2021.09.20

【B1クラブ展望/川崎】ウイング陣の競争激化…高さ頼みから脱却し、全員バスケへ回帰

今シーズンは“全員バスケ”への回帰を目指す川崎[写真]=B.LEAGUE
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

「ビッグラインアップのアドバンテージを生かすことや、ニック(ファジーカス)を生かすためにピック&ロールの2メンゲームに頼りすぎて、動いている選手が2、3人だけになってしまいました」

 昨シーズンの川崎ブレイブサンダースは、ニック・ファジーカスジョーダン・ヒースパブロ・アギラールの3選手を同時起用するビッグラインアップを駆使して7年ぶり4回目の天皇杯を獲得。だが、Bリーグのチャンピオンシップでは準決勝で敗れてシーズンを終えた。

 佐藤賢次ヘッドコーチは、昨シーズンの反省を踏まえたうえで「チームで攻めて、チームで守る。ずっと動き続けているというチームを目指しています」と口にする。間もなく開幕する今シーズン、仙台89ERSから復帰した鎌田裕也を含め、前田悟綱井勇介マット・ジャニングが新たに加わった川崎が目指すのは、「人とボールがよく動く」バスケットだ。

 昨シーズンのチームについて、指揮官は今オフに移籍した辻直人(現・広島ドラゴンフライズ)と大塚裕土(現アルティーリ千葉)のシューター陣に打たせようと、周りが躊躇していた場面があったとも指摘。しかし今は、「(選手に)聞いたわけではないですけど、辻と裕土が抜けたことで2番、3番ポジションの覚悟みたいなものを感じています」と、チームの変化を嗅ぎ取っている。

 今シーズン、そのポジションで主役になろうとしているのは、増田啓介、富山グラウジースから加入した前田悟、そして外国籍のガードのマット・ジャニングの3選手。なかでも、今シーズンさらなる飛躍に期待したいのは、辻と大塚に代わる3ポイントシューターとしての働きが求められる前田でもなく、川崎に新たな風を吹かせてくれそうなジャニングでもない。大学3年次から在籍している増田だ。

■KEY PLAYER/SF #11 増田啓介

[写真]=B.LEAGUE


 ときに鋭く、ときに豪快なドライブに3ポイントシュート、ポストプレーまでそつなくこなすユーティリティープレーヤーは、12日のプレシーズンゲーム後に佐藤HCからこんな評価を受けた。

「あれだけボールを持って積極的に仕掛けているなかでターンオーバーがゼロでした。起点にもなっていますし、去年とは全然違うなと感じています。ディフェンス面でも相変わらず足を止めずにタフなプレーをしてくれているので、このまま成長し続けてもらいたいです」

 ルーキーイヤーとなった2020-21シーズンは、レギュラーシーズン58試合に出場した増田。23得点をたたき出した試合、天皇杯決勝でも躍動し「大舞台に強い」ことも証明済み。BリーグのNEXT STAR賞にも輝いた期待の若手が、川崎の起爆剤となれるか。

文=小沼克年

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