2022.03.16
「ビッグラインアップのアドバンテージを生かすことや、ニック(ファジーカス)を生かすためにピック&ロールの2メンゲームに頼りすぎて、動いている選手が2、3人だけになってしまいました」
昨シーズンの川崎ブレイブサンダースは、ニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラールの3選手を同時起用するビッグラインアップを駆使して7年ぶり4回目の天皇杯を獲得。だが、Bリーグのチャンピオンシップでは準決勝で敗れてシーズンを終えた。
佐藤賢次ヘッドコーチは、昨シーズンの反省を踏まえたうえで「チームで攻めて、チームで守る。ずっと動き続けているというチームを目指しています」と口にする。間もなく開幕する今シーズン、仙台89ERSから復帰した鎌田裕也を含め、前田悟、綱井勇介、マット・ジャニングが新たに加わった川崎が目指すのは、「人とボールがよく動く」バスケットだ。
昨シーズンのチームについて、指揮官は今オフに移籍した辻直人(現・広島ドラゴンフライズ)と大塚裕土(現アルティーリ千葉)のシューター陣に打たせようと、周りが躊躇していた場面があったとも指摘。しかし今は、「(選手に)聞いたわけではないですけど、辻と裕土が抜けたことで2番、3番ポジションの覚悟みたいなものを感じています」と、チームの変化を嗅ぎ取っている。
今シーズン、そのポジションで主役になろうとしているのは、増田啓介、富山グラウジースから加入した前田悟、そして外国籍のガードのマット・ジャニングの3選手。なかでも、今シーズンさらなる飛躍に期待したいのは、辻と大塚に代わる3ポイントシューターとしての働きが求められる前田でもなく、川崎に新たな風を吹かせてくれそうなジャニングでもない。大学3年次から在籍している増田だ。
「あれだけボールを持って積極的に仕掛けているなかでターンオーバーがゼロでした。起点にもなっていますし、去年とは全然違うなと感じています。ディフェンス面でも相変わらず足を止めずにタフなプレーをしてくれているので、このまま成長し続けてもらいたいです」
ルーキーイヤーとなった2020-21シーズンは、レギュラーシーズン58試合に出場した増田。23得点をたたき出した試合、天皇杯決勝でも躍動し「大舞台に強い」ことも証明済み。BリーグのNEXT STAR賞にも輝いた期待の若手が、川崎の起爆剤となれるか。
文=小沼克年
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