、なんとなく分かります。中学のときはそういったプレーが自分も好きでした」

 対して赤木はどうか? 13年前の感覚を思い出すようなことはあるのだろうか。

「結構ありますよ。懐かしいなというか、晴菜は中学のときからシュートが上手だったので、晴菜が空いているときにパスをしたらどんどんシュート打ってくれるというのはありますね。それに、いるだけで『あっ、晴菜がいるな』という安心感がすごくあります」

キャリアを積み上げ、代表候補に名を連ねた [写真]=W LEAGUE

 アジア競技大会の候補選手では栗林未和(日立ハイテククーガーズ)、佐藤由璃果(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)らとともに最年長。それぞれに今後の活動での意気込みをこう語った。

「1番ポジションで出るときは速い展開を作れるようにボールプッシュすることやアグレッシブなディフェンスからいいトランジッションオフェンスにつなげるように。どんどん前にプッシュすることはガードとしてやっていきたいです。2番ポジションでは、ガードを助ける意味でも速いオフェンスを作るために走ること。ポジションによってやることは変わりますが、まずはディフェンスを頑張っていきたいです」(赤木)

「私自身、こういった場所(代表合宿)はアンダーカテゴリー以来なので、少し緊張をしているのもあるのですが、自分の持っている力を出し切りたいなと思っています。チームのコンセプトがアグレッシブなディフェンスからオフェンスへの展開ということなので、自分のアグレッシブなディフェンスは、しっかりアピールしていきたいですし、オフェンスではしっかりスペース取って、空いたシュートを打ち切って決めていきたいと思います」(笠置)

 別の道を歩み、時にケガに苦しみながらも階段を登ってきた。Wリーグ優勝の経験などキャリアを重ねてきた27歳たちは、今秋、2人にとってもゆかりのある名古屋でともにコートに立つべく、これからも目標に向けて全力で取り組んでいく。

文=田島早苗

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