2021.05.04

川崎で“思い切ったプレー”が光る藤井祐眞「ファイナル優勝を目指して頑張ります!」

積極果敢に攻め立てる藤井[写真]=B.LEAGUE
フリーライター

「ビッグラインナップが機能していますよね」「正直、相当厄介だと思います」

 今シーズンの「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2020-21」(以降、CS)出場を決めている川崎ブレイブサンダース(通算4回目)は、ホームの川崎市とどろきアリーナで行なわれたサンロッカーズ渋谷との2連戦を連勝し、現時点で東地区3位の43勝16敗でレギュラーシーズンを終えた。

 4月17日の千葉ジェッツ戦を皮切りに、宇都宮ブレックスアルバルク東京、SR渋谷を立て続けに下し、7連勝を飾った川崎は、今後の千葉の戦績次第でCSのQUARTER FINALS(準々決勝)をホームで開催できる可能性が残されている。

「とにかくうちのディフェンスを、フルコートから積極的に仕掛けて、足を動かして走り続けて、リバウンドまで取りきるということを40分間の中でやれる時間が長かったですし、オフェンスでもメンタルが落ちることなくアタックし続けることができ、昨日に引き続き良い試合ができたと思います。この勢いで、チャンピオンシップに向けてどこが相手でも自分たちの強みを発揮していける準備をしたいと思います」。

 スローガンに「VICTORIA -全ては勝利のために」を掲げる川崎。佐藤賢次HC(ヘッドコーチ)は2日のSR渋谷戦終了後にそう話しており、CSに向けて大いに期待できる言葉を発していたと言えるだろう。

SR渋谷戦でもタフなディフェンスを見せた藤井[写真]=B.LEAGUE

 そして現在、相手チームの多くを悩ませているのがビッグラインナップ。ニック・ファジーカス(207センチ)、ジョーダン・ヒース(208センチ)、パブロ・アギラール(203センチ)を同時にコートへ送り出し、攻防両面で好結果をもたらしている。

 1月27日以来の対戦となったSR渋谷の伊佐勉HCは「ビッグラインナップが機能していますよね。それでオフェンスだけでなくて、ディフェンスもサイズがあって機能しているなと思います。相手からしたらちょっとやりづらいなというのと、チームディフェンスが、個々のディフェンスの強度がすごく上がっていて、ディフェンスがいい選手はもちろんいますけど、そうでない選手も、川崎さんのチームディフェンスをしっかりできるようになっていて、そこはこの間やった時から、全然違うレベルに達しているなと思いました」と話している。

 さらにSR渋谷で主力を務めるベンドラメ礼生も「正直、川崎のビッグラインナップは相当厄介だと思います。ただデカいだけじゃなくて、しっかり機動力もあって、ディフェンスでもアグレッシブに行ける、そこはすごい脅威だと思います」と警戒していた。

 コート上でミスマッチを作り出し、ファジーカスがアウトサイドで起点となってリング下にいるヒースやアギラールへ絶妙なパスを繰り出し、ミスマッチからショットを沈めるシーンは何度もあり、その高さはディフェンス面でも相手を苦しめているだけに、今季のCSにおいてもこの“ビッグラインナップ”はキーワードとなることだろう。

アグレッシブなドライブも藤井の魅力の1つ[写真提供]=川崎ブレイブサンダース

今季フル出場を果たした藤井は画面越しからも伝わってくる激しいプレーが魅力

 ここからは川崎が誇るバックコート陣にフォーカスしていきたい。篠山竜青辻直人という経験豊富なベテランと共に、藤井祐眞もチームで重要な役割を担うキープレーヤーである。

 1日のSR渋谷戦でBリーグ通算300スティールをクリアしたコンボガードは、1日に10得点4リバウンド6アシスト3スティール、2日の試合では13得点2アシストで勝利に貢献。タフなディフェンスに加えてルーズボールダイブやスティール、密集地帯へ跳び込んでオフェンシブ・リバウンドをもぎ取るなどハッスルプレーも光り、存在感を放っていた。

 2日の試合後、藤井は「チームがひとつになって優勝に向けて良い形でレギュラーシーズンを終えることができました。この7連勝を自信にしてチャンピオンシップに臨みたいと思います」と語り、自身の今季についてこう振り返っている。

「シーズン中にケガをしないということを毎年目標にしていますが、コロナ禍であったり、昨シーズンはインフルエンザで天皇杯に出場することができなかったということもあったりした中で、今シーズンは大きなケガなどもなく全試合に出場することができたことを本当に良かったと思っています」。

身体を投げ出してルーズボールへダイブする藤井[写真]=B.LEAGUE

 先発、控えを問わずにアグレッシブなプレーでチームを盛り立てる男は、オフェンス面でも局面を打開するドライブやジャンパー、3ポイントを沈めることができ、あふれんばかりの闘争心が画面越しでも伝わってくる。

「一番、経験があって組み合わせで一番いいかなと思っているのは竜青と辻なので。ゲームコントロールをしっかりしてほしいなというのと、藤井にはもう、いつも通り、皆さんが期待しているとおり、思い切ったプレーをやってくれればそれでいいんで」と佐藤HCも期待を寄せる。

 川崎のバックコート陣には篠山、辻、藤井に加え、青木保憲増田啓介大塚裕土と人材も豊富なのだが、CSでメインを飾るのはやはり先に挙げた3選手だろう。

「ホーム開催できるかどうかはまだ分かりませんが、まずは勝って横浜アリーナを目指して頑張ります。そして、その先のファイナル優勝を目指して頑張ります!」と意気込みを口にした藤井。

 準々決勝の対戦カードはまだ決まっていないものの、今年の天皇杯を制し、自信を深めている川崎はCSでも注目の的となるだけに、どんな戦いを見せてくれるのかは気になるところ。そしてコート狭しと暴れ回り、攻防両面で身体を張る藤井のプレーにも注目したい。

 

文=秋山裕之

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